ここからは、実際にROG Strix G16(2025)G614でさまざまなベンチマークテストを実行し、性能をチェックしていく。
ベンチマークテストに際しては、CPUの内蔵グラフィックス機能を使わないよう、GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを明示的に利用するよう設定の変更を行った。それ以外の本体側の設定については変更を行っていない。
また比較用として、以前テストを行った同じ「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」を搭載する「ROG Zephyrus G14(2025)」と、1つ下位のGPUである「GeForce RTX 5070 Laptop GPU」を搭載する「ROG Zephyrus G16(2025)」のテスト結果も掲載している。搭載されているCPUの違いなどもあるため、参考程度に捉えてもらえれば幸いだ。
まずは3D性能を確認するため、定番の「3DMark」で主要なテストを実行した。DirectX 12をテストする「Time Spy」シリーズ、DirectX 11をテストする「Fire Strike」シリーズ、そしてレイトレーシング性能をテストする「Port Royal」を実行し、パフォーマンスのチェックを行った。結果は以下の通りだ。
ROG Strix G16(2025)G614はとにかく速い、速すぎる。
同じGeForce RTX 5070 Ti Laptop GPUを搭載するROG Zephyrus G14(2025)とはわずかな差になるかと思っていたが、およそ20〜30%高いスコアを出している。
この差の要因として、まず考えられるのはCPUの違いだ。ROG Zephyrus G14(2025)に搭載されているCPUもノートPC向けのCPUとしてはかなり高速な「Ryzen AI 9 370HX」だが、ROG Strix G16が搭載しているRyzen 9 9955HX3Dは、CPUコア数/スレッド数、動作クロック、そして3D V-Cacheテクノロジーによって大きく増量されたL3キャッシュと、CPUの性能を決める多くの要素で上回っている。
特にL3キャッシュメモリ容量は、ゲームのように3Dレンダリングなど複雑な命令が多数実行されるアプリケーションの動作速度への影響が大きく、同じGPUであってもCPUの性能差がスコアに大きく影響したと考えられる。
また同じGPUであってもTGP(Total Graphics Power)設定がROG Strix G16とROG Zephyrus G14(2025)では異なる。
ROG Strix G16(2025)G614ではTGPが140Wに、ROG Zephyrus G14(2025)では100Wと、TGPの上限が異なるため、TGPに余裕のあるROG Strix G16の方が同じGPUであってもピーク性能を長く維持しやすい設計/設定になっている。
続いて実際のゲームをベースとするベンチマークソフトを実行し、ROG Strix G16(2025)G614の性能をチェックしていく。
発売から随分と時間が経過しているが、現在も国産ゲームタイトルとしては重く、このベンチマークテストでどこまで動かせるかはゲーミングPCの性能を見極める1つの基準になる。
テストでは画面解像度をROG Strix G16(2025)G614のディスプレイ解像度を上限とし、今回は「フルHD(1920×1080)」「WQHD(2560×1440)」の2パターンを、画質設定「高画質」を選択し実行した。結果は以下の通りだ。
3DMarkのテスト結果と比べると差は縮まってはいるが、やはりROG Strix G16(2025)G614が同一の設定において、最も優秀なスコアを記録している。
スコアの差については3DMarkの項で考察を書いているが、実際にゲームを快適に遊ぶ、動かすにあたってはGPUの性能はもちろんのこと、CPUに依存する部分は大きい。
そのため実際のゲームプレイに近いプログラムでのベンチマークでも、これほど優位な結果を残せるとなれば、ゲーミングノートPCでも3D V-Cache搭載のRyzen搭載モデルが魅力的に見えてくるだろう。
次のテストは、重量級ゲームタイトルの定番である「サイバーパンク2077」だ。こちらも継続的にアップデートが行われ、リリース時から現在に至るまで、重量級ゲームの定番タイトルに挙げられる。
今回はゲーム内のベンチマーク機能を使って平均フレームレートの計測を行った。設定はグラフィックプリセットの「レイトレーシング:オーバードライブ」を選択し、DLSSでの超解像度スケーリングとフレーム生成を有効に、解像度設定はフルHDとWQHDで計測を行っている。結果は以下の通りだ。
こちらもこれまでのテスト同様に、ROG Strix G16(2025)G614が最も優秀な結果になった。
特に注目したいのはWQHD解像度でのテスト結果で、比較に用いたROG Zephyrusシリーズでは60fpsをわずかに超えるか、あるいは満たさない結果だったのに対し、ROG Strix G16(2025)G614は余裕のある平均フレームレートになっていることだ。
ゲーミングノートPCの特性上、多くはゲームコンソールからの移行、または併用を考えている人が多いだろう。
ゲーム機向けのビッグタイトルは、PC版では高い性能が要求される重量級タイトルとなることが多い、そうしたゲームが60fps以上で安定して動くかどうかで、ゲーミングノートPCの満足度が変わってくる。
その点で見るとROG Strix G16(2025)G614は、重量級ゲームタイトルの中でも特に重い「サイバーパンク2077」が安定して60fps以上で動作するため、ゲーミングノートPCを探している人にオススメしやすい1台といえる。
最後のテストとして、今最もゲーミングPCを購入する動機になっていると思われるモンスターハンターワイルズだ。
筆者も発売前から現在に至るまで、周囲から「『モンスターハンターワイルズ』が快適に動作するのはどのモデルか」と頻繁に尋ねられており、ゲーミングノートPCについては「そろそろ新しいGPU搭載のモデルが出てくるから、それを待った方がいい」と答えていた。
ROG Strix G16(2025)G614などGeForce RTX 50シリーズ Laptop GPUを搭載したモデルが出てきたことで、やっと具体的に「このモデルを買っておけば大丈夫」といえる状況になったので、実際にどの程度快適に動作するかは、これから買うモデルを選ぶ際の基準として知りたい人が多いだろう。
テストはベンチマークテストで、画質設定をウルトラに、フレーム生成を有効にし、解像度は1920×1200ピクセル/2560×1600ピクセルで計測を行った。結果は以下の通りだ。
これまでのテスト結果の通り、今回もROG Strix G16が最も優秀な結果を出すのは既定路線であり驚きはない。
先ほどのサイバーパンク2077の結果でもそうだったが、実際のスコア、そしてフレームレートを見ていくとROG Strix G16(2025)G614にかなりの余裕が感じられる。
また筆者がこれまでいろいろなPCでテストを行ってきた中で「画質設定がウルトラ」で「WQHD以上の解像度」ではグラフィックスメモリの容量が8GB以下では動作が緩慢になる、または途中でベンチマークが停止してしまうことがあった。
ゲーミングノートPCのディスプレイ解像度のトレンドもWQHD以上になっていることを考えると、今回テストしたROG Strix G16(2025)G614に搭載されている「GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU」のように12GBというグラフィックスメモリの容量が、ゲームもPCの性能も十分に楽しむための最低ラインといえるだろう。
バイト代を握りしめて通ったアキバ、「1円PC」全盛期の販売員時代──そんなITライターのPC遍歴
GeForce RTX 5080搭載でモンハンワイルズも快適に遊べるウルトラゲーミングノートPC「ROG Strix SCAR 16(2025)」 ド派手な演出で見た目も豪華
現状で“ほぼ最強”のゲーミングノートPC「Lenovo Legion Pro 7i Gen 10」(5080モデル)を試す モンハンワイルズも快適
厚さ17mm切りでCore Ultra 9 185H×RTX 4070 LPのAI PC「ROG Zephyrus G16 (2024) 」を試す
自分で注水する水冷BOX&空冷でRTX 5090 LPの性能を引き出す! “豪華”すぎるG TUNEの最強ゲーミングノートPCを徹底検証Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.