Windowsを使っていないときにスクリーンセーバー代わりに使えるこの機能だが、ざっと試した限りでは気になる点もいくつかある。
1つはウェイクワードへの反応が遅いことだ。「Alexa」と声をかけてから、画面の上部に青のバーが点灯し、応答音が鳴るまでの間隔が、Echo Showや、Showモードに設定したFireタブレットに比べると遅く、テンポよくやりとりができない。今回試用したのはThinkPad X1 Carbon(2019)で、スペックが低いわけではないので、ややひっかかる。
またEcho Showと比較すると聞き取り性能が低く、なるべく大きな声で話さなくてはいけない上、音楽を再生している最中のウェイクワードの聞き取り性能もいまいちだ。このあたりは元のハードウェアがスマートスピーカー利用に最適化されているわけではないので、仕方がないだろう。専用機であるEcho Showにはかなわない部分だ。
もっともこれについては、呼びかけ専用のマイクを増設して手元に設置するなど、PCだからこそできる拡張方法はあるかもしれない。
加えて、ウェイクワードを変更できないのもネックだ。今回の「レノボPC×Alexa」という組み合わせを試す場合、既に室内に別のAlexa端末が存在している可能性が高いが、それらと区別するためにウェイクワードを変更しようにも対応できず、もう一方のAlexa端末側で変更しなくてはならない。
もう1つ、実用的な部分で困るのは、部屋の明るさと連動して画面が暗くならないことだ。Echo Show、およびShowモードに設定したFireタブレットでは、室内が暗くなるとディスプレイの輝度を落としつつ、時計のみの表示に切り替える機能(アンビエントクロック)がある。
しかし今回のレノボ製PCはこうしたギミックがなく、部屋の照明を消しても、画面は点灯したままだ。センサーでの自動調整が難しいようならば、スケジュール設定で切り替えられるようにするなど、一工夫が欲しいところだ。
以上のように、通常のAlexaを使えるだけでなく、Showモードを利用できるのが最大のメリットだ。電源を入れっぱなしにしているPCが身近にあれば、スクリーンセーバー代わりに入れておくことで、ちょっとしたデジタルサイネージとしても役に立つだろう。
今回見てきたように、細かい使い勝手はまだまだ改良の余地があるが、これまではPCで音声アシスタントを使おうにも、いざという時にPCがスリープしていて応答がなかったり、ハンズフリーで操作できるのが売りのはずが手動でのロック解除を求められたりと散々だったので、きちんと実用レベルの使い勝手を実現していることは評価できる。今後さらなる進化を期待したいところだ。
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