この点でアプリケーションの互換性を鑑みれば、話題として出てくるのが「Cloud PC」の存在だ。以前にも触れたが、Microsoft Azure上で動作する「Windows Virtual Desktop(WVD)」のコンシューマー版、あるいは一般向けバージョンが提供されるのではないかという話がたびたび出ている。
本件を複数回報じているZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏が、2020年12月に米Microsoftが出した従業員募集のフレーズの中に「Cloud-Powered Windows Devices(CWD)」という開発チームの存在をキャッチアップしており、前出のOOBEでのセットアップ項目のインターネット必須という条件と合わせ、Windows 10Xそのものがクラウドと密接に結びついて動作するものである可能性が強い。
本稿でも可能性について言及するたびに「眉唾だ」と指摘されるが、しばしばトピックに上る「Windows 10のサブスクリプションモデル(Microsoft 365 for Consumer)」も、こうした部分にリンクしているのではないかと考える。
なお、ジョー・フォリー氏によれば、この「Cloud PC」のサービスは早ければ2021年春にも発表される可能性があるという。
以上が、Windows 10Xで現状出ている情報をざっくりとまとめた情報だ。筆者の感想は、現状のWindows 10Xは「Chrome OS対抗」という部分では以前のWindows 10Sに比べれば戦えるレベルに達していると考える。ただし、既に組み立てられつつあるエコシステムに対し、OEMパートナー各社を抱えてどこまでMicrosoftが製品をユーザーにアピールできるのかが最大の争点だと考えている。
同時に、今回公開されているUIは「Chrome OSライクなWindows UI」と考えれば問題ないが、本来の用途である「2画面で折りたたみ可能なモバイルデバイス」にそのまま適用するには“少々いけていない”という感想も抱いている。
動作しているのがWindowsアプリだからしょうがないのだが、相変わらずペンのようなポインティングデバイスの利用を前提にしている印象で、2022年初頭に登場ともいわれる「Surface Neo with Windows 10X」が本当に一部を除いた比較的多くのユーザーに受け入れられるか疑問に思っている。まだまだ正式発表さえ行われていない段階であり、今後のリリースまでにいろいろ試行錯誤しながらブラッシュアップしてほしいところだ。
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