2020年9月10日に富士通クライアントコンピューティング(FCCL)から発売された2in1タブレットPC「arrows Tab EH」は、PCを初めて使う小学生から中学生をターゲットにした製品だ。同社は文教(学校)向けPC市場で高いシェアを誇っており、小中学校でFCCL製PCが導入されているところは多い。このモデルは、同社が富士通を通して学校に納入しているモデルをベースに開発されている。
STEM教育やプログラミング教育に対する関心が高まっていることを受け、PC各社は文教向けPCをベースとしたコンシューマー向け製品を相次いでリリースしている。2018年7月に小学生向けノートPC「LIFEBOOK LH」を発売した同社は、ある意味でその“先駆け”であるともいえる。
arrows Tab EHの想定ユーザーは、先述の通り「小学生から中学生」である。筆者には高校1年生の娘と中学1年生の息子がいるが、娘はターゲットから少し外れ、息子はターゲットの範囲内ということになる。
2人には先日、上位モデルに当たる「LIFEBOOK EH」を試してもらったばかりだが、今回はarrows Tab EHを試してもらい、十分に使いこなせるものか検証していく。
先ほども少し触れたが、arrows Tab EHは学校に納入されているモデルをベースに開発されている。具体的にいうと、文部科学省の「GIGAスクール構想」の推奨(最低)スペックを満たした10.1型2in1タブレットPC「ARROWS Tab Q5010/DE」のコンシューマー向け製品という位置付けだ。
使ってみる前に、まずarrows Tab EHの基本スペックを確認していこう。
CPUは「Celeron N4000」(1.1GHz〜2.6GHz、2コア2スレッド)を搭載している。「Gemini Lake」という開発コード名で呼ばれていたCPUで、現行のCoreプロセッサと比べると処理能力の面ではどうしても劣る。ただ、Webブラウザでサイトを閲覧したり、ワープロソフトで文章を作ったり、プレゼンテーションソフトで投影資料を作ったりといった軽めの処理であれば意外とこなせる。
メインメモリは4GBで、これはCPUと合わせてGIGAスクール構想の推奨スペックは満たしている。ただ、家で使うということは、学習用途以外でも活用される可能性もある。それを踏まえると、せめて8GBは欲しかったと思う。
ストレージは、128GBのeMMCを搭載している。容量はまずまずなのだが、Serial ATAポートやPCI Expressバスで接続されるSSDと比べると、どうしても読み書きの速度は遅くなってしまう。それでも、HDDと比べれば高速で、衝撃に強い。読み書きのパフォーマンスについては、この後のベンチマークテストでも触れる。
OSはWindows 10 Pro(64bit版)がプリインストールされている。これも、GIGAスクール構想の推奨スペックに準拠した格好だ。
arrows Tab EHは、子どもが屋外などで使うことを想定し、IP5X等級の防塵(じん)性能とIPX4等級の防滴性能を確保している。また、液晶を取り囲むフレームをあえて太めにして強化ガラスを採用したことで、本体を落下させても液晶ディスプレイが割れにくくなっている。本体の四隅には、滑りにくいラバー素材が使われており、側面や背面にも摩擦力の高いテクスチャーが使われているので、手で持った際も滑りにくい。
ボディーの丈夫さという面では、高さ76cmからの落下試験や振動試験、200kgfの全面加圧試験など、米国防総省の物資調達基準「MIL-STD-810G(MIL規格)」に定める耐衝撃/落下試験をクリアしている。意外とPCをラフに扱いがちな子どもたちが使っても安心だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.