内部へのパーツの組み込み方法は従来通りだ。底面の4つのネジを緩めて(落脱防止ネジ)、底面のカバーを外してアクセスする。ストレージはM.2スロット×1と2.5インチベイ×1で、第11世代Coreを搭載するためM.2スロットはPCI Express 4.0 x4にも対応している。
ちなみに、2.5インチベイに搭載可能なストレージは7mm厚までの制限がある。例えば15mm厚クラスの大容量HDDを内蔵できない。もっとも、一部のHDD、SSDはほとんどが7mm厚なので選択肢は豊富だ。なお、7mm厚で限定するとHDDは2TBが最大で、SSDの方がまだ容量単価が高いとはいえ最大8TBまで用意されている。
少し脱線するが、旧世代のNUCを運用している経験則としてストレージ選びのポイントを挙げておこう。まず、QやHクラスを選択する人の多くが2ドライブを使いたいケースだろう。もちろん、2.5インチベイにはHDDもSSDも装着でき、そこは問題なく動作するが、ドライブを搭載する前の状態から比べると心なしかファンの回転数が上がる印象だ。
省電力とはいえ、SSDもHDDも熱源に変わりはない。HDDよりはSSDの方が若干、発熱が低くて済むので、理論上はSSDの方が静かになるだろう。また、ファンによる強制冷却を採用しているが、NUCの内部はかなり密な状態で熱がたまりやすい。熱源を1つ減らす、エアフローが循環するスペースを少しでも広く確保するという目的で、2.5インチベイをあえて使わないという選択もありだ。
本製品が搭載するCPUはCore i7-1165G7。4コア8スレッドのCPUで、定格クロックがコンフィグラブルTDP-up時で2.8GHz(28W)、同TDP-down時で1.2GHz(12W)、ターボブースト時の最大が4.7GHzとなる。4コア8スレッドあれば、一般的な用途なら大半がカバーできるだろう。
GPU機能は、統合グラフィックスのIntel Iris Xe Graphicsだ。クロックは1.3GHz、EUが96基といった仕様である。第11世代Core i7中で最大のEU数であり、アーキテクチャの変更と合わせて従来の統合GPUから一線を画した性能が得られるだろう。
メモリは2スロットあり、動作クロックはDDR4-3200まで、容量は合計64GBまで対応する。なお、Core i7-1165G7はDDR4-3200に加えてLPDDR4x-4267にも対応しているが、NUCはベアボーンキットなのでDDR4-3200という選択肢しかない。
統合GPUは、メインメモリをシェアするためメモリ性能が重要で、NUCの場合はここがネックとなる。単純にグラフィックス性能だけで見れば同じCPUを搭載し、メモリがLPDDR4xのノートPCの方が3D性能が高いということもあるだろう。かといってNUCがLPDDR4xをオンボード実装していたら、メモリの拡張性が失われることに加え、性能と引き換えに価格も上昇してしまう。ここはトレードオフと言える部分だ。
インタフェースは前後および左側面に用意される。前面にはThunderbolt 3(Type-C)×1、USB 3.1 Gen2(Type-A)×1、オーディオ入出力ジャック×1、電源ボタンがある。背面には電源入力、Mini DisplayPort 1.4×1、2.5GbE対応有線LAN×1、USB 3.1 Gen2(Type-A)×2、Thunderbolt 3(Type-C)×1、HDMI 2.0b×1がある。左側面にあるのはSDXCカードリーダー(UHS-II対応)だ。
この他、右側面にはセキュリティ・ロックスロットを備え、ワイヤレス通信ではWi-Fi 6やBluetooth 5.2が利用できる。
ACアダプターは3極(C5、通称ミッキー型)で、出力120W(19V×6.3A)だ。NUCが小さいだけにACアダプターの大きさが印象的だ。評価機には付属していたが、キット版はAC電源コードが別売とのことなので、C5型のケーブルを入手する必要がある。
続いて、ベンチマークテストで本製品の実力を見ていこう。
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