ここからは、Radeon RX 6900 XTの性能をベンチマークテストを通してチェックしていく。
今回のテストでは、Ryzen 9 5900 XT(3.7G〜4.8GHz、12コア24スレッド)を搭載するAMDプラットフォームでテストを実施した。比較対象として、Radeon RX 6800 XTとGeForce RTX 3080を搭載するグラフィックスカードも用意した。
グラフィックスドライバーは、RX 6900 XT/6800 XTではテスト版の「Adrenalin 20.45.01.14RC8-Nov29」、RTX 3080では公式版の「バージョン457.40」を利用した。なお、RX 6900 XT/6800 XTでは特記のない限りSAMを有効化している。
まずは、3D描画性能を確認できる定番ベンチマークソフト「3DMark」の結果を確認していこう。
DirectX 12ベースの「Time Spy」系のテストでは、RX 6900 XTが総合スコアで他を上回った。とはいえ、RX 6800 XTとのスコア差は約3%、RTX 3080との差は約2%前後である。取り立てて“素晴らしい差”が出ているかといえば、そういうわけでもない。
WQHD(2560×1440ピクセル)で描画する「Time Spy Extreme」では、RX 6800 XTとの差が少し広がるものの、逆にRTX 3080には差を縮められている。RX 6900 XTとRTX 3080との差は“誤差”といっても差し支えのないレベルだ。
ここで、試しに、RX 6900 XTにおいてRage Modeを有効化して計測した。クロック自体の向上はわずか60MHz程度と、微々たるものではある。しかし、有効化することで総合スコア、Graphics Score共に改善し、わずかながらもRTX 3080との差を広げられている。
Rage Modeは、「Radeon Software」上のチューニング設定から「プリセット」タブを選択することで適用できる。通常のオーバークロックとは異なり、“保証範囲内”なので、気軽に利用してみよう。
一方、DirectX 11ベースの「Fire Strike」系のテストでは、結果が大きく変動した。RX 6900 XTがぶっちぎりのトップとなったのだ。新たに搭載されたInfinity Cacheの効果を強く感じられる結果である。
特にフルHD(1920×1080ピクセル)でフレームレートを伸ばしやすい傾向は、RDNA 2世代GPUの1つの明確な強みといえる。
実際のゲームをベースにしたベンチマークテストの結果も見てみよう。
最初に実行した「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークテスト(FF14ベンチマーク)では、描画品質を“最高品質”に設定し、フルHD、WQHD、4K(3840×2160ピクセル)の3種類の解像度で計測を実施した。
このベンチマークでは、一転してRadeon勢が劣勢となる。RTX 3080が全ての解像度において高いスコアを記録した。
過去のテストでも触れているが、FF14ベンチマークはNVIDIA製GPUが優位に立つ傾向にある。GPUの性能をもってしても、ゲームエンジンの“最適化”の影響は覆せなかったということになる。
なお、GPU(やCPU)への最適化具合はゲームによって異なる。全てのタイトルがGeForceに有利というわけでもない。「こんな結果もあり得る」程度に考えておこう。
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