ディスプレイの再設計で生まれ変わった「Apple Watch Series 7」 その隠された魅力:細部に神を宿らせたデザイン(1/2 ページ)

» 2021年10月13日 22時00分 公開
[林信行,ITmedia]

 ケースの端いっぱいまでに広がって今にもこぼれ落ちそうな水――真横から見た新しい「Apple Watch Series 7」。その湾曲したディスプレイの縁にはそんな美しさがある。

 このディスプレイこそが、新製品の特徴の全てと言っていい。

Apple Watch Series 7 ディスプレイの縁が丸みを帯び斜めから見ても数字が見える「Apple Watch Series 7」。この水たまりのような形状のディスプレイに合わせて、Appleは新たに「Contour(輪郭)」という縁をいっぱいに使った文字盤を作った(手前)。タップすると水のような揺らぎを見せる。

変わったのはディスプレイだけだがそれこそが大きな変化

 他にも、付属のUSB Type-Cケーブルを使っての高速充電により、従来よりも33%速く、たった8分で8時間の睡眠トラッキングに十分な充電が、そして45分で0%から80%までの充電ができるといった特徴もあるが、この充電以外の進化のポイントは全てディスプレイに集中している。

 中には、「それだけ?」と驚く人もいるかもしれない。これは小さいように見えて非常に大きな変化で、使う人の体験も変わってくれば、アプリの作り方も少し変わるかもしれない。

 これまでのiPhoneの歴史などをひも解いても、ディスプレイサイズの変化など重要な変化があるとき、「やり過ぎ」を嫌うAppleは、その変化だけに集中して、あえて多くの機能を追加しないことがある。Apple Watch Series 7の進化は、まさにそんな感じの進化だ。

 以下では、今回のディスプレイの進化がどれくらいすごいものかを解き明かしていこう。

 まず、ディスプレイのサイズについてだ。新ディスプレイはただ美しく湾曲しただけでなく、大型化も果たしている。

 縁取り部分をわずか1.7mmまで縮めたことで、表示領域が2020年のSeries 6と比べて20%も大型化している(併売されるSeries 3と比べると50%も大きい)。

 だから、画面に表示できる文字量も増加し、スクロールせずに読み終える情報が増える。

Apple Watch Series 7 歴代Apple Watrchの表示領域の比較。Series 7が縁のギリギリまで領域を広げているのが分かる

 付属の「計算機」アプリのボタンも、わずか12%大きくなっただけというが、少なくとも45mmケースのモデルでは、「間違えて隣のボタンに触れないように」と注意しながら操作する気疲れが、ほぼ無くなって快適に使えるようになった。

 さまざまな形の選択肢がある中で、新しい製品が正しい方向に進化したかの1つの指標は、「もう昔の製品に戻れない」と感じられるか否かだ。2020年モデルのSeries 6は、Appleが2020年時点でできるベストを尽くした製品で、この上なく美しいApple Watchだったが、Series 7の登場で、その「上」ができてしまい、しばらくSeries 7に見慣れた後で振り返ると、少し古く感じるようになってしまった。

Apple Watch Series 7 Series 6(左)とSeries 7(右)で計算機アプリを起動した状態で画面サイズを比較をした。バンドを外してみると、超小型計算機のようでかわいらしい(目の錯覚がなくなり、この方がボタンの大きさの違いが伝わりやすい)
Apple Watch Series 7 Series 6(左)に比べて約50%も多くテキストを表示できるようになり、一覧性も高まっている

 新ディスプレイの特徴は大きさだけではない。見ただけでは違いが分かりにくいが、作りの頑丈さという点で見ても、これまでのディスプレイから大きく進化している。

 Apple Watchでは文字などの情報は有機EL(OLED)のパネルに表示される。これまではそのOLEDの上にタッチセンサーの層があり、その上にパネルを保護する前面クリスタルの層が載っていた。

 Series 7では、薄型化のために新たにタッチセンサーと一体化したOLEDを開発した。前面クリスタルは最も厚い部分がSeries 6に比べて2倍になり、クリスタルの土台の形状も見直して亀裂などの破損が起きにくくなっている。

Apple Watch Series 7では大きな画面を生かして英語と中国語のキーボードが追加された。キーボードの上を指でなぞると入力したい語を認識してくれる

 不思議なのは、最大2倍の厚みながらも、文字などの表示は、これまで通り画面の表面に浮かんでいるように見えることだ。Appleのデザインによるマジックだろう。おそらく、画面の見ている側と反対端の絵や文字が、クリスタルの縁と共に湾曲して消失していることがそのように感じさせるのだと思う。

 古い安物のスマートフォンなどを見たことがある人は分かると思うが、文字が分厚い保護ガラスの下に表示されているように沈んで見えるディスプレイは、それだけで操作がしづらく、ユーザー体験も悪いケースが多い。

 Apple Watchでは、それがない。確かに、細かに観察すると見る角度によっては、情報表示面の上にあるガラスの厚みが見えないことはないが、普段使っているときはほぼそれを意識しない見た目だ。ボタンを押した際の動きや効果音で、画面上の情報に直接指で触れているような感触を生み出している。

 新ディスプレイの頑丈さについて付け加えると、既に水泳でも使える防水性能(潜水には非対応)でも評価があったが、今回、そこにIP6X等級の防じん性能も備えた。つまり、泥土や粉じんが飛び交う環境でも安心して使えるのだ。

Apple Watch Series 7

 もちろん、ほとんどの人は普段の生活で、そんなことまで意識しないだろう。意識するのは、このディスプレイが大きくなって操作もしやすくなり、次に紹介する画面の特徴を生かしたSeries 7専用の新しい文字盤などが誕生したことの方だ。

 しかし、そうした人々もApple Watchをつけたままアウトドアのアクティビティーをすることもあるだろうし、その際に事故で水をかけたり、泥をかぶったりすることもあるだろう。そうした場合でも安心ということだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月25日 更新
  1. 定格1650Wの7.5万円電源&Noctuaファン採用の異常検知アダプターが登場! (2026年10月24日)
  2. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  3. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  4. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  5. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  6. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  7. エイサー、Ryzen 3/5を搭載したコンパクトデスクトップPC Amazon専売モデルも用意 (2026年10月23日)
  8. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  9. Anthropicが常時稼働するエージェント「Claude Duet」を発表/AMDとIntelが協業 PyTorchのx86 CPU最適化を「oneDNN」に一本化 (2026年10月25日)
  10. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー