モバイル向け「第12世代Coreプロセッサ」の本格展開は3月から 性能はどう?(1/3 ページ)

» 2022年02月24日 01時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 Intelは2月23日(米国太平洋時間)、モバイル向け第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)のうち、基本消費電力(PBP、※1)が24Wの「Pプロセッサ」と15Wまたは9Wの「Uプロセッサ」を搭載するPCが3月から順次発売される見通しであることを発表した。Acer、ASUSTek、Dell Technologies、富士通クライアントコンピューティング、HP、Lenovo、LG、MSI、NECパーソナルコンピュータ、Samsung Electronicsなどから200超の新モデルが投入されるという。

 この記事では、Intelが報道関係者向けに開催した説明会の内容をもとに、Pプロセッサ/Uプロセッサと第3世代の「Intel Evoプラットフォーム」の詳細を解説する。一部発表済みの内容も含まれるが参考になれば幸いだ。

(※1)Processor Base Power:従来の「TDP(熱設計電力)」「PL1(Power Limit 1)」に相当する消費電力

Pプロセッサのイメージ 第12世代Coreプロセッサ(Pプロセッサ)のパッケージイメージ
Pプロセッサのラインアップ 第12世代Coreプロセッサ(Pプロセッサ)のラインアップ
Uプロセッサ(大きい方)のラインアップ 第12世代Coreプロセッサ(Uプロセッサ、PBP 15W)のラインアップ
Uプロセッサ(小さい方)のラインアップ 第12世代Coreプロセッサ(Uプロセッサ、PBP 9W)のラインアップ

CPU仕様の概要

 第12世代Coreプロセッサは、処理性能を重視する「パフォーマンスコア(Pコア)」と処理効率(省電力性)を重視する「効率コア(Eコア)」を混載していることが特徴だ。モバイル向け製品はCPUやGPUに加えてチップセット(サウスブリッジ)も統合した「SoC(System-On-a-Chip)」として提供される。

 パッケージ(チップの実装サイズ)は、PプロセッサとPBP 15WのUプロセッサが「BGA Type3(50×25×1.3mm)」、PBP 9WのUプロセッサが「BGA Type4 HDI(28.5×19×1.1mm)」となる。プロセッサの機能には、パッケージごとに差異がある。

PとU モバイル向け第12世代Coreプロセッサのラインアップ。PプロセッサとUプロセッサの登場で一応の「完成」を迎えることになる

Pプロセッサ/Uプロセッサ(15W)

 BGA Type3パッケージを採用するPプロセッサとUプロセッサの15Wモデルの主要な仕様は、先行して登場したハイエンド向けの「Hプロセッサ」(PBPは45W)と近い。ただし、外部(独立)GPU用のPCI Express 4.0バスが削減されている

  • CPUコア(Pコアはハイパースレッディング対応)
    • Pプロセッサは最大12コア24スレッド(Pコア6基+Eコア8基)
    • Uプロセッサは最大10コア12スレッド(Pコア2基+Eコア8基)
  • GPUコア(Xe-LPアーキテクチャ、最大稼働クロックはモデルにより異なる)
    • Core i7プロセッサのEU(実行ユニット)は96基
    • Core i5プロセッサのEUは80基
    • Core i3プロセッサのEUは64基
    • Pentium/CeleronプロセッサのEUは48基
  • メインメモリ(最大2チャンネル)
    • DDR5-4800、DDR4-3200、LPDDR5-5200、LPDDR4x-4267の各規格をサポート
  • PCI Express/Serial ATA
    • PCI Express 4.0バス:合計8レーン(ストレージデバイス用)
    • PCI Express 3.0バス:合計12レーン
    • Serial ATA 3.0ポート:2ポート
  • Thunderbolt/USB
    • Thunderbolt 4(USB4)ポート×4
    • USB 3.1ポート×4
    • USB 2.0ポート×10
  • 映像出力
    • eDP(Embedded DisplayPort) 1.4b(HBR3対応)
    • MIPI Display Serial Interface(DSI)2.0
    • HDMI 2.0b
  • その他のポート/機能
    • Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)規格の無線LAN(※2)
    • 1000BASE-T規格の有線LAN
    • ISH(Integrated Sensor Hub)
    • SPI(Serial Peripheral Interface)/eSPI(Enhanced SPI)

(※2)Wi-Fi 6Eは一部の国/地域でのみ利用可能。利用できない国/地域では6GHz帯を使わずに「Wi-Fi 6」として利用可能

Pプロセッサ Pプロセッサの構造図。Hプロセッサから外部GPU用のPCI Express 4.0バス(16レーン)を削減したようなイメージだ

Uプロセッサ(9W)

 Uプロセッサの9Wモデルは、実装面積と消費電力を削減するためにPプロセッサやUプロセッサの15Wモデルから一部の機能が削減されている。メインメモリもローパワー規格のみのサポートとされた。

  • CPUコア(Pコアはハイパースレッディング対応)
    • 最大10コア12スレッド(Pコア2基+Eコア8基)
  • GPUコア(Xe-LPアーキテクチャ、最大稼働クロックはモデルにより異なる)
    • Core i7プロセッサのEUは96基
    • Core i5プロセッサのEUは80基
    • Core i3プロセッサのEUは64基
    • Pentium/CeleronプロセッサのEUは48基
  • メインメモリ(最大2チャンネル)
    • LPDDR5-5200、LPDDR4x-4267の各規格をサポート
  • PCI Express
    • PCI Express 4.0バス:合計4レーン(ストレージデバイス用)
    • PCI Express 3.0バス:合計10レーン
  • Thunderbolt/USB
    • Thunderbolt 4(USB4)ポート×2
    • USB 3.1ポート×4
    • USB 2.0ポート×6
  • 映像出力
    • eDP 1.4b(HBR3対応)
    • MIPI Display Serial Interface 2.0
    • HDMI 2.0b
  • その他のポート/機能
    • Wi-Fi 6E規格の無線LAN
    • 1000BASE-T規格の有線LAN
    • ISH
    • SPI/eSPI
Uプロセッサ Uプロセッサの構造図。15WモデルはPプロセッサと同様の構造となっているが、9Wモデルは一部のバス/ポートの数が削減されており、特にSerial ATA 3.0ポートは一切備えていない。加えて、メインメモリのサポートもLPDDRのみとされている
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