ここ最近、Intelのモバイル向けCPU/SoCは「標準消費電力(PBP:Processor Base Power)」と消費電力の「上限値」「下限値」を定めた上で、実際の消費電力設定はPCメーカーに“お任せ”している。つまり、同じCPU/SoCを搭載していても、メーカーやモデルによってパフォーマンスに差が生じうるということだ。
この点はレビュー機が搭載しているCore Ultra 258Vも例外ではなく、Intelが定める消費電力設定は以下の通りとなっている。
今回レビューしているZenbook S 14(UX5406)では、ユーティリティーアプリ「MyASUS」で冷却ファンの回転モードを設定できるが、ファン回転モードに応じてSoCの消費電力の下限/上限設定が変わるようになっている。具体的には以下の通りだ。
当たり前かもしれないが、より大きな騒音(≒ファン回転数)を許容するほど、消費電力(≒パフォーマンス)は向上する。ただ、一般的なユーザーはファンの回転数設定を行う機会は少ないと思われるため、今回のレビューでは特記のない限り「スタンダードモード」に固定してテストを行う。
それでは、Zenbook S 14(UX5406)を通してCore Ultra 258Vの実力をチェックしていこう。
先述の通り、MyASUSでのファン回転設定は特記のない限り「スタンダードモード」とした上で、AC駆動の状態でテストを行う。Windowsの電源モードも原則として標準設定の「バランス」とした。あくまでも“素で”どこまで使えるのかを見るためだ。
まず、CPUコアの性能を確認すべく「CINEBENCH R23」を実行した。このテストは、Windowsの電源設定を「バランス」「トップクラスの電力効率(省電力重視)」「最適なパフォーマンス(性能重視)」を切り替えつつ実行した。以下の通りの結果だ。
バランスと最適なパフォーマンスは、誤差といえる範囲内に収まった。一方で、トップクラスの電力効率を選ぶと、ポイントはそれなりに下がる。
続けて、CINEBENCHシリーズの最新版「CINEBENCH 2024」を使って、バランス設定時のAC駆動時とバッテリー駆動時のCPUパフォーマンスをチェックした。結果は以下の通りだ。
バッテリー駆動ではACアダプター駆動の6〜7割程度のスコアとなっている。デフォルトでは、バッテリーの駆動時間を重視する電源チューニングになっているようだ。
CPUに特化したテストを終えた後は、総合的なベンチマークテスト「PCMark 10」を実行してみよう。
こちらはACアダプター駆動とバッテリー駆動のそれぞれで、MyASUSのファン回転設定を「ウィスパー」「スタンダード」「パフォーマンス」「フルスピード」の4つを切り替えつつテストを行った。Windows側の省電力設定は「バランス」で固定している。総合スコアは以下の通りだ。
基本的には、ファンの風切り音が大きくなるほどスコアが伸びるという感じだ。名前通り、フルスピードだとファンがかなり高速に回るため、静かな場所での利用には向かない。普段はスタンダードで使うのが吉である。
Core Ultra 200Vプロセッサは、全モデルがパフォーマンスコア(Pコア)4基+高効率コア(Eコア)4基の計8コア構成だ。しかも、Pコアではマルチスレッド機構を廃止している。しかし、PCMark 10のスコアを見る限り、競合の8コアCPUと比べてもAC駆動時の性能面では遜色ない。
ただ、先ほどのCINEBENCH 2024のスコアと同様に、バッテリー駆動になるとAC駆動の6〜7割程度の性能となってしまう。とはいえ、MyASUSでファン速度をフルスピードに設定するとACアダプター駆動時の9割程度の速度は出るようになる。
本製品の場合、バッテリー駆動時でもパフォーマンスを引き出したいなら「ファン設定をフルスピードに」を忘れないようにしたい。
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