HHKB Studioの雪モデル(以下、HHKB Studio)に電池を入れ、PCに接続する前に、PC側にHHKB Studioキーマップ変更ツールをインストールした。筆者が使っているのは「ONEXPLAYER X1 mini」なので、Windows向けをダウンロードした。
それからPCとHHKB Studioをケーブルで接続し、HHKB Studioの電源を入れる。Bluetooth設定をしていなければ、これでキーボードやマウスとして使えるようになる。
しかし、本格的に使うからには自分好みにカスタマイズしたい。そこで、すかさずHHKB Studioキーマップ変更ツールを立ち上げて設定していく。
キーマップ変更のやり方は簡単である。役割を変えたいキーを上に表示されているHHKB Studioの図から選んで、下に表示されている割り付け可能なキーをクリックするだけだ。どのような種類のものがあるかを把握するために、「QWERTY配列」「すべて」「デバイス」「ショートカット」全種類をそれぞれクリックして、目を通しておくと良いだろう。
好みの配列にできたら、「HHKBへ読込み」ボタンをクリックしてHHKB Studio本体に設定を保存しよう。「読込みが完了しました」というダイアログが表示されたら、「OK」をクリックして完了だ。プロファイルを保存したい場合は「…」(メニュー)ボタンから「設定を保存する」→「現在のProfile」へと進む。
準備が整ったので、自宅仕事や出先での作業にHHKB Studioをガッツリ使うことにした。
それまで使っていた墨モデルと異なり、文字がはっきり見えるのが良い。天気が曇りで室内が薄暗くても問題なくキー入力を行える。何より英数字を入力しようとスペースキーの左側のキーを押したときに、確実に英数字を入力できる直接入力モードになっているのが良い。
また、墨モデルでもあちこち持ち歩いていたのだが、明るさが足りないと途端に作業効率が落ちていた。
しかし、雪モデルでは薄暗いカフェ店内でも、キートップの文字がはっきり見える。辞書登録していないアルファベットを使った製品名などを入力する際、ほぼ間違えることなく行えた。
狭いスペースでも、キーボード分のスペースを確保できさえすれば、マウス操作できるというのも良い。
惜しむらくは、HHKB Studioの厚み(最厚部41mm)と重量(電池含まず830g)だが、その短所を補って余りあるメリットを感じている。
PFUはHHKB Studio向けキートップを自作できるよう、キートップの3Dデータを公開している。ユーザー自身が、さらに自分好みにカスタマイズできるように、とのことらしい。
にもかかわらず、今回の雪モデルでは、当初から2種類(実際には英語配列と日本語配列があるので4種類)のキートップセットの取り扱いを発表している。「黒印字」と「無刻印」だ。
HHKB Studio雪モデル専用キートップセット。日本語配列/無刻印(写真左上)、英語配列/無刻印(写真右上)、日本語配列/黒印字(写真左下)、英語配列/黒印字(写真右下)(画像はPFUオフィシャルより)キートップのつけ外しは簡単だ。装着済みキートップに引き抜き工具のワイヤー側を強く当て、キートップの下にワイヤーが入り込んだらわずかにねじり、キートップの下側の角をワイヤーで支えるようにする。そのまま真上に引っ張れば、キートップを引き抜ける。
後は間違えないように対応するキートップをはめ込んでいく。真上から押し込むようにして、キースイッチ周りを破損しないよう注意したい。
標準のものと黒印字バージョンでは、文字の大きさは同じだが、色が明らかに違う。
また、HHKB Professional HYBRID Type-Sの雪モデルとも、同じ黒刻印でも文字の大きさや太さが違う。
ここまで視認性を高めたのには理由がある。必殺HHKB仕掛け人であり、PFUのプロダクト・エバンジェリストでもある松本秀樹氏は、「Apple Vision Proを装着していても使えるようにするため」と語る。
いくらApple Vision Proのビデオシースルー機能が優れていて、ほぼ何もつけていないかのような視界をゴーグル内で再現するとしても、薄い文字だと見えづらくなってしまうかもしれない。「VisionOS2で完全対応するHHKB Studioで、入力時に見えづらいとなれば、それは体験のノイズになってしまう。ノイズレスなイマーシブ体験を実現したかった」と解説した。
Apple Vision Proを買える層は限られているかもしれないが、XRグラスを外付けディスプレイのようにしてPC作業をするのであれば、視認性の高さと最小限の手の動きでマウス操作も行える雪モデルは良い相棒となるだろう。
量販店での取り扱いはないものの、コワーキングスペースやギークな人達の集まるバーなどのタッチポイントで実機に触れられる。また、ゲオの「あれこれレンタル」を利用すれば14泊15日5480円で借りられる。気になっているのであれば、試してみるのも良いだろう。
キーマップ変更ツールやDIPスイッチなど便利そうな部分でまだまだ使いこなせているとは言い難いが、光量不足の環境でキートップの文字を見づらくなった筆者にとっては、この雪モデルを手放せなくなりそうだ。
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