スペックは「ロケット級」? Intelの新CPU「Core i9-11900K」「Core i5-11600K」の実力を速攻で検証(2/3 ページ)

» 2021年03月30日 22時00分 公開
[松野将太ITmedia]

CPUソケットはComet Lake-Sと同じ「LGA 1200」

 Rocket Lake-SのCPUソケットは、Comet Lake-Sと同じ「LGA 1200」となる。ただし、PCI Express 4.0バスの搭載やDDR4-3200メモリのサポートなど、Comet Lake-Sにはない機能も追加されている。そのため、Rocket Lake-Sの性能を引き出すには「Intel 500シリーズチップセット」を搭載するマザーボードの利用が推奨される。

 500シリーズチップセットには、ハイエンド向けの「Intel Z590」、普及価格帯向けの「Intel H570」、ビジネスPC向けの「Intel B560」、エントリー向けの「Intel H510」の4種類が用意されている。一部は「Comet Lake-S対応マザーボード」として既に販売を開始しているが、そのまま「Rocket Lake-S用マザーボード」としても利用できる。ただし、Rocket Lake-Sに対応するためのUEFIのアップデートが必要な場合もある。

 500シリーズチップセットのうち、上位のZ590とH570はCPUとチップセットを結ぶ「DMI 3.0バス」の最大レーン数が8本に拡張されている。Rocket Lake-Sと組み合わせて使うことで、接続できるデバイスの数が増える。

 さらに、H510以外の500シリーズチップセットはRocket Lake-Sと組み合わせるとメモリのオーバークロックを利用できる(Z590のみComet Lake-Sとの組み合わせでもオーバークロック可)。比較的手頃な価格のZ570/B560搭載マザーボードでも、気軽にオーバークロックを体験できる。

 ちなみに、前世代の「Intel 400シリーズチップセット」でも、「Intel B460」「Intel H410」以外はRocket Lake-Sに対応できる。ただし、マザーボードメーカーが提供するUEFIアップデートの適用が必須となる他、500シリーズチップセットの組み合わせで利用できる一部機能をサポートしない。詳しい状況は、マザーボードメーカーのWebサイトなどを参照してほしい。

メモリOC Rocket Lake-Sを使うと、Z590に加えてH570/B560を搭載するマザーボードでもメモリのオーバークロック機能を利用できる
ETU オーバークロックに関する設定は、前世代と同様に「Intel Extreme Tuning Utility(XTU)」を使って行う

内蔵GPUは「Xeアーキテクチャ」に AI処理も高速化

 Rocket Lake-Sでは、内蔵GPUがTiger Lakeと同じ「Xeアーキテクチャ」ベースとなった。ただし、実行ユニット数(EU)が24基または32基と少なめであるため、GPU名は「Iris Xe Graphics」ではなく「Intel UHD Graphics 730」(EU 24基)または「Intel UHD Grapics 750」(EU 32基)となる。

 EUが少ないとはいえ、Comet Lake-Sの内蔵GPUよりもパフォーマンスは確実に向上している。軽量なゲームであれば快適にプレイできるはずだ。

 Ice LakeやTiger Lakeと同様に、機械学習ベースのAI(人工知能)処理を行う命令セット「Intel Deep Learning Boost(AVX512/VNNI)」もサポートしている。この命令セットを使う動画/写真編集アプリでは、処理速度の大幅な改善を期待できる。

パフォーマンスアップ 内蔵GPUはXeアーキテクチャベースとなり、AI処理を高速化する命令セットも新たにサポートした

やはり気になるのは「コアとスレッドの削減」

 Rocket Lake-Sの主なラインアップを見ていると、Core i7とCore i9でコアやスレッドの数に差がないことがどうしても気になる

 一応、Core i7とCore i9との間には「TVB対応の有無」という差があり、「Core i7-11700K」(3.5GHz〜5.1GHz、8コア16スレッド)とCore i9-11900Kでは最大クロックに300MHz(0.3GHz)ほどの開きがある。ただ、実利用において300MHz程度の差は“劇的”とはいえない。ハイエンドユースではCore i7の方が人気を集めそうである。

 Core i5については、Comet Lake-Sと同じ6コア12スレッド構成だ。Core i9がサポートするTVBはもちろん、Core i7/i9がサポートするTBT 3.0もサポートしない。

 TDP(熱設計電力)は、アンロック対応の「K」付きモデルが最大125W、それ以外のモデルが65Wで、Comet Lake-Sと同様だ。特にCore i9の発熱は大きくなりがちなので、上位モデルではオールインワン水冷クーラーの利用を推奨したい。

 税込みの想定価格は、Core i9-11900Kが7万8000円前後、Core i7-11700Kが5万9000円前後、Core i5-11600Kが3万8000円前後である。ただし、ここ最近のCPUの販売価格は、半導体全般の供給不足により読みにくい。どれを選ぶかは、その時の売価次第となってきそうだ。

主な仕様 Rocket Lake-Sの主な仕様(Core i7/i9)
主な仕様 Rocket Lake-Sの主な仕様(Core i5)
Core i9-11900KCore i9-11900K Core i9-11900K
Core i5-11600KCore i5-11600K Core i5-11600K
CPU-ZCPU-Z 「CPU-Z」で取得した情報

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
最新トピックスPR

過去記事カレンダー