インテルは2022年3月22日、プラットフォームやジャンルを問わず、優れた作品を生み出し、挑戦し続けるクリエイターを支援することを目的として「インテル Blue Carpet Project(BCP)」を立ち上げた。以来、オンラインイベントなどを通じて、コミュニティーを拡大する取り組みを進めている。
プロジェクトの立ち上げから1年――インテルは3月20日から24日まで、BCPを通して生み出された作品を披露するイベント「Blue Carpet Fes 2023 Spring〜Creator Works Exhibition〜」を開催した。会期中、同社は報道関係者に同イベントの概要やBCPの活動を説明する機会を設けた。この記事では、その模様をお伝えする。
始めに登壇した技術本部の安生健一朗部長は冒頭、「コロナ禍で、プロジェクト発足の発表はオンラインになってしまったが、作品展はぜひオフライン開催したいという念願がかなった」と、感慨深く語った。コロナ禍の影響もあって、プロジェクトの旗揚げがオンラインで行われたことを踏まえた発言である。
同氏は「作品が脚光を浴びることはあっても、それを生み出しているクリエイター、ましてやその制作環境にスポットライトが当たることは少ない」とした上で、今回のイベントを開催する理由を以下のように説明した。
「動画制作やイラスト制作などの分野だけでなく、仏像彫刻やダンス、能管奏者といった、デジタルとは関係なさそうな分野でもPCが活躍しています。そのことをインテルとして知らしめていきたいと考え、クリエイター、作品、そして使用機材を同時に展示するイベントを開催することにしました」(安生氏)
先述の通り、BCPは立ち上げから1年を経過した。安生氏は「10人ほどだった参加クリエイターが、現在では28人にまで増え、賛同する企業/教育機関/業界団体は62に増えました。クリエイターコミュニティーでは口コミが口コミを呼んで、ここまで増えたので、コミュニティとして自走し始めているという感触を得ています」と振り返る。
BCPに賛同する企業/教育機関/業界団体に関しても、面白い特徴があるという。「インテルとなじみの深いPCやマザーボードメーカーが22社」賛同していることはもちろん、「(従来は)インテルとあまり接点のなかったクリエイティブカンパニーや教育機関、カメラメーカー」からの賛同も得られているという。クリエイターの広がりと同様に「(インテルとのつながりがある)知り合いを通してお声がけいただいている」状況のようだ。
この1年間で行われたセミナーやコンテストは、合わせて34回に上る。インテルのマーケティング本部の上野晶子本部長によると、安生氏は主に審査員として34回のほとんどに関わっているという。
安生氏は「34回といっても、ほとんどがパートナー企業が計画していた取り組みにご一緒した(参加した)形です」と断った上で、「通常であれば作品だけを展示するところに、PCを始めとする機材も展示させてもらい『このクリエイティブ(作品)を作るには、このような制作環境が必要です』という意識を持っていただきたいと思いました」と参加の意図を語った。
クリエイターの支援というと、スポンサーとして機材を「提供」、つまりずっと使ってもらう前提で譲渡する方が効果的だろうと思う。しかし、BCPではクリエイターに機材を「貸し出し」ている。
なぜ「提供」ではなく「貸し出し」なのか――安生氏は「インテルでは毎年、新しいプロセッサを出しているから」と説明する。上野氏も「現在の最新プロセッサは、第13世代です。このようなプロジェクトを行うからには、私たちはクリエイターの皆さんに常に最新の環境を届ける責務を負っています。なので、毎年新しい環境を用意できるように『貸し出し』としています」と補足した。
安生氏によると、一部のクリエイターに貸し出しているPCでは、既にCPUの“差し替え”を行っているという。映像ディレクターの佐々木章介氏に貸し出しているPCは、安生氏が自らアトリエまで行って、CPUを換装したという。
「インテルは、PCなどの製品を作っていないので、メーカーの協力がないと成り立たない。これほど多くのメーカーに賛同してもらえていること、本当に感謝しています」(安生氏)
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