ソニーとTCLの合弁が意味する「新しいソニー」の完成形――ソニーが“家電企業”の殻を脱いだ日本田雅一のクロスオーバーデジタル(5/5 ページ)

» 2026年02月06日 18時00分 公開
[本田雅一ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

ソニーグループは「エンタテインメント産業を支える複合企業」へ

 ソニーグループ全体の戦略を俯瞰(ふかん)すると、今回の“決断”の意味はさらに明確になる。

 「PlayStation」「Sony Music」「Sony Pictures」を軸とするエンタテインメント事業がグループの中核を担い、半導体(イメージセンサー)が技術的な競争優位を支える。残されたエレクトロニクス事業は、これらコンテンツ事業と密接にリンクする「クリエイションツール」として再定義されている。

 TVはもはや「利益を上げるための製品」ではなく、PlayStationや映画コンテンツを楽しむための「最良の窓」としての役割が期待される。BRAVIAがプレミアム市場で存在感を維持することは、ソニーグループのエコシステム全体にとって意味がある。しかし、そのために巨額の製造投資を自社で抱え込む必要はない。

 吉田氏が社長に就任してから約7年が経過し、ソニーグループは「エレクトロニクス製品の会社」から「エンタテインメント産業を支える複合企業」へと、その姿を大きく変えた。平井氏の改革が「どん底からの復活劇」だったとすれば、吉田改革は「復活した企業を新時代に合う形へと生まれ変わらせる構造転換」だった。

 ソニーの“象徴”であったTV事業を「延命」ではなく、時代の流れに合わせて最適な形で“外”に出す――新しい事業ポートフォリオと組み合わせて、次の時代を戦う準備を進めているのだ。

ポートフォリオの転換 「テクノロジーの力で未来のエンタテインメントをクリエイターと共創する」というビジョンのイメージ映像には、かつてソニーの象徴だったTVの姿はない。ただし、TVが重要でないかといえばそうではない

 先のことは誰にも分からない。ソニーとTCLの合弁会社が期待通りに機能するか、BRAVIAブランドがプレミアム性を維持できるか、地政学的リスクが顕在化しないか――不確定要素は数多い。

 それでも、ソニーグループが7年余りをかけて事業ポートフォリオ変革をやり遂げたことは、率直に評価すべきだろう。エレクトロニクス製品の会社から、エンタテインメント産業を支えるエンタテインメント複合企業へ――その変貌の“最終章”が、まもなく終わろうとしている。

前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月16日 更新
  1. グラボ高騰が止まらない! RTX 5090は100万円超えの可能性も、「組むなら8月中」の声 (2026年08月15日)
  2. 映画もゲームもPC画面も大迫力で楽しめる! Google TV搭載のRGBレーザー方式4Kプロジェクター「AWOL Valerion Pro 2」を試す (2026年08月14日)
  3. 旭東エレクトロニクスからDDR5-6000対応メモリ「Lexar THOR RGB 2nd Gen」登場 Intel XMPとAMD EXPOに両対応のハイパフォーマー (2026年08月14日)
  4. 「Pixel Watch 5」が8月20日に発売へ 前モデルから最大20%の高速化、価格は6万2800円から (2026年08月13日)
  5. シャープのヘルスケア特化スマートウォッチ「からだメイト Watch」を試す 装着するだけでカロリー&水分補給を自動記録 (2026年08月10日)
  6. タッチパッドを手前に引き出して使える「Ewin ワイヤレス折りたたみキーボード」がセールで24%オフの5319円に (2026年08月12日)
  7. 過去最大規模の参加人数となったマウスコンピューターの「親子パソコン組み立て教室」 初日写真&動画レポート (2026年08月14日)
  8. ノートPCやミニPCにGPUを外付けできる! OCuLinkとUSB4 V2(Thunderbolt 5)両対応のeGPUドック「MINISFORUM DEG2」が22%オフの3万5994円に (2026年08月12日)
  9. Googleの折りたたみスマホ「Pixel 11 Pro Fold」は何が変わった!? 最大14万7600円お得になるキャンペーンも (2026年08月12日)
  10. 劇的大進化した「Insta360 X6」 8K/50fpsや大型センサー、内蔵ストレージ搭載、X5から買い替える価値はある? (2026年08月14日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー