2020年の年度初めより猛威を振るい、今も継続している新型コロナウイルス。その登場以来、日本でもテレワーク化が一般化し、大手企業やIT関連企業を中心に普及している。
しかし、世の中のトレンドがハイブリッドワークに変わっても、支給されたノートPCや手持ちPCの流用では不便や限界を感じている人も多いのではないだろうか。
そこで今回は、在宅ワークを快適にこなせるPCを、できる限り手頃な価格で実現すべく3つ用途別に考えてみた。自作PCショップ店員として、人気パーツやトレンドも織り込んでいるので参考にしてほしい。
自作PC業界で、数々のベアボーンモデルを手がけるASRockの「DeskMini」シリーズは、屈指の小型ボディーながらも省エネ構成からハイパワー構成まで、幅広い用途に対応したモデルを組める人気モデルだ。高い拡張性を備えているので、さまざまな周辺デバイスをつなぐことが多い在宅ワークにもうってつけと言えるだろう。
高性能なパーツを詰め込んだハイエンド仕様も可能だが、まずはその最新モデルである「DeskMini B660」を中心として、最も省エネながらもビジネスアプリケーションが快適に動いてくれるスペックで組んでみた。
これまでのDeskMiniシリーズは、Intelの第11/10世代向けの「DeskMini H470」(またはZen 2アーキテクチャのAMDプロセッサ対応モデルDeskMini X300)モデルしか出ていなかったが、このB660はIntel B660チップセットを採用することで、Intel最新の第12世代Coreプロセッサ(TDP 65Wまで)を搭載できるようになったのがアドバンテージだ。
「旧世代の方が安上がりじゃないか?」と思う人がいるかもしれないが、その値段差を補ってあまりあるほど性能が向上しており、むしろコスパという意味では本モデルが上である。ボディーの容積が従来の約1.92Lと小型サイズを維持しつつ、高い拡張性を備えているのもポイントだ。
CPUにCore i3、つまりPentiumやCeleronを除いて一番下位となるモデルということに性能面で不安を感じる人がいるかもしれない。しかし、この「Core i3-12100」(4コア8スレッド)は、2年前の2020年に発売した上位モデルである「Core i7-10700」(8コア16スレッド)と微妙な差はあれほぼ互角の性能を誇る。
Eコアこそ省かれているが、性能が大きく向上した第12世代CoreのPコアが4コア8スレッドあり、GPUのIntel UHD Graphics 730を内蔵している。当時のCore i7に匹敵するということは、オフィスソフト全般がスムーズに動くので、その値段も考えれば選択する理由としては十分だろう。
メモリはメーカー品質に定評のあるCrucialで、デュアルチャネルで動作すべく(DDR4-3200)、容量は16GB(8GB×2)とした。DeskMiniは小型ボディーゆえ、デスクトップPCながらSO-DIMMというノートPC向けメモリが対応している。
メモリの容量は、CPU性能とはまた別の部分で作業の快適さに直結する。メモリが不足するととたんにPCのパフォーマンスに影響したり、ビデオ会議がスムーズにこなせなかったりと影響が大きいため、一般的に事務用途で必要十分と言われる8GBよりもマージンを取り、かつ値段も抑えた16GBを選択した。
OSとオフィスソフト程度であれば256GB程度でも十分だが、成果物や資料をダウンロードしていくうちにSSDが圧迫されていくので、余裕を持って500GBとしている。予算にゆとりがあれば、+6000円ほどかけて1TBを選択するのがいいかもしれない。
有線LANを設置場所に届けるのが難しい場合は、DeskMiniシリーズ向けオプションの「Wi-Fiキット」を組み込むといいだろう。M.2 2230スロットに差し込むモジュールとアンテナ、ケーブルがセットになったキットで、Wi-Fiのバージョンごとに3製品出ている。基本的には一番安いWi-Fiキット(IEEE 802.11acまで対応)で問題なくWeb会議なども対応できるが、値段差も少ないので最新のWi-Fi 6対応モデルを選ぶといいだろう。
もし大容量のデータダウンロードが必要になるのであれば、それに応じてWi-Fiキットのグレードを上げるとより快適になる。
これは必要に応じた副次的なオプションだが、DeskMiniは一般的なサイズのデスクトップPCに比べるとUSBポートが少なめだ。もしUSBデバイスを数多く繋ぐのであれば、このUSB 2.0増設ケーブルを内蔵するか、別途USBハブを用意しよう
続いて、クリエイティブ用途やゲーミング方面に少し強化した案を見ていく。
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