日本HPは1月20日、報道関係者向けに事業説明会を開催した。同社の事業説明会は毎年1月に開催されており、前年度の振り返りをしつつ、当該年度の事業方針を説明する場となっている。
発表会の冒頭、2021年11月に岡隆史氏(現取締役会長)から社長のバトンを受け継いだ岡戸伸樹(おかど のぶき)氏が「2022年度は第2の創業と位置づける」と強い意気込みを語った。
これは社会環境が大きく変化をしていく中で、「これまで築いたものを守っていくことと、新しい環境になったからこそ、大胆に新しい社会に適応できるところは変えていくことだ」と岡戸氏は述べた。
HPのグローバルビジネスでは、売り上げが約7兆3000億円(日本円換算)、利益は約6600億円と前年比で12.1ポイント増と大きく成長した。特にゲーミングPCやプリント事業などが好調で、2021年に買収した米Kingston Technologies(Kingston)のゲーミング部門「HyperX(ハイパーエックス)」を含めた周辺機器やデジタル印刷、3Dプリンティング分野も成長をけん引したという。
特に今後の成長が期待されているのはパーソナルPC市場で、「近年のコロナ禍でPCの重要性が改めて見直され、公私を問わず活躍する場面が増えた。コロナ時代を生き抜く重要なデバイスとして認識されることで、買い換えサイクルは加速する」と岡戸氏は指摘し、今後も年平均で3ポイント程度の安定成長を続け、2024年の市場規模は約64兆4000億円にまで拡大するとした。これは、同社が2019年に行った市場規模予測に比べて約1.5倍に相当するという。
他にも個人向けサブスクリプションサービスや周辺機器などは二桁に近い成長率を見込んでいるという。
日本HPとしては、パーソナルシステムズ事業のゲーミングとハイブリッドワーク、プリンティング事業のデジタルプレイスと3Dプリンティングを注力ポイントとして挙げた。
特に日本のゲーミング市場では、「ゲーム人口が2021年に5000万人を突破し、ゲーミングPCはこの2年で84ポイントも増加するなど成長が著しい。ゲーミングはもはやライフスタイルになっていて、ゲームをする時間が増えたという人や、今後も継続するという人が大半を占めるまでになっているという調査結果もある」と説明。「特にZ世代など若いPCゲーマーは、ゲームがコミュニケーションツールの役割を果たしており、友人を作る良い方法として認知されている」とした。
このような流れを受けて、同社では2021年9月に「OMEN」に続くゲーミングブランドとして「Victus(ヴィクタス) by HP」ブランドを発表し、ポートフォリオを拡充している。
さらに、ゲーミングPCやゲーミングデバイスといったハードウェアに加え、「OMEN Gaming Hub」といったユーティリティーソフトを投入するなど力を入れており、「PCゲームの裾野を広げていきたい」と岡戸氏は抱負を語った。
発表会では、CES 2022でリリースされたゲーミングPCや周辺機器についても言及があり、27型で240Hz対応の湾曲ディスプレイ「OMEN 27c QHD」の販売開始がアナウンスされた。
また、OMENやVictusブランドのゲーミングPCを3月末までに国内投入する他、デスクトップPCやHyperXブランドのゲーミングデバイスについても計画中で、HyperXはこの上半期中に展開したい(岡戸氏)とのことで、今後の動向が気になるところだ。
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