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AI導入で仕事の効率向上は理解 しかし必要なインフラを用意できていない――AMDが企業の「AI×IT環境」を調査

» 2023年09月12日 18時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 AMDは8月15日(米国太平洋夏時間)、日本を含む5カ国で実施した調査レポート「AIの展望:IT部門はAI時代の到来に備えているか」を公表した。調査によると、企業のITリーダー(情報システム部門の責任者)の多くAI(人工知能)を業務に取り入れることのメリットを十分に承知している一方で、そのために必要なインフラを導入できていないケースが少なからず存在するという。

 同社の日本法人である日本AMDは9月12日、本レポートを含めたAIに関する取り組みを記者向けに説明した。日本のITリーダーたちは、AI技術についてどのように考えているのだろうか。

PDFの表紙 調査レポートの表紙(英語、PDF形式
ジョン・ロボトム社長 説明会に登壇した日本AMDのジョン・ロボトム社長。報道関係者向けの説明会に出席するのは、就任後初めてだという
ジャスティン・ガルトン氏 同じく説明会に登壇した、AMDのジャスティン・ガルトン氏。コマーシャルクライアントビジネス ワールドワイドMNCセグメントのリーダーとして、法人向けクライアント製品(Ryzen PROシリーズなど)を担当している

AIへの受け止めは「楽観的」だが普及に課題も

 今回の調査は、米国、イギリス、ドイツ、フランス、日本の各国のITリーダー500人ずつ(計2500人)を対象に行われた。

 それによると、5カ国のITリーダーの約4分の3は「AIがもたらす潜在的なメリット」を楽観的に捉えているという。日本に絞ると約3分の2と比率が少しだけ下がるものの、おおむねAI技術の導入には楽観的な傾向にあるようだ。

 日本のITリーダーの半数は従業員の作業効率の改善にAI技術が役立つと認識しており、既にAI技術を取り入れている企業の73%はその効果を実感しているという。

日本における特徴点 日本における調査の特徴的なポイント(ポジティブな部分)

 一方で、課題もある。AMDによると、日本では5カ国平均、あるいは他の4カ国と比較した際に以下の傾向が見られたそうだ。

  • AI技術の導入(拡大)に向けた予算確保をしている企業が61%と、5カ国全体(約3分の2)よりもやや低め
    • ドイツは79%、フランスは76%と高めだった
  • 自然言語処理アプリ(ChatGPTなど)を利用したことがない企業が55%と高め
    • 5カ国平均では52%で、一番高かったのはイギリスの59%だった
  • プロセス自動化アプリを利用したことない企業が50%と、他国よりも比率が高い
  • 51%の企業がAIの完全整備に1〜5年かかると回答
    • 5カ国全体では44%だった
  • 自社でAIを導入する準備ができていない企業が56%と、他国と比べて多い
    • 5カ国全体では46%だった
  • AI処理をするためのITインフラを持っていない企業が64%と、他国と比べて多い
    • 5カ国全体では52%だった
    • 日本は技術スタックの整備状況もワースト(対応できているとの回答が47%)
日本における特徴点 日本における調査の特徴的なポイント(ネガティブな部分)

 ただ、程度の差こそあるものの、日本を含む5カ国においてAIの「潜在的なセキュリティリスク」「インフラ整備の遅れ(投資不足)」「人的トレーニングの遅れ」に関する懸念は共通しているという。

 これらの課題を解決すべく、AMDはオープンソースコミュニティや大手ソフトウェアベンダー(Microsoftなど)と強力しつつ、AIに関するソリューションを広範に開発している。

 とりわけ、ビジネス向けノートPC用APU「Ryzen PRO 7040シリーズ」は、コンシューマー向けの「Ryzen 7040シリーズ」と並んで、一部のモデルを除きAIプロセッサ「Ryzen AI」を搭載している。

 AIプロセッサを搭載しているx86アーキテクチャのCPU(APU)は、現時点ではAMDにしかない(競合は2023年末に登場予定)。同社は「少しでも早く、幅広くAIを使うならAMD」とアピールしたいようである。

AMD AMDのAIソリューション。AIアクセラレーターなどを手掛けるXilinx(ザイリンクス)を買収したことで、そのポートフォリオは大きく広がった

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