ここからは、ベンチマークテストの結果を見よう。特に言及がないかぎり、Windowsの電源設定は「最適なパフォーマンス」を選択している。参考として、2018年に発売された旧世代のビジネスPC(ThinkPad T480s)のスコアも掲載した。
CINEBENCH R23のスコアから見よう。レンダリングやエンコードなどCPUの馬力を見る「CPU」テスト、操作のレスポンスなどに影響するシングルスレッド性能を見る「CPU(シングルコア)」テスト、どちらでも比較対象を上回っている。
旧世代PCが搭載するCore i5-8250Uは、Core i5とはいえモバイル向けCPUが2コア4スレッドから4コア8スレッドへと進化した最初の世代(開発コード名:Kaby Lake R)である。当時としてはかなり良い性能を持っていたのだが、それをファンレスで楽々と上回っているCore i3-N300の電力効率は見事だ。
ストレージ性能はシーケンシャルリード/ライトでは優勢な一方、ランダムではやや劣勢だ。それでも従来のタブレットに搭載されていたeMMCに比べれば、UFSストレージはかなり健闘しているといえる。
グラフィックス性能では、明らかに比較対象よりも良いスコアだ。3DMarkのFire Strike(DirectX 11)/Time Spy(DirectX 12)/FINAL FANTASY XIV:暁月のフィナーレベンチマーク、いずれも大きくリードしている。
そして、メモリやストレージ、グラフィックス性能の要素も加味されるPCMark 10でも、Productivity以外の項目では比較対象を上回っており、トータルの体験で上を行っていることが分かる。体感的にも、もっさり感は皆無だ。
本製品はファンレスシステムのため、冷却ファンの動作音はない。高負荷時でも、室温22度の室内で表面温度が40度を超えることはなかった。キーボードが一体化されていないため、当然キーボードにも熱は伝わってこない。カバーなしで手に持ってストリーミング動画視聴をしていても、意識すればじんわり熱を持っているという程度の発熱だ。
ASUS Vivobook 13 Slate OLED T3304GAは、普及価格帯の2in1タブレットでありながら、WindowsタブレットPCとしては、極めてバランス感覚の優れた製品となっている。
ファンレス設計ながらパフォーマンス、レスポンスともに優秀で発熱も穏やかだ。有機ELディスプレイの美しい画面、画面出力と充電の可能なUSB Type-C端子を2基搭載するなど、機能的にも洗練されている上にスタンドカバーやキーボードの使い勝手も良い。
学校や職場で支給される安価なタブレットの体験から、WindowsのタブレットPCにはあまり良いイメージを持っていない人もいるかもしれないが、本製品に触れてみればイメージはガラッと変わるはずだ。欲をいえばWWAN(Cellular)対応モデルの選択肢が欲しいところではあるが、それは今後に期待したい。
Webブラウジングやオンラインショッピング、動画鑑賞、ブラウザベースのゲームプレイなどがカジュアルにできるコンテンツ消費用デバイスとして、中でも「Windowsが動作するタブレット/2in1モバイルPC」としてはこれまでにない完成度を持っていると感じる。
ASUS Storeでの税込み販売価格は、Microsoft Office Home and Business 2021が付属する「T3304GA-LQ025WS」は13万9800円、WPS Office 2の「T3304GA-LQ025W」ならば11万9800円となっている。内容を考えれば購入を検討する価値は十分にあるだろう。
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