「究極の液タブ」は小型化しても究極のまま? ワコムの「Cintiq Pro 17」をプロ絵師がレビューある日のペン・ボード・ガジェット(4/4 ページ)

» 2023年11月13日 12時00分 公開
[refeiaITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

まとめ

 それでは、まとめていきましょう。

気に入った点

  • 前モデルより一回り大きい、17.3型のディスプレイ
  • コンパクトで質実剛健なボディー
  • 4K/120Hz/広色域/プロペン3など、新しいCintiq Proの基準を受け継いでいる
  • タッチ操作に対応
  • 高機能な専用スタンド(従来は大型機にしか提供されなかった)
  • 拡張用のネジ穴
  • 抑制の効いたファンノイズ
  • VESAマウント(75mm)

難点になり得る点

  • コンパクトな割に可搬性がない
  • 内蔵スタンドがなく、付属の簡易スタンドは融通が効かない
  • 美しくない接続仕様
  • Adobe RGBのカバー率が高くない
  • 37万1800円と高価
  • 120Hzのタッチ液晶はSNSとネットサーフィンに最適(時間泥棒)

 Cintiq Pro 17は、1年前にCintiq Pro 27が打ち立てた「Cintiq Proの新しい基準」をほぼそのまま引き継いだ中型機です。コンパクトさからくる設置の自由度と、周辺機材も含めた操作のしやすさ、超高精細な画面などは、大型であることを重視したCintiq Pro 27とはまた別の、妥協のない選択肢です。

 価格は高価ですが、要求の高い、手の込んだ制作に極めて集中して取り組みたい人にとっては、旧Cintiq Proからのアップグレードでも十分に恩恵を感じられるデバイスです。

 一方で、従来の中型機にあった可搬性は失われています。特に従来機で二拠点制作や出張先で利用し、持ち運びやすさの恩恵を受けていた人は、仮に予算があったとしてもスムーズにアップグレードするのは困難です。

 基本的には、作業机に据え置いたら動かさずに使うものとして検討すると良いでしょう。また、その場合、大画面でありながら旧24よりもずっと設置しやすいサイズになったCintiq Pro 22が、本機よりもオールマイティーな出来になっていると想定できます。こちらは自分はレビューしない気がしますが、漏らさず検討しておくと良いでしょう。

 といったところで……。

 ところで新しいCintiq Pro、高いですよね。実はCintiq Pro 17の北米価格は2499.95ドルで、「まあこんだけツヨツヨになっていれば、そんなもんかな」とも思える数字です。それが37万1800円というのは、急激な円安に身体が慣れてない、これにつきます。

ワコム WACOM Cintiq Pro 17 27 22 ペンタブレット プロ 米ワコムの公式通販より。税抜き価格に相当することは注意してください

 個人的には業務の基幹になる機材ならば、これくらいのものまであっても良いと思います。ですが、性能も十分で仕事もできる機材は他にもあり、ワコムならばCintiqスタンダードがその役割です。また、「Wacom One液晶ペンタブレット 13」がペン以外はCintiq Pro 13みたいな仕様になったことから、Cintiqスタンダードの新型も、従来の古くさい仕様を盛り込んだ入門機という印象から打って変わって、旧Cintiq Pro相当ぐらいの「ちゃんとした上位機」になることが予想できます。

 つまり、新Cintiq Proは「超越した上位機」、まだ見ぬCintiqスタンダードは「ちゃんとした上位機」、というすみ分けになるのでは、ということですね。(4Kとかまではかなわないかもしれないですが)

 折しも、ワコムは7月に「FY03/24-FY03/25の間にブランド商品のポートフォリオを全て更新」(PDF)と株主向けの資料で発表しています。つまり長くてもあと1年半足らずの間に、計画が変わらなければ答えが出るわけです。新しいCintiq Proは間違いなくすごい機種ですが、価格でも機能面でも、必ずしも従来のCintiq Proを置き換えるとは言えません。

 なので、買う人は買えばよし、どうかな……と思った人は、液タブを更新したい人も、持ち運びやすさを維持したい人も、まあ、貯金でもしながら答えを待ってもいいんじゃないですかね。そんな気がします。

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月02日 更新
  1. Windows 11のレスポンス改善が徐々に浸透中 最新アップデートの実力とMicrosoft AI戦略の転換点 (2026年06月01日)
  2. ついに日本でも販売を開始したAIグラス「Ray-Ban Meta(Gen 2)」実機レビュー 完成度は高いが課題も (2026年05月29日)
  3. NVIDIAがPC向けArm SoC「N1/N1X」で帰還? Windowsとの“匂わせ”から読み解く次世代ハードとPC市場 (2026年05月31日)
  4. Intel、最大288コアの「Xeon 6+」を正式発表 次世代GPU「Crescent Island」の計画も (2026年06月01日)
  5. 「数字を追い過ぎた失敗」は繰り返さない ノジマ傘下のVAIO 糸岡社長が目指す「新しい理想工場」と再成長 (2026年06月01日)
  6. DDR4メモリでもまだ戦える!! AMDが「Socket AM4」の10周年を祝う Carbice Ice Pad付きの「Ryzen 7 5800X3D」記念パッケージを349ドルで投入 (2026年06月01日)
  7. デル、MacBook Neo対抗の新型「XPS 13」発表 12.7mm、1kgでシリーズ最薄/最軽量 699ドルから (2026年06月01日)
  8. NVIDIAが新型プロセッサ「RTX Spark」でWindows PCに“再挑戦” 搭載PCは2026年秋に登場 (2026年06月01日)
  9. Appleが新しい画像圧縮技術「PICO」をGitHubで発表/「Googlebook」はArmベースのSoCを採用 (2026年05月31日)
  10. 所有しているのに、手元にないように感じる不思議さ ミニスパコン「NVIDIA DGX Spark」と過ごした1カ月 (2026年05月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー