TOUGHBOOKシリーズは、キーボードを備える「CFシリーズ」と、ハンドヘルド/タブレットタイプの「FZシリーズ」に二分される。CFシリーズの一部モデルは、キーボードを着脱できるデタッチャブル2in1となっている。
今回紹介しているFZ-G2は、型番からも分かる通り“タブレット”であり、キーボードは別売となる。ただし、画面サイズを踏まえて考えると、2016年3月に発売された着脱可能なキーボードが付属する「TOUGHPAD CF-20」の事実上の後継モデルでもある。
別売のキーボードベースは、一見すると従来のものと変わりないように見えるが、大きく2つの点で改善されている。
改善要素の1つが、本体とキーボードベースとのドッキング機構だ。
CF-20のキーボードベースでは、本体を差し込むとベース側の誘導フックが“回転”して固定されるようになっていた。FZ-G2のキーボードベースも基本的な考えは同様だが、レバー操作をすることで、より深く確実に固定できるようになった。
密着性が高まることで、本体とベースの“瞬断”リスクを大幅に減らせる。
もう1つの改善要素がキーボードバックライトだ。
暗所で作業をする上で便利なキーボードバックライト自体は、プレミアムモデルを中心にノートPCで広く採用されている。FZ-G2のキーボードベースでは、単にキーボードバックライトを搭載しただけではなく、光る色を変えられるようにしている。「色が変わるなんて、まるでゲーミングキーボードみたい」と思うかもしれないが、これは実用性を重視した結果だ。
一般的なノートPCのキーボードバックライトは、白色のみを用意している。暗所ではこれが意外とまぶしくて、目がくらんで暗所がしばらく見えなくなってしまうことがある。暗所作業をする場合、バックライトの色を変えられると目に優しいのである。
設定できる色は、ホワイトを含めて6色用意されている。「暗所作業用なら赤(レッド)とだいだい(オレンジ)があれば十分じゃない?」と考えがちだが、環境や個々人によって適切な色は異なる。複数の色(と輝度)を選択できることが重要なのである。
FZ-G2のキーボードベースは「いやー、現場の悩みをよく分かっているじゃないですか!」とお礼を言いたい気持ちになってしまうほどによくできている。
キーボードベースのポート類は、左側面に電源端子とUSB 3.0 Type-A端子を、右側面にUSB 3.0 Type-C端子を備えている。底面には拡張バスコネクターもある。
キーボードベースにはハンドルも付いており、本体を取り付けたまま持ち運べる。
キーボードベースのキーボード部分は、実測でキーピッチが約18mm、キートップのサイズが約16mmとなっており、ストロークは約1.8mmを確保している。キートップの形状は、最近のLet's noteでもおなじみの「リーフ状」となっている。
タイプ感はやや軽めだが、ストロークは深めなので使い心地は良好だ。
FZ-G2の本体前面には「プログラマブルキー」が3つ用意されている。それぞれのキーにはアプリの起動やディスプレイのオン/オフ、カメラユーティリティーの起動と撮影、バックライトやディスプレイの表示モード(昼間/夜間設定)の切り替えなどを割り当てられる。3つのプログラマブルキーのうち、2つは長辺側に、1つは短辺側に分かれて置かれているので、本体を横に持っても縦に持っても便利に使える。
FZ-G2のディスプレイは1920×1200ピクセル表示に対応する10.1型液晶で、最大輝度は1000ニトに引き上げられている。明るい場所では、ディスプレイも明るいほど視認性は高まる。屋外でも快適に使えるのは心強い。
逆に暗い場所では、輝度が低いほど視認性が向上する。この点、FZ-G2のディスプレイは最低輝度を2ニトに設定できるので、夜間や暗所での作業性も確保している。
このディスプレイは、タッチ操作やペン入力にも対応している。使われる環境に考慮して、手袋をしたままタッチ操作できる設定や、画面が水にぬれた状態でもタッチ操作できる設定も用意されている。
ただし、画面が水にぬれた状態で、手袋をしたままタッチ操作をすることはできない≫。そんな時に役立つのが、付属のデジタイザーペンだ。このデジタイザーペンを活用すれば、画面が水にぬれても、手袋をしたままでもタッチ操作を行える。
FZ-G2本体にはデジタイザーペンを固定するための“つめ”ホルダーも備えている。本体とペンを一緒に持ち歩く際に活用したい。
主に工事の現場では、現場の様子をデジタルカメラで撮影して、作業検討や業務報告に活用することが多い。また、現場からのリアルタイム報告にWeb会議ツールを利活用するケースも増えている。
現場の撮影やコミュニケーションに対するニーズに応えるために、FZ-G2には約800万画素のアウトカメラ(LEDフラッシュ付き)と200万画素のインカメラを備えている。カメラを持ち歩かなくても済む上、クラウド経由で写真を送信する際はデータを移し替える必要もないので便利だ。
ちなみに、インカメラには物理的なシャッターも付いている。使わない時はふさげるので、プライバシーが気になる人も安心して使える。
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