ROG Allyは、ROGブランドの一部ノートPCで利用できる外付けGPUボックス「ROG XG Mobile」の接続に対応している。
搭載するGPUなどの違いから、ROG XG Mobileには3つのモデルが用意されている。最上位の「GC33Y」は、NVIDIAの「GeForce RTX 4090 Laptop」を備え、実売価格は40万円弱だ。ミドルクラスの「GC31」は、同社の「GeForce RTX 3080 Laptop」を搭載し、実売価格は19万円弱だ。
今回は、エントリークラスで実売価格が13万円弱となる「GC32L」を使ってみることにした。GPUはAMDの「Radeon RX 6850M XT」を搭載している。
GC32Lのサイズは約217(幅)×165(奥行き)×32.6(厚さ)mmで、重量は公称で約1.3kgとなっている。GPUやPC本体への電源供給を担うACアダプターを内蔵しているせいか、重量は13〜14型のノートPC並みである。
これをROG Allyと一緒に持ち歩くのは、不可能ではないが少し厄介そうである。あくまでも、「自宅でよりよい環境でプレイするための周辺機器」と考えた方がよい。
ポート類は、HDMI 2.1出力端子、DisplayPort 1.4出力端子、USB 3.2 Gen 2 Standard-A端子×4、有線LAN(1000BASE-T)ポート、SDメモリーカードスロット(UHS-II対応)を備えている。ディスプレイだけでなくキーボードやマウス、HDD/SSDなども接続できるので、ROG AllyをデスクトップPCのように利用できるようになる。
ROG XG Mobileを接続することで、3Dグラフィックス性能は飛躍的に向上する。詳しくは後述するが、ROG Allyが搭載する「Ryzen Z1 Extreme」も、APUとしては相当強力なGPUを備えている。設定次第ではAAAタイトルなどの重量級のゲームも案外楽しめるのだが、XG Mobileを装着すれば、設定を高めにしても快適に遊べるようになる。
実際にGC32L経由でリフレッシュレート240Hzのゲーミングディスプレイ、キーボード、マウス、オーディオインタフェースを接続した「VALORANT」をプレイしてみると、デスマッチをプレイ中の平均フレームレートが174.7fpsとなり、かなり快適に遊べた。
ポータブルゲーミングPCでも“妥協なく”ゲームを楽しみたいなら、ぜひとも用意しておきたいデバイス……なのだが、GPUの使用率が上がると、ROG XG Mobileは結構ないきおいでファンを回す。イヤフォンやヘッドセットをしてゲームを遊ぶ場合はそれほど気にならないかもしれないが、スピーカーで音を聞きながらゲームを楽しむ場合は、ファンの音が結構気になるかもしれない。
話は少し脇道にそれるが、ASUS JAPANはROG Allyとほぼ同時期に、ROGブランドで「ROG Raikiri(ライキリ)」という有線ゲームコントローラーを発売している。実売価格は1万3000円弱と若干高価だが、一般的なゲームコントローラーと比べて多機能であることが特徴だ。
ROG RaikiriはXbox ワイヤレスコントローラーと同じボタン配列で、Microsoftからの公式認証も取得している。有線接続専用ではあるが、Windows PCに加えてXboxシリーズの本体でも利用可能だ。ケーブルは着脱可能で、コントローラー側にはUSB Type-C端子を備えている。本体の重量は約300g(付属ケーブル込み)だ。
ROG Allyのパッドと同様に、背面にはマクロボタンを2つ備えている。また、Windows PCとつないだ場合は、Armoury Crate(SE)からボタンのマッピングの変更、LED照明、トリガーのデッドゾーン、ジョイスティックの反応曲線、バイブレーション強度の調整が可能だ。
加えて、このROG AllyはESS製のDACを搭載しており、イヤフォン端子を介してバーチャルサラウンドを再生できる。ミュートボタンも備えているので、手元で音をオフするのも容易だ。
全体的な使い心地は良好だが、ROG Allyと組み合わせて使っていると「コマンドセンターボタンとArmoury Crateボタンがあればなぁ」と思うこともあった。Ally専用のコントローラーではないので、今後のモデル展開に期待したいところである。
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