ここからは実際にGeForce RTX 4070 Tiの性能を、各種ベンチマークテストを通しチェックしていく。今回テストに使用したのは、第13世代Coreプロセッサの最上位モデル「Core i9-13900K」中心に組んだ自作PCである。グラフィックスドライバーは、テスト版の「527.62」を利用している。
なお、ベンチマークテスト結果には過去にPC USERで行った「GeForce RTX 4090」「GeForce RTX 4080」「GeForce RTX 3090 Ti」のテスト結果を参考値として添えている。ただし、機材の都合でGeForce RTX 4090/3090 Tiの測定は「Ryzen 9 7950X」のシステムで計測したものとなるので、単純比較できないことはご容赦いただきたい。
まず、3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックする「3DMark」の結果を見てみよう。今回はDirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」、DirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」を用意されている全ての解像度で試験しつつ、RT性能をチェックする「Port Royal」のテストも実施した。総合スコアは以下の通りである。
NVIDIAによると「GeForce RTX 4070 TiはGeForce RTX 3090 Tiを上回る」という。上記のテスト結果を見ると、確かに両者のスコアは結構近い。テストによっては、GeForce RTX 4070 Tiが勝っているものもある。
テストをする前は「そんなこと言っても、実際はGeForce RTX 3090 Tiが勝つんでは?」と思っていて、特に処理が重たくなりがちなDirectX 12ベースのテストやリアルタイムレイトレーシング(RT)のテストは大差が付くのではないかと思っていたのだが、その心配は杞憂(きゆう)だったようである。
これだけ結果が近いのであれば、グラフィックスメモリの容量が必要な用途でもない限り、わざわざGeForce RTX 3090 Tiを買う理由もない。
続いて、実際のゲームタイトルをベースとするベンチマークテストアプリを使ってパフォーマンスをチェックしてみよう。
まず、少し軽めの「ファイナルファンタジーXIV : 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を最高画質のプリセットでフルHD(1920×1080ピクセル)、WQHD(2560×1440ピクセル)、4Kの3つの解像度でスコアを測ってみた。結果は以下の通りだ。
スコアの傾向的には、先の3DMarkと同様である。グラフィックスメモリの容量差もあってか、4K解像度では僅差で負けてしまったが、他の解像度ではGeForce RTX 3090 Tiよりもスコアが良い。
ただ、実際のベンチマークテストの進捗(しんちょく)を見ていると、4K解像度でもGeForce RTX 3090 TiとGeForce RTX 4070 Tiの間に明確な差は感じられない。実際のゲームプレイでは大きな影響はなさそうである。
続けて、システムへの負荷がやや大きい「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」の高画質設定も合わせて実行してみよう。解像度はFF14ベンチマークと同じくフルHD、WQHD、4Kの3つで行っている。結果は以下の通りである。
これまでのテスト同様に、GeForce RTX 4070 TiはGeForce RTX 3090 Tiとほとんどが差のない。ただし、4K解像度だけ負けてしまっている。それでも、一応は「とても快適」判定である。
4K解像度で負けてしまったのは、やはりグラフィックスメモリの容量が影響していると考えられる。グラフィックスメモリの容量は、GeForce RTX 4070 Tiが12GBなのに対して、GeForce RTX 3090 Tiは倍の24GBを備えている。解像度と画質が上がるほど、読み込むモデルやテクスチャーの容量も大きくなる。一度に読み込んでおける量の差が、スコアに影響しているということだ。
端的にいうと、グラフィックスメモリの容量がモノをいうゲームやクリエイティブ作業では、GeForce RTX 3090 Tiにも優位性があるということである。
ここまで見てきた通り、GeForce RTX 4070 Tiは先代の最上位であるGeForce RTX 3090 Tiに迫るパフォーマンスを発揮できている。しかし、4K解像度でのテストでは、グラフィックスメモリの容量差ゆえに敗北を喫してしまっている。
しかし、GeForce RTX 4070 TiではNVIDIAの超解像技術「NVIDIA DLSS(Deep Learning Super Sampling)」の第3世代(DLSS 3)を利用できる。描画解像度を落として、その映像を4Kにアップスケールすれば、4K解像度でも快適なゲームプレイを期待できる。
そこで、DLSS 3に対応するゲームタイトルで、負荷が非常に大きいことでも知られる「サイバーパンク 2077」の平均フレームレートを計測してみた。
今回は、画質プリセット「ウルトラ」におけるDLSS無効時(4Kネイティブ)とDLSS有効時(Performance mode for 4K/Ultraライティング)の双方で平均フレームレートを計測している。GeForce RTX 40シリーズでは、DLSS 3の新機能である「フレーム補間」も有効にしている。結果は以下の通りだ。
ご覧の通り、DLSS 3の効果はてきめんである。DLSSをオンにすると、GeForce RTX 4070 TiがGeForce RTX 3090 Tiを大きく引き離した。さすがにより上位のGeForce RTX 4080/4090にはかなわないが、GeForce RTX 3090 Tiから平均フレームレートが30%アップするとなれば、超重量級のゲームタイトルを遊びたい場合にもGeForce RTX 4070 Tiは有力な選択肢となるはずだ。
なお、NVIDIAから「WQHD(2560×1440)解像度も比べてみてください!」と勧められたので、GeForce RTX 4070 TiにおいてDLSSのオン/オフで平均フレームレートを計測してみた。結果は以下の通りである。
最近はWQHDの高リフレッシュレートディスプレイの値段も下がってきている。GeForce RTX 4070 Tiなら、それを生かせる実力がありそうである。「4Kでは遊ばない」というゲーマーであっても、ゲーム体験をアップデートしてくれることは間違いないだろう。
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