Audibleがオリジナルコンテンツを強化する理由(2/2 ページ)

» 2020年12月22日 12時00分 公開
[田中宏昌ITmedia]
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2021年は飛躍の年、オリジナルコンテンツに力を注ぐ

 今後注力するのはオリジナルコンテンツとのことだが、日本国内だけだと市場規模が小さいのではと聞いたところ、「今後の戦略の最も中心に据えられるのが、オリジナルコンテンツであり、核となるものだ。ご存じの通り、アニメと漫画が世界に波及している現状は、オーディオコンテンツでも同様になると考えている。ゼロから作るよりも、生まれているタイトルをローカライズする方が経済的という側面もあるが、何より日本発のストーリーは類を見ない素晴らしいものがあり、それをいろいろな言語でやることはあり得るし、やっていかないといけないと思う。さらには日本のクリエイターの世界進出を手助けすべく海外に持っていきたいし、逆に世界の良質なコンテンツを日本に紹介する“ハブ”の役割を担いたい」と考えを述べた。

audible 国内のオリジナルコンテンツを世界市場に持って行ったり、その逆を行ったりするハブのような役割を担っていきたいという

 冒頭でも触れたが、2021年の飛躍に向けての施策はどうなのだろうか。

 「具体的なことは秘密にしておきたいが、とにかく有料会員を2倍にしていきたい。そのために、戦略としてはコンテンツに投資していく。コンテンツが優れていないと有料会員のみなさんも満足をしてくれないので、オリジナルコンテンツを含めて力を注いでいきたい。将来的には、海外で行っているKindle ダイレクト・パブリッシングのような取り組みも展開したいし、インドではやっている臨場感あるバイノーラル録音ものもクリエイターのみなさんに働きかけていきたいし、コンテンツを見つけ出す新たな検索方法やサジェスチョンも研究している。通勤に最適なもの、最適なものの提案などをビジネスとしてもやっていかなければならないと思っており、この1年以内に大きいものを提案できると思っている」と抱負を述べた。

 ゲイン氏が繰り返し触れていたのは「お客さま第一という企業理念」だ。それを実現するのがオリジナルコンテンツであり、出版社などと共同でオーディオファーストに取り組むことなのだろう。

 何より、聞く映画として新たに挑戦したアレク氏2120では、とにかく出演者が楽しんでいる。冒頭の発表会でベテラン声優でもある山寺宏一氏は、「(オーディオコンテンツは)一生やっていきたいものの1つ。音声だと脳の中に大きく広がるし、聞く年代によって感じることも違う。一生楽しめるコンテンツだ」と熱く語った。

 加えて、俳優の窪塚洋介氏は「以前からAudibleを使っていたけど、面白いのは作品としては完成しているのに、イメージに浸るのは聞いてくれた人による。つまり視聴者に頼るわけで、送り出す方と受け取る方という関係性がAudibleは普段の映画やTVとは違う関係性になれるのが大きい」と主張している。このあたりにも、Audibleが躍進するヒントが隠されているのかもしれない。

audible 記者の個別質問に答えるマシュー・ゲイン氏
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