縦向きで使う際に気をつけたいのが、付属の2種類のスタンドはいずれも高さ調整に対応しないことだ。縦向きにした本製品の高さを隣のプライマリーディスプレイとそろえたい場合、プライマリー側で調整するか、あるいは本製品の下に適切な厚みのあるモノを敷き、底上げしてやる必要がある。これが意外と手間だ。
スマホやタブレット用のアームを使い、宙に浮かせるという方法もあるが、本製品は背面が大きく出っ張った形状ゆえ、クリップ式で本体を挟み込む方式のアームとはいまいち相性がよろしくない。せっかくならば高さ調整が可能なスタンドを付属してほしかったところだ。
なお本製品は、背面のVESAマウントを用い、ディスプレイアームに取り付けることもできる。一般的な100mmではなく75mmのマウントであることに気をつける必要はあるが、据え置きで使うのであれば、この方法が最も収まりがよいかもしれない。
以上のように、アスペクト比こそかなりのキワモノだが、サブディスプレイとしての完成度は高い。この手の製品では、水平方向と垂直方向で視野角が異なっており、横向きだったのを縦にすると途端に見づらくなるケースもあるが、本製品はそうしたこともない。
ただし気をつけたいのは、一般的なモバイルディスプレイが作業スペースそのものを広げることを目的としているのに対して、本製品は邪魔になるウィンドウを退避させてメインディスプレイでの作業の効率を上げることが目的であるなど、似た製品でありながらコンセプトが全く違うことだ。
そのため、一般的なモバイルディスプレイを探している人が本製品を見つけて「これは面白そう」と思って購入しても、当初の目的を果たせない可能性はある。このことはしっかり認識しておくべきだろう。
とはいえ、このスリムさゆえ既存のモバイルディスプレイにはないさまざまな設置方法が可能で、アイデア次第で無限大の可能性を持つ製品であることは間違いない。そうした用途で使うに当たって、解像度を始めとした基本スペックがしっかりしており、不安要素がないことは評価できる。
実売価格は税込み2万6800円前後と、一般的なモバイルディスプレイと比べて大きな差はなく、12カ月間メーカー保証も付属しているのもよい。ピンと来た人は、ぜひ実機を手に入れてあれやこれやと工夫してみてほしい。
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