iPhone 14 Proと14 Pro Max発売! 新しいスタートラインを迎える15周年を迎えたiPhone(3/3 ページ)

» 2022年09月14日 22時00分 公開
[林信行ITmedia]
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Appleらしさを感じさせる4800万画素カメラ

iPhone 14 iPhone 14 Pro Max Apple アップル ついにメインカメラの画素を1200万から4800万に引き上げた

 iPhone 14 Pro/Pro Maxで今回もう1つすごいのが、デジタルカメラが画素数的にも進化したことだ。これまでiPhoneシリーズのカメラは、仕上がり写真の容量なども含めた使いやすさから、かたくなに1200万画素の仕様を維持し、その代わりその1200万画素の中での画質の向上を試みてきた。

 しかし今回、ついに4倍の4800万画素のカメラセンサーを採用した。最も「iPhoneのカメラの画素数は1200万画素が最適」という考えは変わっていないようで、通常撮影した写真は1200万画素で記録されるが、システム設定の「Apple ProRAW」に「ProRAW解像度」という項目があり、ここで「48MP」を選ぶと4800万画素で記録される。この設定をしていない場合でも、例えばデジタルズームをしている場合などの画質が向上している。

iPhone 14 iPhone 14 Pro Max Apple アップル 機織り機を、iPhone 14 Pro Max(左)とiPhone 13 Pro Max(右)のProRAW形式で撮影したものを現像して比較した。14 Pro Maxの写真は4800万画素になっているので、その木目の細かさが分かると思う(撮影協力:丹後シルク|宮眞株式会社

 また、iPhone 13 Pro/Pro Maxでは1倍「1x」の標準カメラに対して、「.5」倍の超広角レンズ、「3」倍の望遠レンズという3つの光学ズーム(デジタルズームではない倍率)を選べた(デジタルズームは画像を引き伸ばして作るため本来の解像度が出ない)。

 14 Pro/Pro Maxでは新たに「2」倍のズームが加わっている。実はこれはメインカメラで4800万画素撮影し、その写真の真ん中あたり2倍ズーム相当部分を切り出すことで作成している(つまり、写真を引き伸ばして作るデジタルズーム写真ではなく、光学ズーム写真だ)。

iPhone 14 iPhone 14 Pro Max Apple アップル iPhone 14 Pro/Pro Maxには今回、新たに2倍撮影モードが追加された。4つのズームモードの画角を比較した

 さらに新しいProシリーズには、暗いところでの撮影時の性能を格段に引き上げる「Photonic Engine」という技術が加わっている。実際にいくつか暗所撮影したサンプルをまとめたが、13 Pro Maxでの写真と比べるとディテールがしっかりと描きこまれ、ノイズも乗っていないことが確認できるはずだ。

iPhone 14 iPhone 14 Pro Max Apple アップル 真っ暗な部屋の中で、最新のLED照明を使って輪島の漆の器を撮り比べた。左がiPhone 14 Pro Max、右がiPhone 13 Pro Maxで、13 Pro Maxでは潰れてしまっているディテールが、14 Pro Maxでは丁寧に描かれている(撮影協力:「LIVE+LIGHT In praise of Shadows 『陰翳礼讃』現代の光技術と」展 東京都中央区京橋のBAG-Brillia Art Gallery-で9月25日まで開催)
iPhone 14 iPhone 14 Pro Max Apple アップル 望遠カメラで暗所撮影を比べてみた。左がiPhone 14 Pro Max、右がiPhone 13 Pro Maxで、新たに加わったPhotonic Engineの効果かチェスのコマのディテールが潰れていないのが分かる(撮影協力:きんせ旅館

 動画撮影では、新たにProではないiPhone 14との共通機能として、ジンバルという手ブレを軽減させる撮影機器に負けない手ブレ補正を行う「アクションモード」という撮影モードが追加され、背景をぼかしたドラマチックな動画が撮れる「シネマティック」モードに、新たに映画と同じ毎秒24フレームで撮影する機能がついた。

 アクションカメラはiPhone単体でも、ここまで手ブレ補正ができるのかという感動がある反面、画像認識をベースにした手ブレ補正機能のため、暗い場所では機能しない。暗い場所で手ブレ撮影を行うことが多い人は、これからもジンバルが必要そうだ。

画面の左半分はiPhone 14 Proの通常撮影、右半分はiPhone 14(Proモデルではなく標準モデル)のアクションモードをオンにして撮影。Proで撮影し直す時間がなかったが、どのような揺れの軽減がなされるかは分かると思う。なお、アクションモードで撮影すると画面が1段暗くなる。元々、暗い場合にはアクションモード機能が有効にならない(オンにはできるがうまく機能しない)。効果を確認するには画面半分を手で覆うと分かりやすい

 Appleは大々的にはうたっていないが、「0.5」、「1x」、「2」、「3」といったズーム倍率ボタンを押して倍率を切り替える時のズームの動きが、滑らかになっている点も個人的にはお気に入りポイントだ。

 iPhoneと言えば、インスタグラマーには自撮り用カメラ(TrueDepthカメラ)の写りがキレイで、広角に撮れることが大きな魅力の1つになっているが、新たにオートフォーカスや露出補正のスピードが向上し、グループでのセルフィーや異なる距離の被写体をとる性能も向上したという(残念ながら、これらは今回の時間内に検証できなかった)。

iPhone 14 iPhone 14 Pro Max Apple アップル 今回レビューは省いたが、iPhone 14とも比較してみた。左がiPhone 13 Pro Max、右がiPhone 14だ
iPhone 14 iPhone 14 Pro Max Apple アップル こちらは左がiPhone 14 Pro、右がiPhone 14 Pro Maxで撮影(撮影協力:きんせ旅館

 また、この機能を体験できる人はほとんどいないと思うが、iPhone 14との共通機能として、車の事故を検知する機能がついた。自分が運転手だった場合でなく、例えばタクシーの後部座席に乗っていたとしても、車が他の自動車や障害物にぶつかると、iPhoneに無事の確認を促す画面が表示される。時間内に無事を伝えないと意識不明と見なして、現在地や家族などの連絡先を添えて緊急電話をかけてくれるという命を守る機能だ。

 新しいiPhone 14 Pro/Pro Maxはスペースブラック/シルバー/ゴールド/ディープパープルの4つのカラーバリエーションと、128GB/256GB/512GB/1TBの4つの容量バリエーションが用意されている。

iPhone 14 iPhone 14 Pro Max Apple アップル 今回はスペースブラックのiPhone 14 Proと、ディープパーブルのiPhone 14 Pro Maxを試した。ディープパーブルは深みがあってかなり美しい紫色だ

 新色のディープパーブルは、その名の通りかなり深い色で、光の当たり方によってはグレーにも見えるスペースブラックよりも暗い色になっている。撮影時にiPhoneの背面がガラスに映り込むことを気にして、いつも黒モデルばかり選んでいた人にとっても良い選択肢になるはずだ。

 価格はiPhone 14 Proが税込み14万9800円〜、Pro Maxが16万4800円〜だ。米国でインフレが続き、あらゆるものの価格が高騰する中で、この水準を保ったのは円安の進行がひどい日本市場をかなり意識した結果だろう。

 iPhone 15周年目に登場したiPhone 14 Pro/Pro Maxは、iPhoneの新たなスタートラインとして開発された意気込みを感じさせるモデルだ。それなりに値段は張るが、iPhoneで仕事でも使える本格的なスチルや動画の撮影、細かなファブリックのディテールまで分かるマクロ撮影機能、LiDARレーザースキャナーを使った3Dスキャンといった機能が、役に立ちそうな人にはオススメのモデルと言えよう。

※記事初出時、一部表記に誤りがありました。おわびして訂正します(2022年9月15日11時50分)。

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