Intelは2月21日(米国太平洋時間)、半導体の受託生産(ファウンドリー)事業に関連するイベント「Intel Foundry Direct Connect」を開催した。本イベントで、同社のパット・ゲルシンガーCEOは“今”半導体の受託生産ビジネスに注力する理由を説明した。
ゲルシンガーCEOは、同社のファウンドリービジネスについて相当自信があるようで、「世界初の『システム・ファウンドリー』になった」「2030年までに世界2位のファウンドリーになる」とも語っている。その自信は、一体どこから来ているのだろうか。この記事では、その“源”を探っていこうと思う。
半導体の受託生産事業について、ここまでのIntelの思惑を箇条書きで整理してみよう。
大体こんな感じだろうか。あまりにも自信満々な様子が伺える。しかし、なぜここまで半導体の受託生産事業の成功を確信できるのだろうか。
そのヒントは、ゲルシンガーCEOの「世界初の『システム・ファウンドリー』になった」という発言に隠されている。「なった」という、已然(いぜん)的な表現になっていることがポイントなのだ。
その“自信”のほどを説明したのが、ゲルシンガー氏に続いて登壇したステュアート・パン氏(ファウンドリーサービス担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー)である。
パン氏は、TSMC創業者のモリス・チャン氏がMIT(マサチューセッツ工科大学)でプレゼンテーションをした際に使ったスライドを引用し、「(このスライドにおける)赤枠の中に集中した事業を展開したのが、TSMCを始めとする半導体受託製造業者だ。一方、青枠はIntelを始めとするCPUを開発/設計から製造/試験まで一貫して行う垂直統合型の企業だ」と説明した。
パン氏はこう続ける。
TSMCは、プロセッサ製品の受託製造において“一点集中”の技術進化に投資をして、その結果、世界一のファウンドリーとなった。これは素晴らしいことである。
しかし、ボブ・ディランの歌にから、この歌詞を引用したい。The Times They Are A-Changin'――そう、時代は変わるのだ。
AI時代を支える高性能プロセッサは、単一機能のチップでは十分な機能や性能を発揮できない。既に一部の最新アーキテクチャのCPU(SoC)がそうなっているように、これからは多様なプロセッサ同士が複雑に接続し合い、超高度なシナジー効果を創出できるアーキテクチャが求められる――パン氏はこう見立てている。
こうした超高度なプロセッサを作り上げるには、新旧さまざまなプロセスノードで製造されたダイを、1つのパッケージとして集約し、まとめ上げる技術が必要となる。先のスライドでいう青枠、つまり垂直統合体制でCPUを開発してきたIntelのような企業こそが、このようなプロセッサを“完成”できると、パン氏は力説する。
Intelは、他社で製造されたダイ(チップ)と自社で製造したダイを接合する多様な技術を保有しており、既に自社製品で実践している。いわゆる「Advanced Chiplet Packaging」(ACP:高度チップレット・パッケージング技術)だ。
Intel Foundryを使えば、生産を委託した事業者も他のファウンドリーで作ったダイとIntel Foundryで作ったダイを結合した半導体を作れる。ここが、他のファウンドリーにはない強みとなるのだ。
そのACPだが、どのようなものが用意されているのだろうか。
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