さて、それでは実用していきましょう。今回も感触を比べやすいようにいつもの絵で各工程を試しています。
低遅延と120Hzによるサクサク感と滑らかさがあり、超軽いタッチからグッと押し込むようなストロークまで自然な反応があり、ペンも前世代のプロペン2よりシッカリ感と視界の良さが向上しています。必要に応じて過去のレビューもチェックしてください。
また、アプリも1年前より120Hz対応が進んでいるようでもありました。以前は120Hzでも高速度撮影で見るとブラシの表示更新の間隔が秒60回程度の場合が多かったですが、今はPhotoshopもCLIP STUDIO PAINTも、120回か、それ以下だとしても以前よりは滑らかに表示されるようになっています。
使ってみた実感としては、前世代のCintiq Proのハイエンドな描き味に慣れている人であっても、はっきり進化を感じ取れる出来になっています。ですが、「クリエイターの手を止めない」に目を向けると、本機は正直なところ気持ちや集中を乱される瞬間はちょくちょくあります。
本機はナローベゼルを採用しているぶん、画面端を操作したいときには少し手がはみ出ます。これ自体は大画面コンパクトとの仕方ないトレードオフなのですが、ペンホルダーを利き手側に設置していると意図せず押してしまい、設置角度がずれるのはストレスです。もちろん、ペンホルダーを装着しなければ済む話ではあります。
専用スタンドの振動については、浮いたような設置にするためには仕方のない面があります。自分の使い方だと、素早いハッチングを描いたときと、勢いよくタイピングしたときに画面がブルブルと震えて集中を乱されました。こういう作りにする以上、モデルごとに共振周波数があり、ユーザーにつきまとってくるということでしょう。
ケーブルはまあ、明らかですね。これくらいのハイエンド機を欲するクリエイターは、こだわりが強い人も多いでしょうし、この見苦しさを気持ちよく受け入れるかというと、あまり楽観的にはなれません。
全体として、基本スペックや描き味は素晴らしいものの、上記のポイントや可搬性の悪化など、大型機の仕様が優先された結果、悩ましい点も増えた印象です。
一方、発熱と騒音は思ったより好印象でした。ファンは静かに回っていて、旧モデルのようにファン音が頻繁に変わることもなく、音質もよく丸まっていて気になりにくいです。室温28度の部屋で輝度を最大、という極端な状況にして2時間以上使ってみましたが、相応に聞こえるファンノイズではあるものの音が不快というわけでもなく、表面温度もペンタブ用の手袋をしていれば気にならない程度でした。全体としては「満足寄りの中立」ぐらいです。
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