2026年1月から、電気通信事業法に基づく「ユニバーサルサービス料」の対象にブロードバンドサービスが加わる。2026年のブロードバンドユニバーサルサービス料は1回線当たり2.2円となる。
本件に関連して、NTT東日本とNTT西日本は11月7日、ブロードバンドのユニバーサルサービス料を2026年3月利用分(2026年4月請求分)と合わせて徴収する旨を発表した。徴収対象のサービスは以下の通りだ。
この記事では、ブロードバンドユニバーサルサービス料について解説する。
電気通信事業法では、生活に必要不可欠な電気通信サービスを「基礎的電気通信役務」と位置付けている。基礎的電気通信役務は総務省令に基づいて指定されることになっており、現在はNTT東日本/NTT西日本が提供する以下のサービスが対象となっている。
(※1)緊急通報が可能で、かつ加入電話と同様の電話番号を付与される光IP電話
基礎的電気通信役務を維持する仕組みが「ユニバーサルサービス制度」だ。本制度では、「基礎的電気通信役務支援機関」を通して電気通信事業者からサービスの維持費用を「ユニバーサルサービス料」として徴収する。支援機関には、電気通信事業者の業界団体「TCA(電気通信事業者協会)」が指定されている。
この説明でも分かると思うが、一義的にユニバーサルサービス料は電気通信事業者が負担する。もう少し詳しくいうと、「前年度の電気通信事業にかかる事業収益が10億円超」で、かつNTT東日本/NTT西日本と接続している事業者が割り当てられた電気通信番号(電話番号)数に応じて負担することになっている。
ただし、ユニバーサルサービス料の負担は電気通信サービスの利用者(エンドユーザー)に転嫁することも可能で、ほとんどの電気通信事業者は基本的に「ユーザー転嫁」としている。
現行のユニバーサルサービス制度では、TCAが「NTT東日本/NTT西日本に支払う交付金」と「対象の電気通信事業者から徴収する負担金」を1年に1回算定している。2024年4月末時点では、負担金を支払う義務を課された事業者は20社ある。なお、この図は後述する法改正を反映したものとなる(出典:総務省)昨今は加入電話の契約数が減少傾向にある。その一方で、より高速な通信を実現する固定ブロードバンド(光ファイバー/CATV回線)が広く普及するようになった。固定ブロードバンド回線は携帯電話基地局の伝送路としても使われるので、より高速かつ大容量なモバイル通信を実現する上でも欠かせない存在だ。
当初、固定ブロードバンド回線は都市部を中心に普及してきたが、地方でも「自治体が回線を整備し、それを電気通信事業者に貸し出す」というスキームが確立されたことで普及が進んだ。2024年3月末時点において、光ファイバー回線の世帯カバー率は97.09%にまで高まっている(参考リンク)。
しかし、視点を変えてこの結果を見ると、2.91%の世帯は光ファイバー回線の恩恵にあずかれていないともいえる。「スマホ(携帯電話)があれば光ファイバー(高速)回線なんていらないんじゃないの?」と思うかもしれないが、先述した通り、固定ブロードバンド回線は携帯電話基地局の“伝送路”としても使われる。「高速通信できるスマホ」を生かすには、結局固定ブロードバンド回線が欠かせないのだ。
固定ブロードバンド回線を整備できていない所は、ずばり「山間部」と「離島」がほとんどで、これらを多く抱えている都道府県はどうしても普及率が低くなってしまう。
総務省の統計では、2024年3月末時点の光ファイバー回線の世帯カバー率は97.09%に達している。しかし2.91%の世帯はいまだにカバーできておらず、都道府県別カバー率を見ると山間部や離島を多く抱えている都道府県で普及が遅れている様子が分かるこのような状況もあり、2020年頃から「固定ブロードバンド回線も基礎的電気通信役務に加えて普及を加速してはどうか?」という議論が加速した。
その結果、2022年に電気通信事業法の一部が改正され、光ファイバー/CATV(※2)/ワイヤレス固定ブロードバンド(BWA:※3)回線を「第二号基礎的電気通信役務」としてユニバーサルサービス制度の対象に加えることになった。なお、この法改正では従来の基礎的電気通信役務は「第一号基礎的電気通信役務」として再定義されている。
(※2)より高速な通信に対応可能な「HFC方式」(光ファイバーと同軸ケーブルを併用する方式)のみが対象
(※3)専用無線回線(地域BWAやローカル5Gなど)を利用する方式のみが対象
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