GUI登場以来のUI変更? 「チャット」から「自律実行」へ Windowsを“エージェントOS”に変える「Copilot Tasks」の波紋Windowsフロントライン(2/2 ページ)

» 2026年03月03日 15時00分 公開
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他の類似サービスとの違いは「クラウド動作」と「仲介者としての役割」

 生成AIを使って同様の仕組みを提供するサービスとして、OpenAIの「Operator」や「Frontier」がある。

 前者のOperatorはクライアントPC操作に特化したサービスで、主にブラウザでの操作の自動化を可能にする。例えば、前述のホテル検索から予約までといった流れをOperatorに任せることで、ユーザーの代わりに自動実行してくれる。

 Frontierは企業向けのエンタープライズ利用を想定しており、社内システムと連携するAIエージェントを統括してビジネスプロセス全体を自動化する。BPA(Business Process Automation)やBPM(Business Process Management)などとも呼ばれる仕組みで、ServiceNowなどの専業ベンダーが存在する。

 Copilot Tasksは、このOperatorとFrontierの中間に近い存在だと思われ、動作としてはOperatorのそれに近いが、内部的にはFrontierのように“Microsoftのクラウド”内に存在するデータやアプリケーションを主な対象に、その他のサービスもAIエージェントを介して接続し、それら複数のAIエージェントを束ねる形で動作している。

 AIエージェント同士を連携させて仲介するのがCopilot Tasksの役割であり、こういった仕組みは「指揮者(Orchestrator)」などとも呼ばれる。

複数のエージェントAIを束ねる指揮者(Orchestrator)のイラスト(Copilotにて作成)

 PC操作を主眼とする仕組みでありながら、実際の動作はクラウド上で行われており、例えばWordやExcel、PowerPointといったアプリケーションの操作もクラウド上で行われ、スライドやドキュメント作成もローカルではなくクラウド上のアプリケーションとして動作している。

 データはMicrosoft 365やMicrosoft Graphといったものが参照されるため、必ずしも普段作業を行っているPCからCopilot Tasksに指示を出す必要はなく、タブレットやスマートフォンを含めCopilot+ PCのようなNPU搭載などのハードウェア要件を満たさない別デバイスからでも操作が可能だ。

 ブラウザ関連の操作もクラウド内で動作するので、動作(操作)デバイスを選ばないといえる。加えて、クラウド上で常に動作し続けるため、操作を開始したデバイスに電源が入っていなくても問題ない。ユーザーが必要に応じて状況を確認すればいい。

 ただ、これだけではMicrosoft 365のデータが中心となってしまうので、実際には外部からSaaSで提供されるサービス、自社内で構築しているサービスやAIエージェントと連携してタスクを実行したいというケースもあるだろう。そこでMCP(Model Context Protocol)の登場となる。

 MCPは外部のデータやツールに対し、大規模言語モデル(LLM)のようなAIエージェントがアクセスするための標準仕様として米Anthropicが開発したプロトコルで、このプロトコルを使って別のAIエージェントにデータやツール(AIエージェントを含む)への“入り口”を提供するのがMCP Serverとなる。

 つまり、外部のパブリッククラウドのデータや自社システムのデータなどはMCP Server経由でCopilot Tasksに“触らせる”ことで、実行可能なタスクの一部として取り込むことが可能だ。

 実際にサービスにまだ触れているわけではないため、現在出ている情報から判断した範囲ではあるが、概念図をGoogleのNano Banana 2に作成させた。ユーザーからの指示を受けてクラウド上で常時動作するのがCopilot Tasksで、実際の動作はMicrosoftクラウド内の各種データやアプリケーション、また専用の領域として動作しているブラウザ環境上で呼び出した複数のAIエージェント、MCP Server経由で入手した各種データや連携先のAIエージェントを通し、タスクを完遂させようとする。

 MCP Serverの安全な接続にはOAuth 2.1の認証が用いられるが、おそらくEntra IDの利用も可能だと思われる。

Copilot Tasksの動作概念図。Nano Banana 2にて作成

 現在はまだResearch Previewということで実質無料で提供されているCopilot Tasksだが、おそらくは将来的にMicrosoft 365に付随する「Copilotプラン」の一部として提供されることになると思われる。通常のMicrosoft 365の契約プランに加え、Copilotの追加契約が必要になるが、かつて噂された「Windowsがサブスクリプションモデルに移行する」といった話も、このようなクラウドを利用した新しい機能やサービスの追加という形で実質的に実現されるのではないだろうか。

 Copilot Tasksの登場により、Windowsの何かがすぐに劇的に変化するというわけではないものの、これまで当たり前のようにGUIなどで行っていた作業の一部が自然言語で置き換えられた。これにより、作業が丸ごと“ユーザーの手”から離れたわけで、このような形で今後もWindows上で行われていた作業や機能の一部が少しずつAIエージェントによって置き換えられていく……というのが「エージェントOS」の未来の姿の一端なのではないかと筆者は考えている。

 まだ最終形は見えないものの、Windows 95のブームで爆発的に増加したPCユーザーのUI/UXの世界は、30年の時を経て少しずつ変わりつつあるのだろう。

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