最後に、先の2つのようなコンパクトさよりも、ベアボーンキットベースではなく普通の自作PCで組みたいという人のための構成を考えていこう。
自作PCの最大のメリットは、自分子のみのPCパーツを選べることと拡張性の高さにある。
先のベアボーンはもちろん、そのコンパクトさと手軽さがメリットではあるのだが、デメリットとして拡張性や搭載できるパーツに制限がある。
拡張性があることで何ができるのかと言えば、先の2例では3.5型のドライブを搭載できず、電源や冷却の観点から採用するCPUに上限が決まっている(TDP 65Wまで)が、自作のデスクトップPCであれば、冷却能力や電源容量などスペックに関わる全てのパーツを自在に選べる。
また、グラフィックスカード用以外のPCI Expressスロットがあったり、Serial ATAポートが豊富に用意されていたり、USB端子も多いため、大容量HDDを大量に積んだり、キャプチャーカードを追加して映像を入力できるようにしたりといった、幅広い用途に対応したモデルを構築可能だ。
これらのメリットとコストパフォーマンスを勘案して、今回はコンパクトなmicroATXベースの1台を組んでいく。
ASRockの「B660M HDV」は、同社のマザーボードの中でも最安価のモデルだが、メモリスロットを2基、M.2 2280スロットを2基、SATAポートは4基、Intel製のギガビット対応LANなど必要十分の性能を備えている。
今後CPUやメモリを入れ替えて拡張を希望する場合も、柔軟な対応が可能だ。また、第12世代対応マザーボードでDDR4に対応するマザーボードなので、メモリもより安価に抑えられるのもポイントだろう。
PCケースは、microATXタイプで最安価の「S100 Tempered Glass」をチョイスした。価格の割にかなり組みやすい構造のケースで、エントリー帯にはうってつけのケースだ。ブラックとホワイトカラーから選べ、簡易水冷ユニットを搭載できるのもウリである。
なお、S100 Tempered Glassにはフロントファンが省かれているため、冷却性能を上げるべく別途ファンの購入を推奨したい。
今回は、静圧重視でコスパにも定評のあるサイズのWondersnailシリーズから、120mmタイプの「WONDER SNAIL 120」から、1800rpm対応モデル(WS1225FD18-P)を採用した。
グラフィックスカードは悩み所だが、コスパと機能のバランスを考えてGeForce RTX 3050搭載モデルとした。
GeForce RTXシリーズではエントリーながら、NVIDIA Ampere アーキテクチャを採用し、リアルタイムレイトレーシング、DLSS/DLSS 2.0といった最新技術を活用したゲームタイトルを楽しめる。映像/写真の編集においても、プレビュー描画、レンダリング/エンコード、レイトレーシング、AIによる超解像など、さまざまな処理で高速化の恩恵を受けられるのも見逃せない。
CPUは、DeskMeetに引き続きCore i5-12400を選択した。これだけでも十分な性能だが、今回の構成であればより上位のCPUを積むことも余裕で可能だ。
メモリも引き続き、品質に定評のあるCrucial製のものを採用した。今回選んだマザーボードのメモリスロットは2本なので、最大容量は32GB×2枚の64GBとなる。フルHD〜短い4K程度の動画編集であれば十分な容量だろう。
ストレージも同様だが、予算に余裕があれば同社のSN770などPCI Express 4.0 x4対応のモデルに変更したり、20TBを超える3.5型HDDを搭載したりと、選択肢がより増えたメリットを生かしたい。
最後は電源ユニットだ。Antecから出ている業界屈指のコスパを誇る電源ユニットがこのNeo Eco Goldシリーズで、他の80PLUS GOLD認証電源と比べると保証期間が3年短い7年となっているが、そのためか3000円ほど安くなっている。
PCケースが5000円しないのに、電源ユニットにその2倍以上の金額をかけるのかと思う人がいるかもしれないが、PCの要は電源であり、ここでケチるとろくなことがないのは覚えておきたい。
なお、電源容量は今後の強化も想定して650Wを選択したが、そこまでパーツを追加しないのであれば550Wでも足りるので、それを選ぶといいだろう。
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