キーが少ないから無理だと思っている人こそ試してほしいPFUの「HHKB」 乗りこなし方指南!(1/2 ページ)

» 2022年11月25日 12時00分 公開
[石井徹ITmedia]

 PFUの高級キーボード「HHKB(Happy Hacking Keyboard)」は、25年に渡るロングセラー品だ。前回、筆者はHHKBのミニマルモデル「HHKB Professional HYBRID Type-S」の無刻印モデル(日本語配列)を試用した。

 HHKBはコンパクトな効率的なキー配列、打ち心地、数年に渡る使用に耐えうる耐久性とメンテナンス性を兼ね備えた高級キーボードだ。しかし、それゆえに、考えようによっては“ミニマルすぎる”面もある。

 キー総数は日本語配列で69個のみと少なく、一般的な日本語キーボードと比べると40個も少ない。余分な機能キーはごっそりと削り落とされており、Caps Lockキーはもちろん、テンキーやファンクションキー(F1〜F12)、Page Up/Downキーなども省かれている。もちろん、これらのキーはFnキーとのコンビネーションで入力できるのだが、「コンビネーションキーに頼りすぎるのは、かえって効率が悪い」という考えも浮かんで来る。

 キーの少なさゆえにかえって生じる不効率さを、少しでも解消できないものか――今回は、そんな悩みを緩和するための方法を大きく2つ紹介する。

HHKB HHKBの「HHKB Professional Hybrid Type-S」の無刻印モデル(日本語配列)

方法1:「ディップスイッチ」で主要なキーを入れ替え

 HHKBのキー配列を変更するための機能の1つが、本体の「ディップ(DIP)スイッチ」だ。本体背面にあるふたを開けると、6個の小さなディップスイッチが隠されている。このオン/オフの組み合わせで、主要なキーの配置を変更できるのだ。

HHKB DIPスイッチはキーボード背面のカバーを外すとアクセスできる

 ディップスイッチでで変更できるのは、以下の6項目である。

  1. WindowsモードとMacモードの切り替え
  2. Ctrlキー/英数キーと左Fnキーの入れ替え
  3. BackspaceキーをDeleteキーに変更
  4. カーソルキーを機能キーに変更
  5. 左AltキーとWindows/Ctrlキーの入れ替え
  6. 省電力モードの有効/無効の切り替え

 ディップスイッチによるキー配列の切り替えは、本体の電源を切った状態で行わなければならない。また、かなり小さなスイッチなので、小さなスイッチをオン/オフするための器具(つまようじやマイナス形状の精密ドライバーなど)も必要となる。

HHKB スイッチの切り替えは電源オフの状態で行う。爪が小さいため、平形の精密ドライバーを使って切り替えよう
HHKB キーボード背面にはディップスイッチのざっくりとした説明が記載されている。ただし、その意味合い(正確な挙動)を理解するためには、取扱説明書を参照した方がよい

 筆者はディップスイッチによるキー配列の変更は行わず、省電力モードのみ「無効」にしている。

 省電力モードは30分間入力が無い場合にキーボードの電源を切る機能で、有効にすると単三形乾電池(バッテリー)の消耗を大幅に抑えることができる。しかし、いったん電源が切れると、背面の電源ボタンを2秒以上押して入れ直す必要がある上、Bluetooth接続をする場合は機器の検索でさらに数秒待たなければならない。筆者の場合、電源を入れ直す手間や入力できるようになるまでのタイムロスが惜しいので、省電力モードを無効にした次第である。

 「じゃあ、キー配列はどう変えているの?」という点だが、これは後述する「キーマップ変更ツール」を利用している。

HHKB 省電力モードを有効にした場合、起動時に電源ボタンの長押しが必要となる。無効にすればキートップをたたいて復帰できるようになる

キー配列を柔軟に設定できる「キーマップ変更ツール」

 先述の通り、HHKBではFnキーとのコンビネーションで一部の機能キーを入力できる。日本語配列モデルの場合、主なコンビネーションキーは以下の通りである。

  • Fn+最上段のキー(1〜^)→F1〜F12キー
  • Fn+BS(Back Space)キー→Deleteキー
  • Fn+Kキー→Homeキー
  • Fn+,(コンマ)キー→Endキー
  • Fn+Lキー→Page Upキー
  • Fn+.(ピリオド)キー→Page Downキー

 しかし、コンビネーションキーを含め「もうちょっとキー配列を変更したい!」という声もある……と把握していたのか、PFUはWindows/Mac(macOS)用のアプリとして「Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール」を用意している。

 このツールを使うと、現行のHHKBシリーズのキー配列を自分好みに設定できる他(※1)、キーボードのファームウェアも更新可能だ。設定時にはUSB接続と管理者権限を持つユーザーでのログインが必要だが、一度設定を変更してしまえばキーボード内に設定が保存されるため、管理者権限を付与できない社用PCやスマートフォンでも同じキー配列を“再現”できる。

(※1)HHKB Classicはキー配列の変更に対応しません(ファームウェアの更新のみ可能です)

HHKB キーマップ変更ツールの画面。キートップに印字されていないキーも含めて、キー配列を比較的自由に設定できる。ディップスイッチの設定を参照することも可能だ(画像はWindows版)

 キー配列の設定では、「通常時の配列」と「Fnキーを押した際の配列」をそれぞれ設定できる。自分の使い方に合わせて変更するとよいだろう。筆者の場合、基本的なキー配列はそのままとしつつ、使い勝手が悪いと感じたキーを置き換えるという方針で設定をしている。

 筆者はスペースキーの右隣にある「変換キー」に親指が届きにくいと感じていた。なので、変換キーは1つ右隣の「かなキー」に割り当て直した。WindowsとIMEの設定も見直して、変換キーで「IMEオン」、「無変換キー」で「IMEオフ」と、Macの「英数/かなキー」のように使えるようにもしている。

 そうなると、変換キーが余剰となるのだが、ここには「Print Screenキー」を割り当てた。筆者は仕事柄、スマホやPCのスクリーンショットをよく撮影する。変換キーをPrint Screenキーとすることで、このキーと組み合わせる「Altキー」や「Windowsキー」との同時押しがとても楽になった。

HHKB 筆者はHHKBの設定とあわせて、IME(ATOK)で変換・無変換キーの挙動を変更した

 そしてFnキーを押した際のコンビネーションキーは、大きく配置を見直した。まず行ったのが「テンキー風に使える設定」だ。HHKBでは初期設定で「Fnキー+h/n/j/mキー」を四則演算の記号の入力に割り当てている。この設定を生かすべく、h/n/j/mキーの右隣にある11個のキーに対して0〜9の数字キーを割り当てた。jキーを目印にすると、この配列は覚えやすい。さすがに専用のテンキーには及ばないが、出先でちょっとした帳簿を付ける程度なら十分に役立つ。

 合わせて、Fnキーとカーソルキーのコンビネーションには「ボリュームオン/オフ」「ミュート」や「ポーズ」の機能を割り当てた。

HHKB Fnキー同時押しでテンキー的に利用できる設定を行った
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