ベンチマークテストの結果を見てみよう。特に言及がない限り、Armoury Crateで選択できる動作モードは「Turbo」、GPUモードは「Ultimate」、Windows 11の電源設定は「最適なパフォーマンス」を選択している。参考として、Core i9-13900Hを搭載した「ROG Flow Z13(2023)GZ301」、旧世代ゲーミングPC(2021年発売)のスコアも掲載している。
CINEBENCH R23、Blender Benchmarkは、CPUとGPUの馬力がストレートに反映されるテストだ。いずれもROG Flow Z13には少し及ばないものの、旧世代PCは圧倒しており、CPUパワー、GPUパワーともに、重量約1.35kgの2in1ノートPCとしては異例の数値であることが実証されている。
なお、ROG Flow Z13との差はCPUの差の他に、テスト時期の違いにより、室温が4〜5度違うことも影響していると思われる。
他のテストも、ROG Flow Z13(2023)GZ301に比べると少し分が悪いが、ミドルクラス下位のとはいえ2年前の大柄なゲーミングノートPCを圧倒しており、十分に良いスコアだ。
動作音については、Armoury Crateで選択できる動作モード別にテストした。合わせて、PCMark 10、FINAL FANTASY XIV:暁月のフィナーレベンチマークについても動作モード別のテストも行った。
Turboモードではやや負荷に敏感で高負荷時の動作音もかなり大きくなるが、パフォーマンスモードならばだいぶ軽減される。スコアの差はさほどでもないため、ここぞという時のみTurboモードを使うのが良さそうだ。サイレントであれば高負荷時も静音で運用できる。日常的な作業はサイレントでもモタつくような場面は全く見られない。
発熱の処理もうまくできている。高負荷時には排気口のある右側面奥側を中心に高い発熱はあるが、手がよく触れるパームレストやWASDキーのあたりは体温以下に抑えられている。右側面からの熱風はそれほど勢いがあるわけではなく、本体右側でマウスを使う場合も少し離していれば、特に不快には感じなかった。
ここまで見てきたように、ROG Flow X13 (2023)GV302は1.35kgのコンパクトなボディーに、オールラウンドのパフォーマンスとユーザビリティを兼ね備えた2in1モバイルPCだ。
ROGシリーズならではの放熱設計で、Ryzen 9 7940HS、GeForce RTX 4060 Laptop GPU(8GB)のパフォーマンスをきっちりと引き出しており、単体でゲーミングでもクリエイティブ利用でもハイレベルの体験ができるPCに仕上がっている。
今回の評価機であるGZ302XV-R9R4060のASUS Storeでの販売価格は31万9800円(税込み、以下同)となっている。これだけのパフォーマンスを2in1スタイルで持ち運べるだけでなく、外付けGPUユニット(ROG XG Mobile)によるパワーアップも可能という付加価値もある。タブレットスタイルのROG Flow Z13(2023)GZ301と同様、高価ではあるが、内容を考えれば納得するしかない内容だ。
なお、ラインアップは4種類ある。ハイエンド志向の人にはGPUがGeForce RTX 4070 Laptop GPU(8GB)でメモリ32GB、34万9800円の最上位モデル「GV302XI-R9R4070」の方がコストパフォーマンスが高く感じられるかもしれない。
また、最廉価モデル「GV302XA-R9RUMA」は外部GPUを搭載せず、液晶も変更(フルHD、120Hz)になるが、19万9800円とリーズナブルだ。ROG XG Mobile GC33Yの利用が前提で単体でのゲーム性能は高くなくともよいのならば、これを選ぶのもありだろう。
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