インストール完了後、デスクトップモードにあるショートカットをタップするとゲーミングモードに戻る。すると、インストール前はなかった「GeForce NOW」が表示される……と思いきや、インストール直後はトップ画面に出てこない。以下の手順で実行しよう。
初回起動時のプロセスは、他デバイス向けのGeForce NOWとおおむね同様だ。手元にNVIDIAアカウントにログイン済みのスマートフォンがあれば、表示される二次元コードを読み込むことでログインプロセスを簡略化できる。
GeForce NOWのセットアップは終わった。ここで気になるのが「JR東日本トレインシミュレータ」をプレイできるかどうかである。
実はJR東日本トレインシミュレータは、最小要件として1920×1080ピクセル/60Hzのディスプレイを求めている。それに対して、Steam Deckシリーズのディスプレイは1280×720ピクセルと、解像度が足りていない。
結論からいうと、公式サポートはないがプレイ可能だ。クラウドサーバの画面に遷移する際に起動に関するエラーが表示されることもあるが、その表示が出た後に手動で「アップデート」→「プレイ」をタップすれば普通に起動する。
GeForce NOW経由で本タイトルをプレイする場合、操作はキーボードまたはゲームコントローラーで行うことになる。Steam DeckについてはXboxコントローラーに準拠したパッドを一体化しているので、同コントローラーのアサイン通りにプレイできるので、問題ない。
解像度が足りていないこともあり、一部の表示は少しつぶれたようになってしまうものの、プレイには支障ない。意外と楽しめる。
筆者の一番の“もくろみ”だった、JR東日本トレインシミュレータは一応遊べて良かった。他のゲームもサッと遊んでみたが、1280×720ピクセル表示に対応する意外と多く、その場合は表示がつぶれることもなく、結構快適に遊べた。
GeForce NOWは「CPUやGPUのパワーが不足する環境でもゲームを快適に遊べる」というのが売りだが、デバイスにインストールせずに遊べることも地味にメリットだったりする。最近はインストールするだけでストレージを数十GBも消費することもあるので、たくさんのゲームを遊ぶための手段としても有用だ。
重量級タイトルの代表格である「Cyberpunk 2077」もSteam Deckにインストール可能だが、ストレージを大きく消費してしまう。GeForce NOW経由なら、ストレージの消費を気にする必要がないGeForce NOWは、サーバで実行されたゲームの画面をストリーミング動画としてクライアント機器に“配信”する。そのため、ネットワーク側もある程度の高速/低遅延が求められる。今回は自宅の光インターネット回線(10Gbps)とWi-Fi 7/6E対応のWi-Fiルーターに、Wi-Fi 6E対応のSteam Deck OLEDの組み合わせで使ったため、映像の乱れや遅延は感じられなかった。
しかし、遅延が大きくなりやすいモバイル回線では、同様のプレイ体験を得ることは難しいかもしれない。タイミングが問われるゲームは、高速かつ低遅延の回線を用意して楽しみたい。
今回実際に試してみて、一番大変に思ったのはGeForce NOWアプリの導入だ。YouTubeにはチュートリアル動画が公開されているものの音声は英語のみなので、人によっては翻訳字幕表示が欠かせない。
一方で、Steam Deck側の表示についても若干課題がある。初期設定時に日本語表示に設定しても、デスクトップモードは標準で米国英語(American English)表示となってしまうのだ。設定を変えればデスクトップモードの表示も日本語にできるのだが、「だったら初期設定で設定した言語と合わせてほしい」と感じてしまうこともある。
そして、デスクトップモードでないとアプリをインストールできないというのも、ちょっと分かりづらい。利用するであろうユーザー層を考えれば“大したことない”ことも事実なのだが、ユーザーの裾野を広げるにはSteamOSへのプリインストール、あるいはもっと簡単なインストール導線が必要だと考える。
ともあれ、筆者としてはSteam DeckにGeForce NOWの組み合わせは思った以上に“アリ”だと思った。ネットワークの問題はあるものの、外出時はSteam Deck OLEDを持ち出して列車の運転にいそしもうと思う。
JR東日本トレインシミュレータ:©East Japan Railway Company / Hokkaido Railway Company / ONGAKUKAN Co., Ltd. All Rights Reserved.
Cyberpunk 2077:©CD PROJEKT S.A. All rights reserved.
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