NECパーソナルコンピュータ(NECPC)は2月1日、同社がクロス・マーケティングに委託して行った「Z世代のパソコン使用実態に関する調査」の結果を公表した。この調査によると、18〜25歳のいわゆる「Z世代」においてPCを利用する機会が増加し、「パソコン利用に回帰してきている」ことが伺えたという。
先述の通り、この調査はNECPCがクロス・マーケティングに委託する形で行われた。調査対象の属性など、調査の概要は以下の通りだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を抑止する観点から、2020年1月頃からテレワークを取り入れる企業やオンライン(リモート)学習を始める教育機関が急激に増えた。そのこともあり、Z世代の61%が「PCを利用する頻度と時間の両方が増えた」と回答したという。学生に絞ると、その割合は80%まで高まったそうだ。
PCを利用する頻度と時間の両方が増えたという対象者(373人)を対象に絞り込んで、頻度と時間が高まった理由を尋ねた所、回答の上位3つは以下の通りとなったという(複数回答可、以下同)。
学生はオンライン学習で、会社員はテレワークで、全体としてはコンテンツを楽しむためにPCを使うユーザーが増えたようだ。
調査対象者にWeb会議ツールをどのようなデバイスで利用しているか尋ねた所、ノートPCが75%でトップとなった。Z世代は「スマホネイティブ世代」とも言われているが、スマホを利用していると回答したのは27%にとどまっている。
人によっては意外と思う結果かもしれないが、ノートPCを使っていると答えた人(450人)にその理由を尋ねた所、回答の上位3つは以下の通りとなった。
スマホと比べると大きな画面を持ち、複数のアプリを並行して使いやすいことや、画面共有の操作をしやすいことが評価されているようである。
さらに、オンライン学習やテレワークをしている人(427人)にノートPCに求めることを尋ねた所、回答の上位3つは以下の通りとなった。
この結果から、NECPCは「持ち運びに適しながら、複数の作業を並行して実施できるノートPCは、まさにZ世代の求める『オンライン用デバイス』であるといえます」としている。
この調査では、対象者全員にコロナ禍が終わった後の将来の働き方に対する希望や、働く企業におけるテレワーク制度の有無の重要性なども尋ねている。
働き方の面では、やはり「自分の生活にあった働き方がしたい」人(95%)や、「リモートワーク/テレワークを選択できると良い」とする人(87%)が非常に多い。「毎日出社を前提とする職場に魅力を感じない」とする人も4分の3を占めた。
最近の大学では、オンライン学習はもちろんだが、対面講義(授業)でもノートPCを使う場面がある。入学手続きの際に「要件を満たすノートPCを自分で用意してください」とお願いされることも珍しくない。
そのこともあってか、Z世代は「自分専用のノートPC」を保有することの必要性を強く感じているようだ。調査対象者全員に自分専用のノートPCが必要か尋ねた所、「とてもあてはまる」「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」と答えた人の比率は合計で92%に上った。
自分専用のノートPCで重視することは何か尋ねた所、ダントツで多かったのは「処理性能」(58%)だった。次いで「バッテリー駆動時間」(49%)、「保存容量」(47%)、「起動の速さ」「パソコンの軽さ(重量)」(共に45%)と続いた。
「大学生活の必需品」を3つ挙げて回答する質問でも、回答者の72%が「ノートPC」を挙げたという。この72%を大学生と会社員で別個に集計すると、大学生は83%、会社員は60%となったようで、現役学生の方がノートPCの重要性を感じているようだ。
「スマホがあればPCはいらない」という意見もよく聞く。しかし、大学では学生にノートPCの所有を求める動きが強まっている。画面の小さいスマホよりもノートPCの方が資料を見やすいこともあり、オンライン学習でもPCの利用を強く推奨する動きもある。
そんなこともあり、PCメーカーによる調査であることは差し引いたとしても、Z世代がPCの必要性を強く感じる場面は増えていることは事実である。NECPCも含めて、PCメーカーはスマホに慣れ親しんだZ世代に受け入れられるPC作りが求められるだろう。
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