ASUS ExpertCenter P500 Mini Towerは、自作PCパーツを扱っているASUSらしさを感じるモデルでもある。例えば、ユーザーによるパーツの交換が可能だ。ただし、出荷時に搭載されていないパーツによるトラブルは保証の対象外となるため、メモリの増設などのパーツ交換作業は細心の注意を払って取り組もう。
モバイル向けのCoreプロセッサを搭載していることもあってか、よく見掛けるATX規格のマザーボードではなく、専用のマザーボードが採用されている。また、一般的なミニタワーPCでは見られない特徴として、CPUファンと背面ファンが一体化されて背面に設置されている。
冷却設計もしっかりと対策がなされており、この背面ファンだけで従来のデスクトップPCの4倍の放熱面積を誇っているという。
メモリスロットはデスクトップPC向けではなく、ノートPC向けのSO-DIMMスロットが2つ用意されており、最大で64GBのメモリ搭載をサポートする。
メモリの規格がSO-DIMMではあるものの、後からユーザー自身でメモリのアップグレードができるため、購入後に業務の内容が変わってメモリが不足したとしても対応可能だ。ここはやはりデスクトップPCの強みと言えるだろう。
システム用ストレージとして、PCI Express 4.0 x4に対応したNVMe SSDが1基搭載済みで、さらにユーザーが追加できるNVMe用のM.2スロットがもう1つ用意されている。
PCIe 4.0スロットは外付けGPUも搭載可能ではあるものの、搭載されている電源の容量が180Wなので、グラフィックスカードを追加する場合は消費電力に気を付けたい。
どちらかというと、GPUを搭載するのではなくインタフェースの拡張用と捉えた方が良いだろう。
外観チェックはこれくらいにしておいて、ASUS ExpertCenter P500 Mini Towerのパフォーマンスについて詳しく見てみよう。
なお、今回の評価機はIntel Core i7-13620H(10コア16スレッド)を搭載したハイエンドモデル(P500MV-I7321TBPROX)だ。直販価格は18万9800円で、主な構成は以下の通りとなっている。
| CPU | Intel Core i7-13620H |
|---|---|
| メモリ | DDR5-5200 32GB |
| ストレージ | SANDISK PC SN5000S(1TB) |
| 内蔵グラフィックス | Intel UHD Graphics(CPU内蔵) |
このCore i7-13620Hは、第12世代のCore iシリーズと比較して、パフォーマンス重視のPコアのアーキテクチャが刷新されていること、さらにサポートするDDR5メモリの最大周波数が高速化されたことから、前世代と比べてパフォーマンスの向上が期待できる。ベンチマークテストが今から楽しみだ。
評価機のSSDにはWestern Digital(今はSandisk)の3D QLC NANDフラッシュを採用したSN5000Sシリーズが採用されていた。最近は他メーカーでも採用例が増えてきているNVMeストレージで、ハイブリッドSLCキャッシュを搭載することで従来のQLCの低パフォーマンスからは想像できない性能を発揮してくれる。
耐久面では、メモリセルの消耗を最小限に抑え、寿命を向上させる「nCache 4.0」という仕組みを採用しており、個人的には「SN5000Sが搭載されていれば、パフォーマンスや耐久性に心配は無いな」と太鼓判を押せるモデルだ。
今回はSN5000Sの1TBモデルのパフォーマンスを測るため、ストレージのアクセス速度を計測する定番ベンチマークアプリ「CrystalDiskMark」を利用して、それぞれ読み出し速度と書き込み速度を測定してみた。
なお、SN5000SシリーズはPCのメモリから64MB分をDRAMキャッシュとして利用する、HBM方式を採用しているため、テストデータを64GiBに指定してテストを実行した。結果は以下の通りだ。
DRAMキャッシュサイズギリギリのテストデータで実施したとしても、PCI Express x4対応モデルとしてふさわしいパフォーマンスを発揮しているため、通常利用時も動作に引っ掛かりを感じることなく快適に利用できる。
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