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「チャンス」を的確に生かす日本HPが躍進する理由IT産業のトレンドリーダーに聞く!(日本HP 前編)(3/3 ページ)

» 2022年12月19日 12時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
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上げ潮のゲーミングPCでも確かな手応え

―― 日本HPでは、ゲーミングPCも注力分野の1つに挙げていますね。

岡戸氏 今、個人向けPC分野では、ゲーミングPCが大きなトレンドとなっています。調査によると、2020年には、国内ゲーミングユーザーは500万人を突破し、2021年には550万人規模にまで拡大しています。ゲーミングPCは、個人向けPCでは最も高い成長を遂げているセグメントだといえます。

 その中で、日本HPのゲーミングPCブランドである「OMEN」シリーズは、ゲーミングデスクトップPCでは3年連続でトップシェアを獲得しており、プロゲーマーを始めとしたエンスージアスト向けの製品として定着しています。

 また、ゲーミング市場の裾野の広がりに合わせて、「VICTUS」ブランドのゲーミングPCをラインアップしており、カジュアルゲーマーやエントリーユーザーにも最適な製品をそろえています。

 現在はPCゲームを通じて、コミュニティーを形成するといった動きが加速しており、ゲーミングPC市場では、「人とつながりたい」というニーズをしっかりと捉える必要があります。当社ではゲーミングPCの領域において、「つよたのしくいこう」というメッセージを打ち出し、ゲームで強くなりたいというユーザーだけでなく、ゲームを楽しむ、あるいはゲームを通じて人々とのつながりを増やしたいというユーザーにも最適なPCを用意しています。

 また、ゲーミングPCでも、周辺機器の品ぞろえに力を入れています。例を挙げると、HyperXブランドのゲーミングヘッドセットは、ゲームの臨場感を高めることができるオーディオを実現する一方、ゲーマーに最適化したスタンドアロンマイクを用意し、ゲーミングユーザーのニーズやトレンドを捉えたものとなっています。私は、HyperXブランドの周辺機器を、日常のビジネス用途でも使用しているわけですが(笑)、この高い性能は、ビジネスシーンでも効果を発揮していますよ。

HPのゲーミングPCページでは「つよたのしくいこう」のメッセージが踊る HPのゲーミングPCページでは「つよたのしくいこう」のメッセージが踊る

若年層にもシニア層にももっとPCを普及させたい

―― 日本HPは、若年層へのPCの普及に力に入れています。その狙いはなんですか。

岡戸氏 先ほど触れたように、若い人たちは、副業やフリーランスの仕事に対して高い関心を寄せています。そうした人たちにとっては、創造性を支援するためのツールとして、PCが果たす役割は大きいといえます。

 例えば、グラフィック機能に優れたモバイルワークステーションによって、クリエイターとしての仕事を支援したり、ビデオ会議に最適化した機能をノートPCに搭載することによって、在宅で副業が行いやすい環境を実現したりといったように、当社のPCはさまざまな仕事をサポートすることができます。

 また、ゲーミングPCの「つよたのしくいこう」というメッセージも、若い人たちに、もっとPCを使ってほしいという提案の一環です。スマホのライトゲーマーに対してゲーミングPCを使ってもらう他、オンラインでつながる新たなコミュニケーションを支援することもできます。

 GIGAスクール構想によって、教育現場にPCが普及し、小学校からPCに触れる機会が一気に広がりました。小中学生が自宅で利用したり、あるいは大学生になったり、就職したりといった場面でも、PCを利用してもらえるような活動や提案を進めていきたいと思っています。

 一方で、シニア層への提案も、当社にとっては重要な取り組みだと思っています。日本は、65歳以上の人口構成比が世界で最も高い国です。デジタルの公平性という観点で見た場合に、シニア層にもデジタルの価値を提供することは、私たちにとって重要なミッションだといえます。

 シニア層が使いやすいPCの提供や、より快適に利用するための周辺機器の提供、PC利用を支援するためのサービスの提供などにも力を入れていきます。仕事でPCを使っていた人たちが、リタイアして今度は余暇を楽しむべくPCを使ってもらい、コミュニティーの形成にも役立ててもらいたいですね。

 今後は、遠隔医療などが進む中でもPCが活用されますし、新たな学びの機会を得るためにもPCを活用できます。シニア世代に特化したPCを投入するかどうかはこれからの検討になってきますが、まずはシニア層に最適な使い方の提案、それに合わせた需要の喚起などをやっていきたいですね。

―― 日本HPが取り扱うブランドがかなり増えてきましたね。ラインアップや選択肢が広がる一方で、マーケティング面では、分散化することでのマイナスも生まれそうです。

岡戸氏 世の中が大きく変化し、働き方も、生活の仕方も多様化する中で、特定のPCだけではニーズをカバーしきれませんし、周辺機器を含めて、日本HPトータルとして、いろいろな提案ができるようにしていく必要があると考えています。

 ポートフォリオの強化は、当社のビジネスの強化につながるものだと考えています。確かにブランドが増えてきましたから、分かりにくいという状況が発生する可能性はあります。それぞれのブランドの特徴を整理し、市場に対するメッセージをしっかりと届けていきます。

―― PCの価格上昇が顕著になっています。日本HPのPCも値上げの動きが見られています。これは、PCの販売において、マイナス要素にはなっていませんか。

岡戸氏 為替の影響などによって、PCのコストが上昇していますので、市場のニーズを捉えながら、価格をコントロールしています。一律に価格を上げるとか、一斉に行うというよりも、ケース・バイ・ケースで対応していくことがポイントであると考えており、市場動向、為替動向、供給の状況といった外部環境を捉えながら、フレキシブルに、適切に対応していくというのが当社の基本姿勢です。その際に、当社が提供する価値をしっかりとお伝えすることが大切だと考えています。

 後編に続く

→・【後編】社会課題への適応も求められる中で日本HPが重視すること

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