ZenBook S 13 OLEDはどちらかというとビジネス向けのモバイルノートPCだ。しかし「余暇でゲームを楽しみたい」という人もいるはずである。
そこで、3Dグラフィックスやゲームに関するベンチマークテストアプリも試してみることにしよう。これで、PCとしての“余力”も確かめられる。
ここからのベンチマークテストでは、比較対象として「Ryzen 7 5800U」(1.9GHz〜4.4GHz、8コア16スレッド)を搭載するハンドヘルドゲーミングPC(メインメモリは16GB)を用意した。
まず、3Dグラフィックスのベンチマークテストアプリ「3DMark」を使って4種類のテストを実行してみた。総合スコアは以下の通りだ。
GPUコアがRDNA 2アーキテクチャに移行したこともあってか、ZenBook S 13 OLEDのスコアは内蔵GPUのそれとしては非常に良好だ。
なお、ZenBook S 13 OLEDでは、RTのパフォーマンステスト「Port Royal」も計測している。スコアは692ポイントと、かなり低い。テストの様子を見ていても「紙芝居」状態だったので、実用には程遠い印象だ。
「これなら、ある程度ゲームを快適に楽しめるのでは?」と思い、実際のゲームをベースとするベンチマークテストアプリ「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(FF15ベンチマーク)」も試してみた。
まず、FF14ベンチマークの結果は以下の通りとなった。なお、いずれも描画はフルHD(1920×1080ピクセル)のフルスクリーンである。
負荷の重い設定になるほど、スコアの改善率が高い。ZenBook S 13 OLEDは最高品質でも「普通」評価を得られるほどにGPUがパワフルだ。
続けて、FF15ベンチマークの結果も見てみよう。こちらも描画はフルHD(1920×1080ピクセル)のフルスクリーンである。
やはり負荷の重い設定になるほど、スコアの改善率が高い。ただ、FF15ほどグラフィックスが凝ったアプリだと、さすがのZenBook S 13 OLEDでも高品質は荷が重いようだ。とはいえ、CPUの内蔵グラフィックスでここまでできるのは良い時代である。
設定次第の面もあるが、ZenBook S 13 OLEDならゲームもある程度快適に楽しめるだろう。
ZenBook S 13 OLEDでベンチマークテストをしていて、排気口のあたりだけでなく、本体の奥中央がかなり熱くなったことが気になった。そこで、PCMark 10とFF14ベンチマーク(最高品質)、FF15ベンチマーク(高品質)の実行中のCPU温度を「Core Temp」でモニタリングしてサーマルスロットリングなどが起きていないか調べてみた。
結果は以下のグラフをご覧いただくとして、結論的にはしっかりとCPUを冷却した結果、熱くなったということである。サーマルスロットリングの類いの発生は確認できなかった。
ここまでZenBook S 13 OLEDを見てきたが、普段使いの処理パフォーマンスが高い上、実測で14時間超のバッテリー駆動を実現するなど、とても快適に使えるモバイルノートPCに仕上がっていることが分かった。
Ryzen 6000シリーズのZen 3+アーキテクチャのCPUコアと、RDNA 2アーキテクチャのGPUコアは“効果てきめん”で、パフォーマンスの良さで定評のあった前世代(Ryzen 5000シリーズ)と比べても、さらに快適である。ZenBook S 13 OLEDについては排熱設計もしっかりとしており、高負荷時でもサーマルスロットリングを起こすことはなかった。ただ、排熱口と本体の奥中央が熱くなるのは利用中でも気になる部分なので、今後の改善を期待したい所である。
全体的にできの良いZenBook S 13 OLEDだが、価格はネックとなりうる。品質の良い部材を使っているとはいえ、希望小売価格が28万円弱となると、ハイエンドのゲーミングデスクトップPCも購入できてしまう。ビジネス向けのノートPCにここまで出費するとなると、人によっては腰が引けてしまうような気がする。
とはいえ、ビジネス向けモバイルノートPCとして、ZenBook S 13 OLEDは最高クラスの性能を持っているのは間違いない。価格のハードルさえクリアできるのであれば、購入して満足のいくマシンといえるだろう。
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