P44 Proには512GB、1TB、2TBの3モデルが用意されている。公称のスペックは以下の通りで、容量によって書き込み速度やTBW(寿命)が異なる。
カードのフォームファクターはM.2の「Type2280(幅22×長さ80mm)」で、インタフェースはPCI Express 4.0 x4となる。
ここからは、P44 Proの1TBモデルの実力をベンチマークテストでチェックしていこう。今回のテスト環境の主な仕様は以下の通りだ。なお、P44 Proにはマザーボードに付属するヒートシンクも取り付けている。
まず、ストレージのベンチマークテストアプリとしては定番の「CrystalDiskMark 8.0.4」を実行して、読み書きの速度をチェックしてみよう。今回は設定で「NVMe SSD」を選択した上で、データパターンを「デフォルト」と「All 0x00」の2種類で計測した。
データパターンだが、デフォルトではランダムなデータを含むファイルを生成してテストをするため、SSDの“素の性能”を確認しやすい。一方で、All 0x00でのテストは、その名の通りゼロデータで埋め尽くされたファイル(≒圧縮しやすいファイル)でテストを行うため、SSDによってはカタログスペックよりも「かなり高速」な結果が出ることもある。
シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)とランダム(RND4K Q32T1)の実測結果は以下の通りだ。
どちらのデータパターンでも、おおむね公称通りのパフォーマンスを発揮できている。何度かテストを繰り返したが、結果は上記のものとおおむね変わらなかったので、しっかりと冷却できれば期待通りに働くSSDといえるだろう。
特筆すべきは、ランダムの読み書きスピードの高速さだろう。これだけの速度が出ていれば、基本的にどんな用途でも困ることはないはずだ。
続いては、PCの総合ベンチマークテストアプリ「PCMark 10」と、3Dグラフィックスのベンチマークテストアプリ「3DMark」に内包されたストレージテストを実行してみた。
とりわけ3DMarkについては「何でストレージテストがあるの?」と思う人もいるかもしれないが、最近はゲーミングにおいても高いストレージの性能が求められるタイトルが存在することを受けて実装されたようである。
スコア的には、PCMark 10なら2000ポイント以上、3DMarkなら2500ポイント以上を記録すれば「高速なストレージ」といえるのだが、どうなるだろうか……?
いずれのアプリでも十分すぎるほどに「高速なストレージ」判定となった。P44 Proは、日常的なアプリケーションの起動や操作はもちろん、重たいゲームタイトルを遊ぶ際にも十分なパフォーマンスを発揮してくれるSSDといえる。
SolidimgのSSDには、専用のデバイスドライバーやユーティリティーアプリが用意されている。どちらも公式サイトからダウンロードができるので、P44 Proを載せたPCをセットアップする際は、合わせて導入しておきたい。
専用ユーティリティーアプリ「SOLIDIGM Storage Tool」ではストレージ情報の表示とファームウェアの更新などが行える。推定残存寿命やSSDの現在の温度を確認することができるので、「やけに読み書きの速度が遅いなぁ」と感じた際などに開いてみると、SSDに発生している問題をすぐにチェックできる。
またこのアプリからは、最新のファームウェアも適用可能だ。パフォーマンスアップやPCの安定動作に寄与する更新も簡単に行える。
加えて、データを完全に消去する「セキュアイレース」にも対応している。滅多にないとは思うが、PCを他人に譲ったりSSDを破棄する際に、しっかりとデータ消去を、ユーティリティー上から容易に行えるのは便利かつ安心な要素といえるだろう。
今やPCI Express 4.0接続のSSDは主流となった。廉価モデルや省電力を強く重視するモデルでもない限り、メーカー製PCが標準搭載するSSDは、おおむねPCI Express 4.0接続である。
ソリダイムのP44 Proは、PCI Express 4.0接続のM.2 SSDとしてはある意味で“最後発”となるが、高速な読み書きを実現しつつも、安定して動作するという点において後発の強みを十分に発揮している製品であると思う。
これから選ぶハイエンドのSSDとして、P44 Proは“選びたくなる”選択肢の1つとなることは間違いない。皆さんも、ぜひ注目してみてほしい。
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