超小型PC「GPD Pocket 3」の“文房具”的な存在感を楽しむ(2/3 ページ)

» 2022年03月15日 13時30分 公開
[長浜和也ITmedia]
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主要キーは大型で扱いやすいがキー配列は不規則な部分も

 キーボードのキーピッチは約16mmを確保している。キーストロークは実測で約1.2mmと通常のクラムシェルスタイルノートPCと比べると浅いが、実際にタイプしてみるとキーを押し込んだ感触がはっきりと認識できる。キートップは押し下げてもぐらつくことはなく、押し込んだ指の力をしっかりと支えてくれるので不安もない。

 フルサイズのキーボードと比べると確かにコンパクトで狭くはあるものの、タイピングが安定してできるので文章作成にも長時間使えた。また、アイソレーションタイプなので、隣接するキートップをタイプする運指でも指がすれることがない。8型ディスプレイ搭載ノートPCとしては使いやすいキーボードといえる。これまでの経験を踏まえた主観的感想としては、10型クラスのディスプレイを搭載した“サブノートPC”と同等と感じた。

GPD Pocket 3 キーボード キーボードレイアウトはほぼ通常タイプながら、「P」「L」キーより右列にあるキーをファンクションキー段のさらに上段へ移している

 ただし、一部のキーは変則的なレイアウトになっている。特に日本語の文章入力で多用するカギカッコや長音といったキーが、通常の右端からファンクションキー段のさらに上に設けた最上段の中央から左寄りに配置されている。

 運指的には右手薬指の担当領域から左手もしくは右手人差し指をさらに伸ばした“拡張”領域に代わった。タイプするには「ぐぐっとな」的感じで意識しないとならず、慣れないうちは文章入力の流れが途切れてしまう。

 筆者の場合は「カギカッコと長音は右手で打つ」の認識を変更できず、右手人差し指を「さらにぐぐぐぐっっっとなっ」と伸ばしに伸ばしてタイプしていた。

 さらにもう1点気になったのが、句読点とカーソルキーの位置だ。句読点は通常のキーボードと同じ「Mキーの右隣り」にあるのだが、キーピッチがアルファベットキーと比べてやや狭く(実測で約14mm)なっているのに加えて、カーソルキーが他のキーと離れておらず、他のキー配列と同じ並びに配置されているため、特に句読点と左カーソル、もしくは、上カーソルを誤爆しやすかった。

GPD Pocket 3 タッチパッド 本体右奥にタッチパッドを備える。3本指操作も可能だが、そこまで広くはない

 ポインティングデバイスとして、キーボードの右奥側にタッチパッドを備え、反対の左奥側に左右のクリックボタンを装備する。これは、両手で本体を持って左右の親指だけで操作することを想定したGPD MicroPCを継承したものだ。

 ただし、GPD MicroPCは本体の幅が約153mmで両手親指が全てのキートップをカバーできていたが、GPD Pocket 3の本体幅は約198mmあるので、キーボード中央で両手親指が触れるものの上下段のキートップをタイプするにはかなり無理な姿勢を強いることになる。キーボードをタイプしようと思うなら、机上に本体を置いてタイプするのが現実的だ。

GPD Pocket 3 キーボード 左奥にはクリックボタン。中央の電源ボタンは指紋センサーとしても機能する
GPD Pocket 3 キーボード 親指タイピングをするには本体の幅がちょっとありすぎる印象だ。いざというときはともかく、長時間の入力作業には向かない

 とはいえ、この場合でも、GPD Pocket 3のポインティングデバイスのレイアウトなら、手首をホームポジションに置いたまま左右の指を「ん!」と伸ばせばタッチパッドもクリックボタンも操作できる。指の動きとしては自然で扱いは容易だ。少なくともキーボードのスペースバー手前に配置した、光学式ポインティングデバイスよりは格段に扱いやすい。

 なお、もう少し指を延ばせばタッチパネルを組み込んだディスプレイに手が届いてダイレクトに目標をタップできる。こちらが手間少なくて簡単確実に思えるのだが、実際に試してみるとなかなか正確にタップできず誤爆することが多いのと、指を「んんんんん!」と思いっきり伸ばすためホームポジションから手首が離れて動き回るという意外と面倒なこともあって、評価作業中に気が付いたらタッチパッドを多用していたことを付け加えておきたい。

インタフェースは上位モデルと下位モデルで違いも

 GPD Pocket 3では、搭載するCPUとシステムメモリの容量、ストレージ接続バス規格、そして、インタフェースの構成が異なる上位モデルと下位モデルがある。

 上位モデルはCPUがCore i7-1195G7(4コア8スレッド、2.9GHz〜5.0GHz)、GPUはIntel Iris Xe Graphicsでシステムメモリが16GB(LPDDR4x-3733)、ストレージは1TB SSDを採用する。下位モデルはCPUがPentium Silver N6000(4コア4スレッド、1.1GHz〜3.3GHz)でGPUはIntel UHD Graphics、メモリが8GB(LPDDR4x-2933)、ストレージは512GB SSDを採用する。

 インタフェースは、2基のUSB 3.2 Gen 2 Type-Aと1基のUSB 3.2 Gen 1 Type-A(背面/着脱式のモジュール)、2.5GbE対応の有線LAN、3.5mmのヘッドセット/マイク、HDMI出力が共通で、上位モデルはThunderbolt 4を、下位モデルではUSB 3.2 Gen 2 Type-Cをそれぞれ備える。

 無線接続インタフェースは、上位モデルがWi-Fi 6Eの無線LANとBluetooth 5.2となるのに対し、下位モデルはWi-Fi 6の無線LANとBluetooth 5.0対応となる。

GPD Pocket 3 本体正面 正面はフラットで、中央部分に溝が掘られている
GPD Pocket 3 背面 背面の左にあるのは固定装備のRJ-45で右にあるUSB 3.2 Type-Aはネジを外して換装できるモジュール式になっている
GPD Pocket 3 左側面 左側面にはUSB 3.2 Gen 2 Type-CとHDMI出力端子がある。上位モデルではUSB 3.2 Gen 2 Type-Cの代わりにThunderbolt 4となる
GPD Pocket 3 右側面 右側面に2基のUSB 3.2 Gen 2 Type-Aとヘッドセット/マイクのコンボジャック端子を用意する

 最後に、ベンチマークテストで本製品の実力を見ていこう。

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