FZ-G2のパフォーマンスはどれほどのものか、ベンチマークテストを通してチェックしてみよう。今回テストした個体は開発試作機で、スペックは以下の通りだ。開発試作機ということもあり、数値はあくまでも参考値として見てほしい。
レンダリングを通してCPUの性能をチェックする「CINEBENCH R23」では、マルチスレッドのスコアが3118ポイント、シングルスレッドのスコアが1047ポイントとなった。
事実上の先代モデルであるCF-20と比べるとコア数が2倍となったことから、マルチスレッドのスコアが伸びている。コア数やスレッド数が重要な処理では、より快適に使えるようになった。
PCの総合性能をチェックする「PCMark 10」の結果は以下の通りとなった。
TOUGHBOOKシリーズがカバーする用途を考えると、必要十分な性能を備えているといえる。
3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックする「3DMark」から、DirectX 12ベースの「Night Raid」のテストも実施した。スコアは5053ポイントとなった。
最後に、内蔵ストレージの性能を「CrystalDiskMark 7.0.0」でチェックした。
シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)の読み出しは毎秒1935.38MB、書き込みは975.59MB、ランダム(RND4K Q32T16)の読み出しは毎秒276.68MB、書き込みは110.42MBとなった。
Serial ATA接続のSSDと比べると読み書き共に高速で、業務利用では必要十分といえる。
FZ-G2を触っていると、フィールドワークで用いる端末としてよく考えられていると思うポイントは幾つもある。特に注目したいのがディスプレイ輝度とスピーカーだ。
先述の通り、ディスプレイ輝度は最大1000ニト、最低2ニトとなっている。最大輝度は先代の800ニトから向上した。
ディスプレイ輝度の重要性は、屋外でノートPCを使ったことのある人ならすぐ分かるだろう。直射日光の下で使う液晶パネルは視認が難しく、強力なバックライトを必要とする。先代の800ニトでも、一般的なノートPCのパネルより明るく屋外での視認性は良好だったが、FZ-G2では輝度がさらに2割増しとなったことで、晴れた屋外におけるディスプレイの視認性は確実に向上している。
合わせて、先述の通り、暗所作業を考えると最小輝度も重要だ。フィールドワークでは夜間の屋外でも使用することが多い。キーボードベースのバックライトの話でも触れたが、明るい光は視線をそらした後の視認性を著しく低下させてしまう。このようなリスクを低減するために、暗所ではディスプレイの輝度は低い方が望ましい。FZ-G2では輝度を2カンデラまで下げられるので、暗所でも安心して使える。
スピーカースピーカーは、従来のモノラル(最大76dB)からステレオ(最大88dB)となった。「え、TOUGHBOOKでスピーカーを強化する意味があるの?」と思う人もいるだろう。確かに、最大音圧88dBのメリットは、スグにはピンと来ない。
しかし、よくよく考えてみると、ステレオ化と音圧アップには大きなメリットがある。別に屋外でも迫力のある音楽を楽しむというわけではない。大きな“騒音”が発生している場所で音を聞き取りやすくなるのだ。
TOUGHBOOKは、工場であったりプラントであったりと、大きな騒音が発生している現場活躍することも多い。例えば、端末(TOUGHBOOK)が発している警告音を聞き漏らすと大変なことになる。もっといえば、最近は現場とバックアップオフィス(サポート拠点やコントロールセンター、開発室など)とのやりとりを音声チャットやビデオチャットで行うことも増えている。
現場でこそ、スピーカーの聞き取りやすさが重要となる。そういう意味で、スピーカーの強化は理にかなっているのだ。
冒頭で述べたように、FZ-G2にはIP65等級の防じん/防水性能を備え、MIL-STD-810H規格に準拠する耐衝撃/耐環境性能を有する。
耐衝撃/耐環境試験の方法はWebサイトで具体的に説明されているが、例えば防じん試験では75μm未満の粉じんをボディ内気圧2kPaに減圧した状態で8時間浴びせたり、防水試験では毎分12.5Lの水流を2.5〜3mの距離から全方位に渡って10分以上浴びせたりしている。耐衝撃試験では、本体を26方向で合板面に本体のみの状態で120cmから、キーボードベースを装着した状態で90cmからそれぞれ落としている。
さらに、FZ-G2ではコンクリート面に対する高さ90センチからの6方向落下試験も実施している。これはMIL-STD-810Hで定めている合板への落下試験より厳しい水準で、実利用環境を想定して加えられているという。
「丈夫なPCといったらTOUGHBOOK」という感じで、TOUGHBOOKはタフネスPCの代名詞のような存在になっている。それだけ、長らく評価され続け、実績と信頼を重ねてきているということだ。
一方で、最近では他社からも丈夫さを強調するノートPCやタブレットも増えてきた。「値段の高いTOUGHBOOKを選ばなくてもいいのでは?」という声も聞こえてくるようになってきた。
しかし、TOUGHBOOKをつぶさに検証すると、同じ「防じん防水、耐衝撃」を掲げていても、そのレベルが大きく異なることが分かる。長期間に渡ってユーザーから得た膨大なフィードバックを反映した実用性の高さを加味して考えると「過酷な現場で本当に信頼できるマシン」に対する最適解は、まだまだTOUGHBOOKなのだろうな、と考えざるを得ない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.