未来を創る「子どもとプログラミング教育」

キッザニア甲子園でSDGsとWebデザインを学んできた(2/3 ページ)

» 2022年06月01日 12時00分 公開
[田中宏昌ITmedia]

まずは身近に感じてもらえるような工夫を随所に

 SDGsセンターは2021年12月に、キッザニア甲子園と東京で同時にオープンしたパビリオンで、他のパビリオンのようにスポンサードされておらず、キッザニアが主体となって運営している。

 布川氏は「SDGsを未来へ向かう自分の道しるべにしてもらうべく、このパビリオンでは世界をより良いものにしていくために、現在どのような課題があるのか、その課題を解決するためにどうしていくのかということを自分たちで考えてもらうべく、さまざまな仕掛けを用意しています」と語る。

 キッザニア甲子園内には、さまざまな課題ごとに展示スポットが用意され、展示スポットはアクション1番〜8番まである。そこでクイズに答えたり、スタンプを押したりするのだが、いきなりそれらを回る前に、背景などを語るレクチャーがスーパーバイザーによって行われる。

 先述の各キャラクターにひも付いた8つの課題があり、その課題の把握が大切になる。いきなり大上段に「これが問題です!」というのではなく、展示スポットごとに各キャラクターが身近に感じたちょっとした気づきが日本国内で見ると大きな課題となっており、それを把握できるような3択クイズを解く形に仕上がっている。

キッザニア甲子園 SDGsセンター 各展示スポットに3択クイズがあり、自分が考えた答えの番号に、ラリーブックにある黄色いシールを貼っていく

 展示スポットは課題に応じた内容になっていて、視覚的にも把握しやすい。

 「展示スポットごとに協力および協賛会社があり、実際にどのような取り組みが行われ、課題を解決しようとしているのかが分かります」と布川氏。

キッザニア甲子園 SDGsセンター キッザニア甲子園の8カ所に置かれた展示スポット
キッザニア甲子園 SDGsセンター 上部のパネルに3択クイズの答えと説明書きがまとまっている
キッザニア甲子園 SDGsセンター 視覚的に分かりやすい展示物が用意されている

 そして、答え合わせが終わったら、自分がその課題に対してどのように取り組みたいのかアクションを選び、展示スポットに用意された3つのスタンプから1つを選んでラリーブックに押す。

 課題はスマートフォンのリサイクル率であったり、使い残した化粧品であったり、古い服の処分であったり、キッザニアンが自分事として考えやすいものが多いが、大人でも身近なものばかりだ。

 布川氏は「一見すると難しく感じるものですが、子どもたちに親近感がある各キャラクターと同じ目線で課題ごとにストーリーを用意しています」と説明する。

キッザニア甲子園 SDGsセンター 展示スポットには「あか」「あお」「みどり」のスタンプが用意され、課題ごとに自分がどのような「アクション」を取りたいのかに応じて選び、ラリーブックに押していく
キッザニア甲子園 SDGsセンター こちらの展示スポットは、食品ロスの課題に関するものだ。ある意味でショッキングに感じる人がいるかもしれない、循環型食材「サーキュラーフード」の解説がなされている

自分で考えたアクション宣言を記入 フィードバックもあるぞ

 計8つの展示スポットを回ってラリーブックが完成したら、SDGsセンターに戻る。スーパーバイザーと一緒にラリーを振り返りつつ、用意されたチケットに8つの課題から一番解決したいものを選び、自分が取り組むアクション宣言を記入してボックスに入れることで、最後に特別なカードが手渡されパビリオンは終了となる。

キッザニア甲子園 SDGsセンター 最後にラリーを振り返り、チケット(右)にアクション宣言を書き込む。SDGsガイドブック(左)も用意されておりWebページからダウンロードもできる
キッザニア甲子園 SDGsセンター 最後にアクション宣言を記入してボックスに入れる

 興味深いのは、このアクション宣言や解決したい課題が集計されるだけではなく、課題ごとに参加企業からフィードバックを加えた形でキッザニアのWebページで公開されていることだ。

 現時点で最新のレポートとして、開設した2021年12月〜2022年3月までの結果が「こども達のアクション宣言じっせきレポート」としてまとまっており、全年齢を通して「食品ロス」や「サンゴの減少」といった課題に高い関心が集まっているのが分かる。

キッザニア甲子園 SDGsセンター 4カ月間の集計結果から、パビリオンを体験したキッザニアンの関心はやはり身近に感じられる課題だ

 体験して終わりではなく、家に戻って一緒にこのレポートを見ながら振り返り、次の歩みに結びつけるのもアリだ。もちろん、時間内に全ての展示スポットを回りきらなくても、次回訪問時にチャレンジすることも可能なので、焦らずじっくり取り組めるようになっている。

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