「Alienware x14」は強い? 薄型ボディーに高性能を詰め込んだデルの最新ゲーミングノートPCを試す(4/4 ページ)

» 2022年07月20日 12時30分 公開
[今藤弘一ITmedia]
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GPUのオーバークロックをやってみる

 ここからは、実際のゲームやそれをベースにしたベンチマークテストを……と行きたい所なのだが、単にテストしてもつまらない。そこでAlienware Command Centerを使ってGPUのオーバークロックに挑戦した上でテストしてみようと思う。

 Alienware Command Centerには「フュージョン」というタブが用意されており、ここでCPU、GPUやメモリのオーバークロック設定を行える。ただし、このAlienware x14に搭載されているCPUはアンロックに対応しないため、本機種で設定できるのはGPUのオーバークロックのみとなる。

 オーバークロックの設定は、GPUの「詳細表示」タブで行える。サーマル(温度)の限度、コアクロックやメモリクロックをスライドで調整し、「テストして保存」をクリックするとその設定で稼働するかどうかチェックが行われる。チェックの結果正常に動作するとその設定が保存され、正常に動作しなかった(=システムが停止してしまった)場合は破棄されるという仕組みである。

Alienware x14 Alienware Command Centerの画面。スライドバーでクロックを調整できる。いったんテストをしてそれにパスすると設定を保存できる

 クロック関連のスライドバーは、右にずらすに従って黄色くなっていく。今回は黄色くなる直前の「コアクロックを100MHz増し、メモリクロックも100Mz増し」という設定を「オーバークロックその1」に、イエローゾーンに突入した「コアクロックは150MHz増し、メモリクロックは250MHz増し」という設定を「オーバークロックその2」として、標準設定時とのパフォーマンスを比較してみる。

Alienware x14 GPU-Zの情報。左がオーバークロックその1、右がオーバークロックその2の設定時だが、きちんとクロックが上がっていることが分かる

 フルHD描画の「ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(FF15ベンチマーク)」の場合、最高品質(高品質)時のベンチマークスコアは以下のようになった。

  • FF14ベンチマーク(最高品質)
    • 標準設定:1万6077ポイント
    • オーバークロックその1:1万6396ポイント
    • オーバークロックその2:1万6732ポイント
  • FF15ベンチマーク(高品質)
    • 標準設定:7556ポイント
    • オーバークロックその1:7691ポイント
    • オーバークロックその2:7902ポイント

 ご覧の通り、クロックアップの効果はある程度見受けられる。ただし、下記のグラフを見ると分かるが、高画質(≒高負荷)になるほどその差は少なくなる。グラフィックスに関する負荷の軽いタイトルでフレームレートを上げたいという用途には有効だろうが、元々の負荷が大きいタイトル(このテストならFF15ベンチマーク)では期待薄かもしれない。

Alienware x14 FF14ベンチマークの結果
Alienware x14 FF15ベンチマークの結果

 「フレームレートにはどう影響するのか?」という所で、「レインボーシックス シージ」のアプリ内ベンチマークテストを使って、フルHD描画時の平均フレームレートを計測するテストも実施してみた。主な結果は以下の通りだ。

  • 低設定
    • 標準設定:329fps
    • オーバークロックその1:377fps
    • オーバークロックその2:383fps
  • 最高設定
    • 標準設定:234fps
    • オーバークロックその1:292fps
    • オーバークロックその2:306fps

 FF14ベンチマークやFF15ベンチマークと同様に、オーバークロックは一定の成果を見せている。ただ、フレームレートに大きな差を与えているかというとそうでもない。マシンを壊さない、安心できる範囲内でクロックアップを楽しむ方がよさそうだ。

Alienware x14 「レインボーシックス シージ」のテスト結果

バッテリーは緊急時用と割り切るべき

 Alienware x14のバッテリーだが、「Batteryreport」によると設計容量はスペックにもあった通り80567mWhのものが搭載されてるが、フルチャージの容量が75263mWhとなっていた。

 この状態で、PCMark 10に用意されている「Battery Profile」を使って幾つかのシーンでバッテリー駆動時間を計測してみよう。今回は標準テストである「Modern Office」と、ゲームプレイを想定した「Gaming」でそれぞれ調べた。

 結果は以下の通りである。なお、ディスプレイの輝度は50%(半分)とした場合の数値である。

  • Modern Office(99%から6%まで):3時間31分
  • Gaming(99%から7%まで):47分

 そもそもモバイルを意識したモデルでもないので、これだけ持てば十分ともいえる。「停電事故があった際に安全にシャットダウンするため」「たまの外出でプレゼンテーションするため」と割り切れば、十分な持ち時間ではある。

Alienware x14 Batteryreportによる結果
Alienware x14 Battery Profile Modern Officeの結果
Alienware x14 Battery Profile Gamingの結果

「ガチなゲームマシン」の入門に

 Alienwareシリーズというと「ガチゲーマー向けのハイエンドゲーミングPC」という印象が強い。しかし、いろいろと試してみた限りにおいて、Alienware x14にはガチゲーマーへの入門機という印象を持った。

 CPUのグレードは高めである一方、GPUはGeForce RTX 3060 Laptopと、エントリー寄りの設定だ。ディスプレイのリフレッシュレートも最大144Hzと、ゲーミングモデルにしては控えめである。価格も最小構成なら税込み24万円弱からと、AlienwareのゲーミングノートPCとしては手頃な設定となっている。しかし、GPUだけではあるがオーバークロックも可能な点など、いじって楽しむ「マニア的要素」は盛り込まれている。

 「あのあこがれのAlienwareを使ってるぞ!」という気分になりたいのであれば、買って損はないと筆者的にも思う。というか筆者はAlienware x14が欲しい。ガチゲーマーを目指す第一歩のマシンとしては、ぴったりなのではないだろうか。

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