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エッジAIから最新のNASまで――「Interop 2025」で見かけた気になるモノをチェック!(1/2 ページ)

» 2025年06月26日 18時45分 公開
[石井徹ITmedia]

 6月12日から14日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「Interop Tokyo 2025」は、日本最大級のネットワーク/AI技術に関する展示会だ。その模様を2回に分けてお伝えする。

 この記事では、レノボグループ、VAIO、サードウェーブ、Synology、UGREENの5社の展示を紹介する。

全景 「Interop Tokyo 2025」会場の風景

レノボグループ:約30万円から導入できるエッジサーバを展示

 レノボグループ(レノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ)のブースでまず目を引いたのは、初展示となる小型エッジサーバ「ThinkEdge SE100」だ。

レノボグループ レノボグループのブース

 ThinkEdge SE100はCore Ultra 200Hシリーズを搭載しており、「店舗のAIカメラと連携した万引き予兆検知」「飲食店の注文システム」といった用途での利用を想定している。

 本製品はオプションの拡張キットを取り付けるとハーフハイト/ハーフレングス規格(HHHL規格:いわゆるロープロファイル)のPCI Expressスロットを追加できる。同社ではこの拡張性を生かし、拡張キットを追加した本製品にグラフィックスカードを搭載した「小規模AIファイルサーバ」を提案している。社内文書をローカルAIに学習させ、必要な情報をサッと検索できる環境の実験を目指しているという。30万円台という価格でエッジAIを実現する新たなアプローチだ。

ThinkEdge SE100(左) ThinkEdge SE100(左)は、拡張キットを使うことでコンパクトさを保ちつつAIサーバとして運用することも可能となる

 大規模データセンター向けには、水冷技術「第6世代Neptune」を適用したラックサーバを展示していた。「CPUだけではなくて、メモリやSSDの下側にも水冷パイプが通っていて、全くのファンレス」(担当者)という、完全水冷を実現していることが特徴だ。CPUやGPUのみを水冷する「スポット冷却」と比べると、データセンターにおける冷房代を3〜4割削減できるという。

 ただし、販売価格は通常のラックサーバより10〜15%高く、別途300万〜1000万円の「CDU(水循環ポンプ装置)」を用意する必要がある。初期費用こそ大きくなるが、電力コストを3〜4割削減できるので、長期間利用を想定すれば十分にペイできる範囲に収まるだろう。同社は12年にわたって水冷サーバを手がけており、技術の成熟度も高い。

水冷 「第6世代Neptune」を適用した完全水冷サーバ
全体冷却 SSDやネットワークカードも含め、サーバ全体を水冷できることが特徴だ

 デスクトップPCでは、Snapdragon Xシリーズを搭載する「ThinkCentre neo 50q Tiny Snapdragon」が注目株だ。「ノートだとNPU搭載で20万円以上はしてしまう」(担当者)中で、最小構成では10万円を切る価格を実現している。Snapdragon Xシリーズはピーク時の性能が40TOPS(毎秒40兆回)を超えるNPUを統合しており、「Copilot+ PC」の要件を満たしている。

 本製品は専用ディスプレイ「ThinkCentre Tiny-in-One 22 Gen5」と組み合わせることで、電源を含めて“一体化”できる。固定席と据え付け電話機があるような従来型のオフィスにピッタリだ。

一体化 ThinkCentre neo 50q Tiny Snapdragonを取り付けたThinkCentre Tiny-in-One 22 Gen5

VAIO:主戦場の法人市場で「安曇野FINISH」をアピール

 VAIOブースでは、同社が注力する法人向けノートPCが整然と並べられていた。

VAIOブース VAIOブースの様子

 展示の中心は6月に発表されたばかりの新型「VAIO Pro BK」(14型)と「VAIO Pro BM」(16型)だ。VAIO Pro BKは重量が約1.23kgで、最小構成で14万1800円からと比較的手頃な価格設定となる。

 本製品のCPUはNPUを搭載していない。しかし「法人向けノートPCだと、NPU搭載CPUにすると20万円以上はしてしまう」一方で、「必ずしも全ての法人ユースでNPUが求められるとは限らない」という所を“狙った”モデルだ。

 展示機では、3つのマイクを使ったAIノイズキャンセリング機能のデモが行われていた。プライベートモードでは45度、プライバシーモードでは15度まで集音範囲を絞り込み、会議室モードでは12人規模の会議で全員の声を均一化する。「VAIOオンライン会話設定」キーを押すだけで、これらのモードを瞬時に切り替えられる。

VAIO Pro BK VAIO Pro BK

 品質面では「安曇野FINISH」と呼ばれる、本社工場(長野県安曇野市)における全品検査が特徴だ。最終工程で「匠」と呼ばれる技術者が50項目を目視検査する。部品や加工にもこだわりが詰め込まれている。

 キーボードはレーザー加工後にUVコートをかけることで、3〜4年使っても文字が消えない構造。アルマイト加工のアルミニウムや、上位モデルではカーボン素材を採用し、耐久性を追求しているという。

 2014年のソニーからの独立以降、VAIOは法人市場に重きを置いている。ここ3年は売上ベースで年間170%の成長率を記録しているといい、14型カテゴリーでは高いシェアを獲得している。

PK-R 14型のプレミアムモデル「VAIO Pro PK-R」と、法人向け14型モバイルディスプレイ「VAIO Vision+ 14P」
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