超小型PC「GPD Pocket 3」の“文房具”的な存在感を楽しむ(3/3 ページ)

» 2022年03月15日 13時30分 公開
[長浜和也ITmedia]
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手堅いパフォーマンスで低発熱

 今回評価で用いたのは、Pentium Silver N6000を搭載する下位モデルだ。

 ここでは処理能力を確認するために、ベンチマークテストのCINEBENCH R23、PCMark 10、3DMark、CrystalDiskMark 8.0.4、そしてファイナルファンタジー XIV:漆黒のヴィランズ ベンチマークを実施した。

 テストスコアは下記の通りだ。

テスト項目 スコア
PCMark 10 2630
PCMark 10 Essentials 6674
PCMark 10 Productivity 3028
PCMark 10 Digital Content Creation 2444
CINEBENCH R23 CPU 2405
CINEBENCH R23 CPU Single 698
3DMark NightRaid 4414
ファイナルファンタジー XIV:漆黒のヴィランズ(高品質ノートPC) 1827(設定変更を推奨)
CrystalDiskMark 8.0.4 x64
SEQ1MQ8T1 Read 1652.06
SEQ1MQ8T1 Write 1191.81

 さすがに、Coreプロセッサを採用したモデルに比べると明らかにスコアは低いが、同じ超小型PCでCore i7クラスを載せたモデルの静音モードで測定したスコアと比較すると、スコア自体は低いもののCore i7とPentiumといった“CPUの格差”程の違いではない。CINEBENCH R23のマルチコアで測定したスコアはかなり近い値になっている。

 また、下位モデルでもストレージの接続規格にPCI Express 3.0 x4を採用しているおかげで(上位モデルはNVMe 1.4対応のPCI Express 4.0 x4接続にも換装可能)、CrystalDiskMark 8.0.4 x64のスコアはCore i7搭載の超小型PCとそん色ない値だ。

 次に、使用中におけるボディー表面の温度を、3DMarkのNightRaidを実施しながらホームポジションとして指を置く機会が多い「F」キーと「J」キーのキートップ、両手親指が触れている機会が多い本体前面縁(具体的にはWindowsキーの下側とバックスラッシュキーの下側)、底面を非接触タイプの赤外線温度計で計測した。同時に、騒音計でファンの風切り音圧をそれぞれ測定している。

ボディーの発熱と騒音
ファン回転モード 通常モード 静音モード
発生音量 41.8dBA 37.6dBA
表面温度(Fキートップ) 29.1度 28.1度
表面温度(Jキートップ) 28.9度 27.5度
表面温度(Windowsキー下側) 26.8度 24.7度
表面温度(バックスラッシュキー下側) 23.6度 24.1度
表面温度(底面) 36.2度 35.2度

 通常モードでも41.8dBAと静かだが、静音モードに至っては暗騒音(36.4dBA)とほぼ変わらない。通常モードでは冷却ファンの回転数が可変になるため、状況によっては動作途中でファンの風切り音が大きくなり、それがかえってファンのうるささを意識させてしまう局面もあった。

 一方で、表面温度は全ての測定箇所で40度を下回り、熱さが不快と感じるようなことはなかった。最高でも36.2度と体温並みにとどまっている。本体も保持してタブレットスタイルで使う場面も搭載されるが、その場合でも本体が熱くて持てないというケースはほぼ発生しないだろう。

GPD Pocket 3 底面 最も高温になる底面は、タブレットスタイルで直接触れることになるが、高温になりやすいのは中央部なので側面を保持している分には熱くない

“文房具”としてハイブリッドワークでも活躍できる超小型PC

 GPD Pocket 3のボディーサイズは、約198(幅)×137(奥行き)×20(厚さ)mmと、B5ファイルサイズに収まっている。その一方で重量は公称値で約725g、実測で723gとモバイルPCの最軽量クラスに近い。となると、これまでの超小型PCが強みとしていた「軽量コンパクト」が成り立たなくなる。

 13.3型と見やすく高解像度の最新モバイルノートPCが存在する今、コンパクトだけの超小型PCに存在意義はあるのだろうか。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、PCだけでほぼ全ての業務が完結するならば、使いやすい大画面のPCだけで済むだろう。しかし、まだまだ多くのケースではPCとともに書類や図面や資料を併用しながら作業を進める必要があるはずだ。そこでは、PCは情報収集と編集加工で必須であっても、業務の主役ではないことが多い。このような場合、PCは物理的な存在感としてはわき役であることが望ましい。

 GPD Pocket 3は、そんな「物理的にはわき役であってほしいPC」として、最適な“文房具”となる。そのタスクとして文章作成やドキュメント編集、情報検索、データブラウジングがメインであるなら、今回評価したPentium搭載の下位モデルで十分だし、重い演算処理が必要であるならばCore i7-1195G7を搭載した上位モデルがある。GPD Pocket 3は見た目以上に使える“現代の電卓”となるはずだ。

 価格は、評価モデルが8万7000円前後、上位モデルが14万7000円前後となっているので、懐具合に応じて検討するといいだろう。

GPD Pocket 3 底面 標準付属の充電器はUSB-PD準拠なので、自分でよりコンパクトなものを用意することも可能だ。重量は単体で実測95g、USB Type-Cケーブル込みで140gと軽い
GPD Pocket 3 底面 標準でハンドストラップが付属しているが、700gを超える重さとストラップが手首に食い込む形になる
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