このWacom Oneだが、モバイル用途で活躍できるのだろうか。前で述べたように、一般的なモバイルディスプレイのようにUSB Type-Cケーブル1本で接続は行えない。電源も別途必要になる。
しばらくは、オフィシャルページにあるように付属のACアダプターを使って試用していたが、このアダプターをチェックすると、出力が5V/2Aとなっている。そして、使用中の給電量を見てみても、1.2Aいくかいかないかという電流値だ。どうやらモバイルバッテリーでも十分事足りそうである。
モバイルディスプレイをつなげると、PC本体の電力が吸い取られるかのようにバッテリー残量がぐんぐん減っていったのだが、これなら心配不要だ。Wacom Oneの動作保証外の試みとなるが、USB Power Delivery出力対応の大きめモバイルバッテリーを持ち歩く必要はなくなった。
ここでもう1つ試したのが「給電能力の高いUSB Type-Aポートを搭載しているノートPCなら、モバイルバッテリーすら不要なのでは!?」ということだ。幸い、手持ちの超小型PCにはDisplayPort Alternate Mode対応のUSB Type-Cポートの他、USB 3.0のUSB Type-Aポートがある。前述のHYPER DRIVEだけあれば、全出力をまかなえそうだ。
というわけで、8.9型の超小型PC「GPD P2 Max」とWacom Oneを持って近所のフードコートに息抜きがてら出かけてみた。
おもむろに、ガジェット類を取り出してつなげてみる。HYPER DRIVEを介して映像と入力データを、GPD P2 Max本体から電力を供給する、無事にWacom Oneがモバイルディスプレイとして起動するではないか。
Wacom OneとGPD P2 Maxの間をケーブルが行ったり来たりしているため、「永久機関っ!」と思ってしまったが、電力が確実に削られているのでそうではない。PC側のバッテリーがゴリゴリ減っていくものの、これならモバイルバッテリーすら持ち歩かずに済むもちろん、タブレットドライバをインストールすれば、液タブとしてペンで描画できるようになる。この最小構成で、オンラインホワイトボードを便利に使える会議システムが完成してしまうのだ。
タッチ非搭載の15.6型モバイルディスプレイが2万円以下で買えることを考えると、4万円台のWacom Oneは高く感じてしまうかもしれない。しかし、必要なときには精細な書き込みが可能で、コミュニケーションもコラボレーションもはかどるツールを同時に手に入れられると考えたらどうだろう。
しかも、持ち運べて引き出しにしまえるモバイルディスプレイが手に入る(PCによっては接続が面倒になるが)のだから、意外とお得ではないだろうか。
モバイルディスプレイの購入を検討しつつ、まだ導入していないのであれば、Wacom Oneを選択肢の1つに入れてみてはどうだろうか。
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