与太話はこれくらいにして、実用テストもしていきましょう。
今回もいつもの魔女さんでテストしましたが、その前に慣らしもしていない試し描きの時点で、Cintiq Proの癖がついた手のまま思った通りにラクガキできたのは印象的でした。
ラフは上記の通り描きやすいです。線画も筆圧で強弱をつけやすく、概ね思った通りに描けるものの、画面がツルツルなので摩擦で線を安定させる描き方がしづらく、正確に線を追いたいときにはもどかしく感じました。
このあたりは、iPad Proの方が光沢面ながら不思議に摩擦があるよう作られていて、描きやすく感じます。ただし、iPad Pro自体の摩擦感を享受するためにはフィルムを貼らないでおく必要があります。
また、あくまでCLIP STUDIO PAINT上での比較ですが、ストロークを素早く引いたときの遅延感のなさもiPad Proの方が優れていました。サムスン製のPENUPアプリでは非常によく追従してくるので処理の差かと思います。
Windows+ちょっと前の液タブと同程度なので製作に支障はないですが、素早く引いても線がペン先にくっついてくる感覚を優先したい人は、iPadシリーズを優先して検討するのが良さそうです。
彩色も、当然ながら問題ありませんでした。特に軽い筆圧の自然さは、過去にレビューしたことがあるエントリー液タブより印象が良いぐらいで、普通に塗りやすいです。ホバーカーソルも当然あるため、太いブラシを使うときに正確に始筆を決められて便利です。
液タブ液タブうるさいわと言われそうですが、全体的に「画面がツルツルな液タブ」みたいな感覚で作業できました。逆に、マットな画面の描き味もまた、ちゃんとした液タブの捨てがたい価値の1つと言えます。
メモリも8GBなので、液タブとPCで節約意識なく描いた画像を読み込ませるとメモリ不足の警告が表示され、時折動作が重くなります(今回は強制終了などはありませんでした)。これは贅沢すぎないキャンバスサイズで作業することで迂回(うかい)できるでしょう。
また、別売のキックスタンドは絵を描くのに適した角度では手の重さでたわみやすく、風呂フタ式のカバーほど安定しないのは惜しいです。現行世代では改善されているかもしれませんが、従来機のキックスタンドのように緩くなってきた場合に備えて、「クリアファイルを切って折るだけで支えが作れる」と頭の隅に入れておくのが良さそうです。下の写真は分かりやすさのために横にはみ出して装着しています。
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