インテルは3月23日、報道関係者を対象とする説明会「快適なパソコン新生活を応援する最新プロセッサー」を開催。同社の第二技術本部の土岐英秋本部長が登壇し、第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)を搭載するPCの強みを複数の角度から解説した。
この記事では説明会の模様をお伝えする。
土岐氏はまず、コンピュータの使い方の変化について解説した。簡潔にまとめると、1960年代から20年に1度の間隔で大きな変化があったという。
同氏の言葉を借りると、「(コンピュータの)性能が上がることによって、我々の生活は非常に大きく変化してきた」。それも「我々の生活をサポートしてくれるような」進化を遂げてきたのだ。
インテルの親会社である米Intelは、1971年に初めての商用CPU「Intel 4004」を発表した。約50年前の話だが、ここから半導体(特にCPU)業界におけるIntelの知名度は世界的に高まっていったという。Intel 4004はIntelグループでも“実物”の保有数は少なく、一部では高値で取引されているそうだ。
CPUといえば、性能面や消費電力面での進化は半導体の微細化技術の進化と歩調を合わせてきた面もある。
現在の半導体(トランジスタ)は、ハエ、ダニ、赤血球、ウイルスよりもさらに小さな面積に実装されるものもある。Intelの最新CPUのプロセス(製造過程)は10nmだが、他社も含めると5nm〜7nmとさらに細かいプロセスで作られるものが出てきている。
この小さな半導体を使ったPCの存在価値が、ここ最近は個人にとって高いものになってきたと土岐氏は語る。このことは働き方改革の進捗(しんちょく)はもちろんだが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も受けた動きでもある。
リモートワークで自宅が職場になったり、サテライトオフィスで働いたり、「ワーケーション」(旅行先で仕事をする働き方)をしたりと、働き方は多様化している。ゲーミング(ゲームのプレイ)にPCを使う機会が増えた。家の中でPCを使って買い物をしたり、動画配信サイトなどでライブ配信をしたり、ビデオ通話(Web会議)をしたりすることも珍しくなくなった。これらを快適にこなせるのは、まさに半導体の進化があったからこそである。
PCの進化によってライフスタイルに大きな変化が生じると、そのために使うアプリケーションや、求められる“パフォーマンス”の種類にも変化が生じる。例えば、ビデオ通話アプリには背景を変える機能がある。これは人物と背景(画像)をリアルタイムで合成することで実現しているが、これこそまさに“コンピューティング”の力を使ったものである。動画も含めて大きなデータをやり取りする機会が増えたことも含めて、PCのコンピューティングパワーが要求される機会も増えている。
さらに、GIGAスクール構想の進捗もあり、特に小学校と中学校では「1人1台のPC(学習用端末)」が当たり前になりつつある。このPCを使ってオンライン授業をする学校も増えている。教室の「密」を避けるために、分散登校によって自宅に待機している児童/生徒/学生をオンラインで参加させる「ハイブリッド授業」に取り組む自治体もある。
娯楽面ではゲーミングはもちろん、4K解像度(3840×2160ピクセル)の動画も普通に配信されるようになった。「メタバース」も注目を集めている。
現実世界はもちろんのこと、仮想世界で“できること”のためにより高い性能を持つPCが必要である――土岐氏はそのように主張する。
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