続いて、ゲームと並んで負荷の重い処理を多用する傾向にあるクリエイター向けアプリのパフォーマンスをチェックしてみよう。
私事だが、最近は写真の現像や動画の編集をする機会が多い。そこで今回はアドビの「Lightroom Classic」によるRAWファイルの現像と、「Premiere Pro」による4K動画の書き出しをテストしていく。
Lightroom Classicでは、レンズ交換式カメラ「Nikon Z 7II」で撮影したRAWファイルを300枚取り込み、それらを長辺1920ピクセルのJPEGデータとして現像(書き出し)を終えるまでの時間を計測した。
現像にかかった時間は2分38秒で、1枚当たり1.58秒で書き出せた計算だ。高性能なデスクトップ向けCPUを搭載するPCとほぼ同じ時間で書き出せている。
Premier Proでは「GoPro HERO 10」で撮影した4K(3840×2160ピクセル)解像度の動画を複数読み込ませ、約30分のHEVC(H.265)形式の1本の動画として書き出す時間を計測した。
結果は13分40秒だった。高性能なエンコーダーを備える外部GPUを搭載するPCと比べると、時間は掛かっている(参考記事)。しかし、動画の再生時間よりも短い時間で書き出せていることは確かなので、十分に高速ではある。
実際に作業してみると、思ったよりもサクサクと進む。色味を大きく変える時など、かなりヘビーな作業をすると引っかかりが出ることもあったが、少し重い程度のエフェクトであればスッと適用できる。良い意味で思わぬ誤算だった。
もちろん重たいデータの編集を行っているため、NUC MINI IT13の冷却ファンは常にフル回転となった。それなりに騒音は大きいが、サーマルスロットリング(熱によるパフォーマンス抑制)と見られる挙動は一切ない。これだけ小さなPCなのに、大したものだと感心する。
NUC MINI IT13を“素の”状態で使うと、ゲームの動作には少々難がある。しかし、写真の現像/加工や動画の編集といったクリエイティブ向けのアプリは結構いい感じに使えることが分かった。
もちろん搭載されているCPU次第ではあるが、NUC MINI IT13のようにゲーミングノートPCと同クラスのCPUを搭載したモデルであれば、外部GPUが必要なシーン(ゲームのプレイ)であれば快適に利用できると考えていいだろう。
本機の場合、USB4端子が付いているため、理論上はUSB4(Thunderbolt 3)対応の外部GPUボックスを付ければ、ゲームも快適になるものと思われる。また、「Ryzen 7040シリーズ」のようにCPU内蔵のGPUが高性能であれば、本機よりも快適にゲームを楽しめるはずだ。
ともあれ、現在のミニPCはそのサイズからは想像できないくらいにパワーがあることは間違いなく、以前からの認識は改めた方がよい。
タワー型デスクトップPCのように“存在感のある”ものは部屋に置きたくない、スマートに自宅に設置できるPCが欲しい――そんな人には、今どきのミニPCはお勧めだ。
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