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Adobeが“プロでも使えて稼げる”コンテンツ生成AIを発表 Creative Cloud向けにコパイロット機能も用意して学習機能も開放本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

» 2023年03月22日 11時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

カスタムAIモデルでクリエイターが収益を得られる仕組みを構築

 Fireflyには、もう1つ重要な特徴がある。クリエイター自身がFireflyの学習を行えるのだ。

 先述の通り、FireflyではAdobe Stockにある著作権フリーコンテンツが学習データとして使われる。そのため、Adobe CCユーザーが著作権フリーコンテンツとしてアップロードしたコンテンツも、適切な「タグ」を付与すれば学習用データとして活用される。

学習用データ 学習用データを提供したクリエイターに対する報酬プログラムも検討されている

 逆に、「自分が作ったコンテンツを生成型AIで使われたくない!」というクリエイターも当然いるだろう。その場合は、アップロードするコンテンツに「Do Not Train(学習拒否)タグ」を付与すればよい。

 Do Not Trainタグは、すかしデータのように関連する成果物にも自動的に付与される。何らかの形でコンテンツが再頒布された場合でも、自分の画風やタッチなどが別のAIモデルの元にならないようになっている。

 Adobeは、デジタルコンテンツの真正性を担保するための仕組みを構築する「Content Authenticity Initiative(CAI)」の設立を主導した(参考記事)。AIモデルを通じた成果物を含めた著作物の扱いについても、CAIを通して世界的な枠組みを構築し、クリエイターの権利を守っていく考えである。

コンテンツの真正性 コンテンツ生成型AIで問題になりがちなクリエイターの権利保護にも努める。Fireflyによる学習を“拒否”するために「Do Not Trainタグ」を用意する他、CAIを通した権利保護の枠組み作りも進めていくという

 Fireflyでは、企業やクリエイターが独自のスタイルを学習させることで「カスタマイズされたAIモデル」を作ることもできる。Adobeでは、AIモデルについて学習元のクリエイターに報酬を与えられる仕組みを検討している。詳細は、Fireflyのβテストが終わるタイミングで公表される見通しだ。

 加えて、FireflyはAPIとしてもサードパーティに提供される。さまざまなワークフローの中で活用できる手段を提供する計画もあるという。

 こうしたプラットフォームとしての基盤を作ることで、クリエイターが生み出す価値を、さまざまな粒度やレベル人たちが活用できるようになる。

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