突然ですが、皆さんはPCや周辺機器がどのようにして作られるか、知っていますか? そういう現場を見られる機会というのは、なかなかありません。
6月7日まで開催されている「COMPUTEX TAIPEI 2024」に合わせて、台湾TULから「工場を見学してみないか?」とお誘いを受けました。「TUL?」と思った読者の皆さんもいると思うので補足すると、「PowerColor(パワーカラー)」ブランドでグラフィックスカードやゲーミングデバイスを製造/販売しているメーカーです。これなら「ああ、あそこか!」と分かる人も多いのではないでしょうか。
今回、お誘いに応じる形でTULのグラフィックスカード工場を見学してきましたので、その様子をお伝えしようと思います。
TULの本社は、台湾の新北(シンペイ)市にあります。
「新北? 台北(タイペイ)と違うの?」という人もいると思うので補足すると、新北市は「新しい台北」として2010年に発足した自治体で、以前は「台北県」と呼ばれていました。そのような経緯から、台北市は全域が新北市に囲まれています。
話を戻すと、その名の通り、COMPUTEX TAIPEIは台北市の南岸(ナンガン)地区で行われています。TULの本社は、台北市の南岸地区からバスで東に20分ほど行った場所にあります。
先述の通り、TULはPowerColorというブランドの下でグラフィックスカードやゲーミングデバイスを販売しています。ゆえにメーカー名を聞く機会も少ないのですが、1997年に発足した、創業27年目の会社です。
最近の同社製品としては、ピンク色の3連ファンを備えるグラフィックスカード「Hellhound Sakura AMD Radeon RX 7800 XT 16GB GDDR6」が話題を呼びました。
TULの本社は、一見すると何の変哲もない普通のビルです。玄関を入ると大きな「TUL」のロゴが出迎えてくれます。PowerColorの「P」の字もありません。
ここで筆者に靴カバーやヘアキャップなどが手渡され、「これらを着用してください」と言われました。普通のオフィスビルに見えて、しっかりと“工場”でもあることがよく分かります。
最初に見学したのが、1階にある事務室。ここではグラフィックスカードを作るための部材の入庫や、出来上がった製品の出荷を管理しています。ある意味で“工場の心臓部”といえます。
次に案内されたのが、2階にある部材倉庫です。
グラフィックスカードはGPUチップだけでなく、各種コンデンサや端子類、空冷用のファン、これらを載せるための基板など、多くの部材を必要とします。2階ではグラフィックスカードに製造な部材を全て保管し、必要に応じて3階にある製造ラインに持っていきます。
倉庫の一角には、届いた部材を“抜き打ちで”検査するブースもあります。例えばGPUチップなどを実装する基板は、“反り”がないかどうかチェックされます。また、GPUチップを始めとするデリケートな部材は、温度が一定に保たれる部屋に保管されます。
部材倉庫の見学が終わると、次は3階に移動です。
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