本機は10点マルチタッチに対応しているのも注目ポイントです。Windowsは古くからOSネイティブのタッチ対応が進んでいて、マウスより素早く、楽にできる操作は沢山あります。また、ノートPCやモバイルディスプレイはともかく、大型で高品質な4Kディスプレイがタッチ対応していることはまれなので、本機自体が貴重な仕様のタッチディスプレイでもあります。
また、過去のモデルではパームリジェクションがなく、ペンをホバーさせている間にタッチを無視する処理に頼る必要がありましたが、本機はパームリジェクションに対応しています。
手の側面をペタッと置いたときには、ほぼ問題なくタッチを除外してくれます。
一方で、細やかな完成度という面ではワコムの「Cintiq Pro」のタッチ対応ほどではないです。
Cintiq Proでは、右手でペンを画面にかざしていても左手のタッチ操作は受けつけてくれたり、一度手のひらと判定された後は手が完全に離れるまでは除外し続けて誤爆を防ぐといった、操作性と信頼感を上げる工夫が盛り込まれていますが、本機はそこまでではないです。タッチ操作のオン/オフスイッチの操作性もCintiq Proの方が上です。
さて……。本機の付属品の中で一番プロっぽいデバイスが、専用のカラーキャリブレーターです。
耳慣れない人のために説明すると、カラーキャリブレーターは、画面表示の色合いや明るさを測るデバイスで、主に2つの役割があります。
正確な色表示や、デバイス間の色の互換性のために大事な機能で、本機は後者の機能が使えます。ですが、現代のディスプレイは出荷時に発色が調整済みで、sRGBやAdobe RGB、Display P3など、主だった発色特性をプリセットから選べるモデルが多く、本機もその類いです。
なので、ほとんどのユーザーにとってすぐに使う意味は薄いです。何年も使ってディスプレイに経年変化があった場合には、助けになってくれる可能性が高いです。ただし計測器はデリケートなため、湿気が少ない冷暗所に保管するよう心がけておくとよいでしょう。
では実用チェックをしていきましょう。今回もいつもの魔女さんで各工程をチェック済みですが、余勢を駆ってラクガキしていきます。
まずはラフから見ていきます。大画面で腕を使ってストロークを散らしながら探っていく描き方はやはり気持ちがよいです。作業効率のために自分は中型モデルをメインにしていますが、大型モデルならではの楽しみや、大型に合った運筆はやはりあります。
Keydial Remote K40を使用してはみたものの、操作に習熟したとしてもキーボードの方が速くて快適なのは容易に想像できたので、しばらく使用感を確かめた後はキーボードに切り替えました。
線画も、大きなサイズと4Kの画質で線質を確認しながら描けるのは楽しいです。筆圧の反応も素直なので、強弱をつけながら描きやすいと感じました。
ただ、線画の工程でタッチの誤爆が増えたため、タッチ操作をオフに切り替えました。自分には画面に手を乗せたままペンを上げて絵を確認する癖があり、ワコムのモデルではそういった甘えが許されるものの、本機では小指の関節が誤爆を引き起こしているようでした。
彩色も快適です。最近のHUION製品のレビューではたびたび触れていますが、現行のペンシステムになってからはほとんど違和感なく描けるようになりました。大型機はドバッと腕を振る気持ちよさもあるので、画面作りにいつもと別の味つけがしやすい気がしました。
全体として、描き味や作業中の集中の保ちやすさには満足したものの、左手デバイスやタッチ対応の完成度が惜しいという、先のチェック通りの感想になりました。
名前に「Pro」を付け忘れた? イラストレーターがHuionの新作液タブ「Kamvas 16(Gen 3)」を試して分かったメリットと気になるところ
HUIONの液タブ「Kamvas Pro 19」は全部盛りで最高のサイズ感だった! プロ絵師が試して分かったこと
絵師は健康が不安? ならば板タブだ! HUION「Inspiroy Giano」レビュー
PCいらずで「液タブ」の夢を見たい! HUIONの新型タブレット「Kamvas Slate 13/11」を試して分かった現実
プロ絵師がワコムの「MovinkPad Pro 14」を自腹レビュー ついに現れた“クリスタ最強デバイス”かCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.